赤酢とはどんな酢?特徴や米酢との違いをご紹介
作成日: 2021/10/07
酢にはいくつか種類がありますが、「赤酢」という酢をご存じでしょうか。
普段の食事ではあまりなじみがない酢ですが、赤酢とは手間ひまかけて作られる、香り豊かな日本生まれの高級調味料のひとつです。
この記事では、赤酢について特徴や歴史、米酢との違いや、寿司で使われるシャリについてもご紹介します。
赤酢について
まずは、赤酢についてご紹介します。
赤酢とは
赤酢は、酒粕から作られる日本発祥の酢です。
赤みがかった色合いで、おもに寿司の酢飯を作るために用いられています。
酒粕から作られるため、赤酢のことを「粕酢(かすず)」と呼ぶこともあります。
一般的な酢としてよく使われる米酢は、米を原料とした日本酒などを酢酸発酵して作られているため、赤酢は原料が違うというのが大きなの特徴のひとつです。
赤酢の歴史
赤酢が普及したのは、江戸時代の後期であるといわれています。
赤酢が広まる大きな要因となったのは、江戸時代に生まれた江戸前の握り寿司です。
当時は米が貴重であったため、米を原材料とした酒から作られる米酢は貴重であり、長らく上流階級が使う高級な調味料でした。
そんな中、酒粕を原材料とする赤酢は、米酢に比べて安価に作ることができたとされています。
安価に作れる酢が生まれたことと、江戸前寿司がブームになったことで、寿司に欠かせない調味料として赤酢が日本中に広まったといわれています。
赤酢と米酢の違い
原材料に違いがある赤酢と米酢ですが、そのほかの違いもみていきましょう。
製造方法の違い
赤酢は酒粕から作られており、米酢とはできあがるまでの期間も異なります。
赤酢は、酒を醸造した際に残る酒粕を熟成させたものを、酢酸発酵させて作ります。
昔ながらの伝統製法で作られる赤酢は、酢酸発酵の期間だけでも半年ほどの時間がかかります。
また、酒粕の熟成に2〜3年程度の期間が必要なことから、赤酢はできあがるまでに3〜4年近くの長い月日がかかります。
米酢の発酵期間は約3〜4ヶ月、熟成期間は8〜10ヶ月程度のため、赤酢は米酢に比べて2倍以上の時間をかけて作られています。
色・味の違い
黄みがかった米酢に対して、赤酢は鮮やかな赤色から赤褐色をしていますが、その特徴的な色は酒粕に含まれている栄養の成分が由来です。
また、長い熟成と醸造期間の末にできあがる赤酢は、米酢に比べると酸味がまろやかで香りのよい酢です。
ツンとした刺激が少なく、マイルドな味わいで旨味があるのが特徴です。
赤シャリと白シャリの違い
ここからは、赤シャリと白シャリについてご紹介します。
米のことを指すシャリですが、寿司に使われる酢飯を表す言葉としても使われています。
一般的な寿司で使う白シャリ
一般的な寿司店で使われている白い酢飯は、米を醸造して作る米酢が使われています。
米酢などの黄色っぽい色合いの白酢と、米を合わせたものが「白シャリ」と呼ばれています。
白シャリは米に色がつかないため、寿司ネタの色が綺麗に映えるといった利点があります。
伝統的な江戸前寿司で使う赤シャリ
赤酢を米と合わせて作る酢飯のことを「赤シャリ」と呼びます。
白い米に赤褐色の赤酢を混ぜると、ほのかな紅色になることから赤シャリといわれるようになりました。
伝統的な江戸前寿司は赤シャリで握られることが多いですが、江戸時代以降、庶民などの間では高価な米酢より、安価な赤酢の方が重宝されてきました。
当時は米酢より安価だった赤酢ですが、現在では、熟成期間が長く製造に時間や手間がかかるので流通量が少ないため、高価な高級酢として取り扱われています。
赤酢を使った赤シャリは、伝統的な江戸前寿司のネタであるマグロやヒラメ、アナゴなどと相性がよいため、今でも高級な江戸前寿司店などで使われています。
赤酢は風味豊かな日本発祥の酢
赤酢とは酒粕から作る、赤みががった色をした酢です。
一般的な酢である米酢は、日本酒などから作られているため原材料が異なっています。
赤酢は酸味がまろやかで香りがよく、上品な味わいです。
伝統的な製法で作られ、できあがるまでに長い年月を必要とするため流通量が少なく、今では高価な調味料となっています。