チューニョとはどうやって作られる?似ている日本食材もご紹介
作成日: 2022/12/28
チューニョという食べ物をご存じですか?はじめて聞いた、という方や、どんなものか想像できないという方もいるかもしれませんね。あまり馴染みがないかもしれませんが、日本にもチューニョに似ている食材があります。
そこでこの記事では、チューニョの特徴や製法、食べ方についてご紹介します。
チューニョとは
チューニョとは、アンデスの高地で作られている乾燥ポテトのことです。
石のように固く、ゴロゴロとした見た目が特徴です。匂いは干し椎茸や切り干し大根などのような特有の香りがあります。
チューニョは古くから保存食として重宝されていました。インカ文明はアンデス山脈に沿った形で発達しました。ジャガイモはアンデス山脈が原産といわれており、現在でも野生のジャガイモが自生しています。ジャガイモは寒冷な気候に強く、標高の高い場所での栽培に適しています。
生のジャガイモは長期間の保存ができません。そこで先住民はチューニョを考案、チューニョがあることでジャガイモを栽培できなくても食料に困ることがなくなりました。ジャガイモはインカ文明を支えた食べ物だと考えられています。
今でもインカ文明の末裔の民族が標高3000m以上の山岳に住んでおり、保存食としてチューニョを食しています。この食文化は2000年以上続いており、歴史のある食べ物です。
製法
チューニョは6〜7月の乾期に作られます。チューニョ作りは昼と夜の寒暖差が重要です。
ジャガイモが重ならないように屋外に並べておきます。夜の急激な気温低下によって凍結し、昼の気温上昇によって解凍されます。凍結と解凍を繰り返すと皮がシワシワになり、軽く押すだけで水分が出てくるのです。これは凍る際にジャガイモの細胞壁が壊れるからです。
水分を出すためにジャガイモを絞り、水分が抜け切るまで屋外で乾燥させるとチューニョが完成します。ジャガイモは元の大きさの3分の1くらいになります。チューニョは現在で言うフリーズドライのようなもので、数年間保存が可能です。また、乾燥させることで軽くなるので、持ち運びがしやすくなるという利点もあります。
ジャガイモには有毒成分であるソラニンが含まれています。ソラニンは水溶性の天然毒素です。チューニョを作る際、ジャガイモの水分が出るとソラニンも一緒に溶け出すので毒抜きもできます。
日本でも北海道や東北地方を中心に、チューニョと同じような乾燥ポテトが作られています。北海道十勝地方では「しばれ芋」、山梨県鳴沢村では「凍み芋」と呼ばれている郷土食です。粉末にして団子にしたり、水で戻してから汁物や煮物に入れたりするのが一般的です。
また、身近な食材では高野豆腐もチューニョの製法と同様に作られています。高野豆腐は豆腐を凍らせてから解凍し、水分を抜いて乾燥します。
食べる方法
チューニョは固いのでそのまま食べることはできません。
水で戻してから、スープの具材にすることが多いです。他にもふかしてチーズを添えたり、粉末にして食べられたりしています。独特の風味とモソモソとした食感です。チューニョはアンデス地方では欠かせない食べ物で、ほとんど毎食食べられています。
チューニョはアンデスの高地で作られる伝統的な保存食
チューニョは、アンデスの高地で作られる乾燥ポテトのことでした。チューニョは凍結乾燥させることで長期間の保存が可能になり、軽くなるので持ち運びも簡単、ジャガイモの有害成分であるソラニンも取り除くことができるといった優れた保存食です。チューニョの食文化は2000年以上続いていて歴史のある食べ物です。
日本でもチューニョのような乾燥ポテトが作られており、しばれ芋や凍み芋と呼ばれています。チューニョは固いので食べるときには水で戻す必要があります。見かける機会は少ないかもしれませんが、手に入ったらぜひチューニョ料理を試してみてくださいね。