水菓子の意味とは?語源や由来を解説!
作成日: 2021/09/14
「水菓子」という言葉を聞いて、どんなお菓子をイメージしますか。
夏に食べる水ようかんや水まんじゅう、ゼリーのような涼しげな和菓子をイメージすることが多いのではないでしょうか。実は、水菓子には和菓子とは別の意外な意味があるのです。
この記事では、水菓子の語源や由来について詳しくご紹介します。
水菓子について
水菓子の定義とはどのようなものなのでしょうか。
水菓子の正しい意味や、その由来についてみていきましょう。
水菓子とは
水菓子というと、「みずみずしくてプルプルの和菓子」だと思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、水菓子はこのような和菓子のことを指すのではなく、フルーツ(果物)のことを意味します。
水菓子の語源・由来
漢字伝来以前の時代、日本では木の実や果実などの主食以外の軽食にあたる食べ物のことを「くだもの」と呼んでいました。
弥生時代になり漢字が伝わると、くだものは「菓子」または「果子」の字が当てられるようになります。
奈良時代になると、穀類を加工して作る、現在のお菓子にあたる食べ物が海外から日本へ伝わってきますが、まだこの時代も、くだものと呼ばれていたそうです。
その後、「正式な食事以外の軽食にあたる食べ物のこと」全般を指す言葉として、くだものや菓子の呼び名が使われるようになります。
軽食とは主に果実類、菓子類、間食、酒のつまみのことです。
そして江戸時代になると、それらの呼び方に変化が現れます。
加工して作る甘い食べ物を「菓子」、果実類のことを「水菓子」として区別して呼ぶように変化しました。
また、果実類を指す場合には、地域によって違いがあり、関西地方ではくだもの、江戸では水菓子という言葉が使われていたそうです。
「水菓子=果物」は、江戸時代から主に東京で使われていた言葉だったのです。
水ようかんや水まんじゅうは水菓子とはいわない?
最近では、水ようかんや葛餅などの和菓子のことを、水菓子と呼ぶことが一般的になりました。
しかし、このような和菓子のことを水菓子と呼ぶことは、誤用とみなされる場合があるのです。
実際に一部の業界では、水ようかんなどを総称として水菓子と呼ぶことがありますが、これはあくまで専門分野での使い方です。
水分を多く含んだ菓子のことは水菓子ではなく、「生菓子」と呼ぶのが正しい呼び方です。
生菓子とは水分の多い、主に餡類を用いた菓子のことです。
生菓子は、和生菓子と洋生菓子に分類され、洋生菓子はスポンジケーキなどを指します。
また、生菓子とは反対に、水分の少ない乾燥した和菓子、落雁や和三盆などのことをまとめて「干菓子」と呼びます。
生菓子は、一般的には水分30%以上を含有する菓子類のことを指し、干菓子は水分10%以下の菓子のことを指します。
水菓子は果物を指す言葉だった!
水菓子とは本来、果物を意味する言葉だったのです。
現在では、果物類を指す場合に果物と言うことが多く、水菓子と呼ぶことはあまりありません。逆に夏に食べるような和菓子、水ようかんや水まんじゅう、ゼリーなどを指す用語として使われることが多くなっています。
言葉の意味が時代と共に変わってくることは多くありますが、水菓子のように当たり前に使っているような言葉でも、実は本来の意味とは違うということは珍しくないのかもしれません。