DELISH KITCHEN

松花堂弁当とは?特徴や幕内弁当との違いを解説

作成日: 2023/02/24

さまざまなおかずが美しく盛り付けられた松花堂弁当。見た目も味も素晴らしいお弁当ですが、なぜ松花堂弁当という名前がついているのか、知らない方も多いかもしれません。

また、食事会や法事、祝い事の席などで食べる松花堂弁当と、コンビニやお弁当屋さんで売られている幕の内弁当。どちらも古くからあるお弁当ですが、違いがわからない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、松花堂弁当の特徴や由来、幕の内弁当との違いについて解説します。由来や特徴を理解して、松花堂弁当をおいしく味わいましょう。

目次

  1. 松花堂(しょうかどう)弁当とは
  2. 松花堂は人の名前が由来
  3. 幕の内弁当との違いは?
    1. 発祥・由来の違い
    2. お弁当の中身の違い
    3. 盛り付け方の違い
  4. 松花堂弁当は懐石料理としても出されるお弁当だった!

松花堂(しょうかどう)弁当とは

松花堂弁当とは、中に十字の仕切りがあり、縁の高いかぶせ蓋のある弁当箱を用いたお弁当のことを指します。

4つに仕切られたお弁当箱が一般的ですが、最近では6つや9つに分かれた仕切りも珍しくありません。

中にはお刺身や焼き物、煮物、ご飯物などが入っているのが一般的です。仕切りがあり隣の料理に味や温度が移らないため、温かいものや冷たいもの、汁物などが含まれる場合もあります。

松花堂弁当は、略式の懐石料理として出される格式高いお弁当であるため、マナーにも注意が必要です。「料理を口に運ぶときは、手を添えず懐紙を使う」「間違った箸の使い方に気をつける」「わさびは醤油に溶かさずお刺身に直接つける」といった、基本的な和食の作法をおさえておきましょう。

松花堂は人の名前が由来

松花堂弁当の由来は、江戸時代に書道家・画家として活躍した僧侶「松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)」だとされています。

当時昭乗は、農民が種入れとして使っていた十字の箱を、絵の具箱や薬箱として使用していました。

松花堂弁当が誕生したのは、松花堂昭乗が亡くなってから数百年後の1933年ごろのことです。大阪邸内の茶室「松花堂」で、懐石料理やお茶でお客様をもてなす茶事が開かれました。

その際、料亭「吉兆」の創始者となる湯木貞一が十字に仕切られた器を見て料理の器としたらどうかと考え、のちにお弁当箱として考案したそうです。こうして作られたお弁当は、十字に仕切られた器を愛用していた松花堂昭乗に敬意を払って「松花堂弁当」と名付けられました。

このお弁当が当時の新聞に取り上げられ、「松花堂弁当」という言葉が世間に広がったといわれています。見た目の美しさと、それぞれの味や香りが移らない機能性を併せ持つ器として日本全国で利用されています。

現在では多くの料亭などで楽しめる松花堂弁当ですが、そのはじまりは江戸時代にまで遡るのです。

幕の内弁当との違いは?

伝統的なお弁当である「松花堂弁当」と「幕の内弁当」は、どちらも少量ずついろいろなおかずを食べることができるお弁当なので、よく混同されがちです。

しかし、発祥や中身、盛り付け方などに大きな違いがあります。ここからは、松花堂弁当と幕の内弁当の違いについて解説します。

発祥・由来の違い

幕の内弁当の発祥にはいくつかの説があります。江戸時代の中期頃、芝居を見に来ていたお客さんが芝居の合間(幕内)に出されたことから、幕の内と呼ばれるようになったという説が有力です。

そのほか、戦場の陣幕内で食べたのが始まりという説や、芝居興行のときに役者が幕の内側で食べていたという説もあります。

江戸時代後期には庶民にも普及し、今のような形のご飯と数種類のおかずを詰めたものが売り出されるようになりました。

お弁当の中身の違い

幕の内弁当のごはんは、白米に梅干しと黒ごまがのっています。もともと、俵型のおにぎりを詰めるのが一般的でしたが、現在は俵型になるように型押しされている場合がほとんどです。

おかずは、焼き魚や卵焼き、漬物など、汁気のないものを詰め合わせます。なお、江戸時代は貴重とされていた魚や卵などの具材が入っていたことから、庶民の間でも大変人気だったようです。

最近では、ハンバーグやエビフライといった洋食のおかずが入っていることもあり、時代の変化に合わせて愛され続けています。

一方、懐石料理として作られた松花堂弁当は十字に仕切られているため、汁気のあるおかずや汁物などが入っている場合もあります。

盛り付け方の違い

幕の内弁当は、江戸時代は庶民の間で愛され、現在もコンビニやお弁当屋さんで売られています。さまざまなおかずが少量ずつ入っていて食べやすいので、お花見や運動会、遠足などの行楽シーンに適しています。

一方、懐石料理の流れから生まれた格式高い松花堂弁当は、十字の枠に小皿を入れて盛り付けるのが特徴です。味はもちろん、色味や分量などに気を配り、美しく配置されています。松花堂弁当は懐石料理の流れを汲むものなので、お祝いの席やおもてなしに適しています。

幕の内弁当のように手軽に食べるのではなく、ゆっくりと時間をかけて味わう料理といえるでしょう。

松花堂弁当は懐石料理としても出されるお弁当だった!

松花堂弁当は、十字に仕切られた器を使った料理で、お茶会の懐石料理として用いられています。味はもちろん見た目でも高級感を楽しめるお弁当です。

一方、幕の内弁当は芝居の休憩時間に食べられていたお弁当で、短時間で手軽に食べられるようおにぎりと汁気の少ないおかずが入っています。

このように、汁気がないおかずを使用している幕の内弁当と、汁物が添えられることもある松花堂弁当には大きな違いがあります。

幕の内弁当との違いや特徴を理解して、松花堂弁当を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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