鉄とはどんな栄養?多く含まれる食品は?
作成日: 2020/10/30
鉄はミネラルの中でも聞き慣れた栄養素ではないでしょうか。毎日鉄を摂取しておきたいけれど、どれくらいの量摂取したらいいのか、どんな食品に含まれているのかわからないことも多いですよね。そこで今回は鉄についてご紹介します。
1.鉄とは
鉄は人体に必要なミネラルの一種で、赤血球のヘモグロビンに多く存在し、不足すると貧血を起こします。成人の体内に約3~5g存在し、そのうち70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在します。残りの30%は肝臓や骨髄、筋肉等に貯蔵鉄として蓄えられます。
鉄が不足すると
鉄が不足すると貧血を起こしますが、その貧血が「鉄欠乏性貧血」です。鉄欠乏性貧血は鉄が不足すると、赤血球のヘモグロビン減少に伴い赤血球数が減少するため、酸素の供給が十分できない状態のことです。頭痛、食欲不振、集中力の低下等の症状があります。また、筋肉中のミオグロビンが減少することで、筋力低下や疲労感等の症状が起こります。
鉄を摂りすぎると
鉄は吸収率が低いため、ふだんの食事で鉄を過剰摂取することはありません。しかしサプリメントや鉄強化食品等によって過剰摂取する場合があります。人は鉄を過剰に摂取すると、能動的に排泄する機能をもっていないので、急性毒性を起こす危険性もあります。
2.ヘム鉄・非ヘム鉄とは
食品中の鉄は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。肉や魚に含まれるものが「ヘム鉄」、野菜等に含まれるものが「非ヘム鉄」です。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよく、食物から摂取したヘム鉄は十二指腸、空腸上部でそのまま吸収されます。ヘム鉄を利用することで非ヘム鉄の吸収もよくなります。また動物性のたんぱく質やビタミンCを一緒に摂取すると吸収しやすくなります。
3.鉄を多く含む食品
可食部100g当たりに含まれる鉄の量が多い食品には、以下のようなものがあります。
- いわのり(素干し) 48.3mg
- きくらげ(乾) 35.2mg
- あさり(水煮缶) 29.7mg
- あさり(味付け缶) 27.8mg
- 干しえび 15.1mg
- 純ココア 14.0mg
- 豚レバー(生) 13.0mg
- 焼きのり 11.4mg
- いりごま 9.9mg
- アマランサス 9.4mg
- 鶏レバー(生) 9.0mg
- 刻み昆布 8.6mg
- しじみ(生) 8.3mg
- チアシード 7.6mg
- パセリ(生) 7.5mg
4.プルーンには鉄が多く含まれる?
鉄の多く含まれる物としてプルーンを聞いたことはないでしょうか。実際プルーンにはどれくらいの鉄が含まれているのでしょう。
100g当たりで見てみると、生プルーンには鉄が0.2mg含まれれており、乾燥プルーンには1.0mgのプルーンが含まれています。ドライフルーツとしてよく見かける乾燥プルーンは生プルーンより多く鉄が入っていることがわかります。
プルーン以外で鉄の多く含まれる果物
プルーン以外の果物ではどんな物に鉄が多く含まれているか見てみると、100g当たりでは以下のようなものがあります。
- 干しぶどう 2.3mg
- 乾燥あんず 2.3mg
- 乾燥いちじく 1.7mg
- 乾燥なつめ 1.5mg
- 乾燥バナナ 1.1mg
1度に100gのドライフルーツを食べることはありませんが、小腹が空いたときにつまみやすいドライフルーツは鉄補給にもおすすめです。もちろん生の果物にも量は少ないですが含まれています。1度に食べる量は生の果物の方が多いのでどちらも普段の生活に取り入れて食べてみるといいですね。
5.1日に必要な鉄の量は?
1日に必要な鉄の量はどれくらいなのでしょうか?
推定平均必要量は、男性18~64歳で6.5mg/日、65歳以上で6.0mg/日となります。女性は生理によって鉄損失が起こります。そのため月経なしの女性では18~64歳で5.5mg/日、65歳以上で5.0mg/日となりますが、月経ありの女性では18~29歳で8.5mg/日、30~64歳で9.0mg/日となっています。
推奨量は、男性18~74歳で7.5mg/日、75歳以上で7.0mg/日となります。月経なしの女性では18~64歳で6.5mg/日、65歳以上で6.0mg/日となりますが、月経ありの女性では18~49歳で10.5mg/日、50歳以上で11.0mg/日となっています。
また、耐容上限量も設定されており、18歳以上の男性は50mg/日、18歳以上の女性は40mg/日です。
缶詰やドライフルーツでも鉄補給!
今回は鉄についてご紹介しました。あさり缶やドライフルーツでも手軽に鉄補給できることがわかりましたね。いつもの料理で肉類を使うときに、鉄補給したいときはレバーを使ってみるのもおすすめです。
【出典】
・eーヘルスネット:鉄
・食品安全委員会:鉄
・食事摂取基準 (2020年版)
・日本食品標準成分表2015年版(七訂)