ビタミンAとは?レチノールやβーカロテンを含む食品は?
作成日: 2020/10/30
ビタミンにはいろいろな種類がありますが、ビタミンAはどんなもので、一体どんな働きをするのでしょうか。よく耳にするカロテンも実はビタミンAにとって大事な存在です。今回はそんなビタミンAについてご紹介します。
1.ビタミンAとは
人体の機能を正常に保つために必要なビタミン。その中でもビタミンAは、水に溶けない脂溶性ビタミンです。ビタミンAは視覚、聴覚、生殖等の機能維持、皮膚や粘膜等の上皮組織を正常に保つための重要な役割に関与しています。
ビタミン A はレチノイドといい、末端構造によりレチノール、レチナール、レチノイン酸に分類されます。体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンAの前駆体)はカロテノイド色素群に属し、約50種類あります。主な物は、βーカロテン、αーカロテン、クリプトキサンチン等です。βーカロテンは他のカロテノイドに比べて効率よくレチノールに変換されます。
ビタミンAは食品中にβーカロテンとして多く含まれますが、このβーカロテンには活性酸素の発生を抑え、取り除く働きがあります。そのためビタミンAは抗酸化ビタミンとなります。
ビタミンAは脂肪とともに小腸粘膜上皮細胞から吸収され、ほとんどは肝臓に貯蔵されます。他は血液によって各組織に運ばれ、たんぱく質と結合し組織を健全に維持してくれます。βーカロテンは、経口摂取すると小腸粘膜上皮細胞から吸収され、開裂、酸化されてレチナールになります。体内でビタミンAが不足しているときにβーカロテンのうち必要な量だけビタミンAに変換されます。βーカロテンは、体がビタミンAを必要としないときにはビタミンAに変換されず、そのまま脂肪細胞に貯蔵されるか排泄されます。
2.ビタミンAが不足すると
ビタミンA欠乏症の初期段階で夜盲症を発症することがあり、その後、結膜・角膜乾燥症に進行し、失明する場合があります。他にも免疫力の低下、生殖不能等があります。
3.ビタミンAを過剰摂取すると
ビタミンA過剰症には、骨密度の減少、骨粗鬆症等があります。症状には急性と慢性があり、急性の中毒症状は腹痛、嘔吐、めまい、過敏症等が出現した後、皮膚落屑がみられます。慢性の中毒症状では脳圧亢進症、食欲不振、体重減少、肝脾種、全身の関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛等があります。また、妊娠初期の場合は、胎児に奇形を生じる危険性があります。
4.ビタミンAを多く含む食品
ビタミンAを多く含む食品は、動物性食品に多く含まれるレチノールやカロテン含有量の多い緑黄色野菜です。それぞれの成分が同じような機能を持ちますが、同等の効力を持たない場合があるため、基準となる成分の相当量としてレチノール活性当量やβ‐カロテン当量として表されます。食品100g当たりにどれくらい含まれるか見ていきましょう。
【ビタミンA(レチノール活性当量)の多い食品】
- 鶏レバー(生) 14000μg
- 豚レバー(生) 13000μg
- あんこう肝(生) 8300μg
- 干しのり 3600μg
- 味付けのり 2700μg
- うなぎ(養殖・生) 2400μg
- 焼きのり 2300μg
- ほたるいか(ゆで) 1900μg
- ほたるいか(生) 1500μg
- うなぎ(蒲焼き) 1500μg
- あなご(蒸し) 890μg
- にんじん(皮むき、生) 690μg
- ドライマンゴー 500μg
【βーカロテン当量の多い食品】
- ほしのり 43000μg
- 味付けのり 32000μg
- 大葉(生) 11000μg
- モロヘイヤ(生) 10000μg
- にんじん(皮むき、ゆで) 8700μg
- にんじん(皮むき、生) 8300μg
- ドライマンゴー 6100μg
- ほうれん草(ゆで) 5400μg
- 春菊(ゆで) 5300μg
- 西洋かぼちゃ(生) 4000μg
- 西洋かぼちゃ(ゆで) 4000μg
ほしのりや味付けのりは1度にたくさんの量を食べることはないので、レチノールはレバーやうなぎ等の動物性食品から、βーカロテンは緑黄色野菜から摂取する方法がおすすめです。
5.1日に必要なビタミンAの量は?
1日に必要なビタミンAの量はどれくらいなのでしょうか?食事摂取基準ではビタミンAの必要量をレチノール活性当量(μgRAE/日)を用いて示されています。
推定平均必要量は、男性18~29歳で600μgRAE/日、30~64歳で650μgRAE/日、65~74歳で600μgRAE/日、75歳以上で550μgRAE/日となります。女性では18~29歳で450μgRAE/日、30~74歳で500μgRAE/日、75歳以上で450μgRAE/日となります。
推奨量は、男性18~29歳で850μgRAE/日、30~64歳で900μgRAE/日、65~74歳で850μgRAE/日、75歳以上で800μgRAE/日となります。女性では18~29歳で650μgRAE/日、30~74歳で700μgRAE/日、75歳以上で650μgRAE/日となっています。
また、耐容上限量も設定されており、18歳以上の男女とも2700μgRAE/日です。
野菜やレバーでビタミンAを摂取!
肌や視覚に大切なビタミンA。ビタミンAは脂溶性なので、油を使った炒め物や油を使ったドレッシングを合わせたサラダでビタミンAを摂取するのがおすすめです。普段の食事で過剰摂取になることはありませんが、サプリメントやビタミンAの多く含まれる食品をたくさん食べる日が続くことのないよう注意していきたいですね。
【出典】
・eーヘルスネット:ビタミン、抗酸化ビタミン
・食品安全委員会:ビタミンAの過剰摂取による影響
・食事摂取基準 (2020年版)
・日本食品標準成分表2015年版(七訂)