胚芽米(胚芽精米)とは?栄養・玄米との違いや美味しい炊き方を解説
作成日: 2021/10/20
私たちが日ごろ食べているお米は加工や精米の度合いによって呼び名が変わります。こちらの記事では胚芽米の特徴や美味しい炊き方をご紹介します。
また、胚芽米の大きな特徴である栄養価を白米と比較してみてみましょう。
胚芽米について
まずは胚芽米の特徴や栄養といった基礎知識をみていきましょう。
胚芽米とは
胚芽米の誕生には明治から昭和初期にかけて特に蔓延した脚気病が大きく関わります。明治時代に勃発した日露戦争では脚気病による戦死者が多く深刻な問題でした。
その後、脚気病にビタミンB1が有効と判明して以降、ビタミンB1が豊富な胚芽を残して精米した胚芽米が開発され、陸海軍の兵食に採用されると大勢の人が脚気病を免れることができたといわれています。
現在では玄米から糠層を削り、胚芽が8割以上残るように精米したお米のことを胚芽米と定義されるようになりました。胚芽米は糠層を削っている分、食感は精白米に近く、玄米に比べてくせが少なく食べやすいのが特徴です。
胚芽米の栄養
胚芽米(めし)(100gあたり)の栄養価は以下の通りです。
カロリー:159kcal
たんぱく質:2.7g
炭水化物:36.4g糖質:35.6g
食物繊維:0.8g
胚芽米の栄養価を白米の栄養価と比較すると
カリウム1.8倍(51mg)、カルシウム1.7倍(5mg)、マグネシウム3.4倍(24mg)、鉄2倍(0.2mg)、ビタミンE4倍(0.4mg)、ビタミンB₁ 4倍(0.08mg)、ナイアシン1.6倍(1.3mg)、葉酸2倍(6μg)、ビオチン2倍(1μg)と豊富です。
※()は胚芽米の栄養価 倍数は四捨五入、栄養成分の表示順は、食品成分表表記順
胚芽米は鉄やマグネシウムといったミネラルも豊富ですが、中でもビタミンB₁、Eが多く含まれているのが特徴です。
ビタミンB₁は、糖質をエネルギーに変える際、必要とされるビタミンです。ビタミンEは、脂溶性のビタミンの一つで、強力な抗酸化作用によって細胞の酸化を防ぐことから別名「若返りのビタミン」と呼ばれることもあります。
【出典】
・日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
【参考】
・日本人の食事摂取基準(2020 年版)
・「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書 ビタミン B1
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
・厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 ビタミンE
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html
・女子栄養大学
https://www.eiyo.ac.jp/haigamai/
・21胚芽精米推進協議会
http://haigaseimai.com/haigaseimai.html#feature
ビタミンEの働きや1日に必要な目安量などについては詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ガンマアミノ酪酸(GABA)
胚芽米は、水に浸漬することによりガンマアミノ酪酸(GABA)が生成してくることがわかっています。GABAとは、アミノ酸の一種で人間の体内では脳内に多く含まれています。
GABAは、神経伝達抑制物質として知られており、神経の高ぶりを抑えて、正常な働きに戻す役割を担っています。また、血圧降下作用があることでも知られています。
【出典】
・日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
【参考】
・日本人の食事摂取基準(2020 年版)
・「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書 ビタミン B1
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
・厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 ビタミンE
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html
・女子栄養大学
https://www.eiyo.ac.jp/haigamai/
・21胚芽精米推進協議会
http://haigaseimai.com/haigaseimai.html#feature
白米・玄米との違い
まず、玄米・胚芽米・白米の大きな違いは構造にあります。下記のイラストを見ると分かるように収穫したお米のもみがらを取り除いたものが玄米です。
その次に、玄米から茶色い糠層を取り除くと胚芽米となり、さらにそこから上部についている胚芽を取り除くと白米になります。
糠層を削っている分、胚芽米の栄養価は玄米よりも劣りますが、白米と同様に炊飯器で炊くことができるので、手軽に取り入れやすいのがうれしいポイントです。胚芽米の食感や味は白米に近いです。
分づき米との違い
分づき米とは玄米を精米し、白米にするまでの途中段階のものです。分づき米の中でも一般的なのは3分づき米、5分づき米、7分づき米ですが、この数字は玄米の糠層や胚芽が取り除かれる割合を表します。
つまり、数字が低いものはより玄米に近く、数字の高いものはより白米に近いということになります。分つき米の胚芽の残り具合を比較してみると、3分づき米や5分づき米はほぼ胚芽が残るのに対して、7分づき米まで精米すると胚芽が少し失われます。
分づき米も糠層が残っている分、玄米のような固くぼそぼそした独特の食感が多少残ります。それに対して、胚芽米はじっくりと時間をかけ、特殊な胚芽精米機で加工することで糠層だけ削り、胚芽のみを残して精米されたものです。
そのため、胚芽米は糠層が取り除かれている分、分づき米の中でも白米に近い7分づき米よりも食感・味ともに白米に近く、より食べやすいという違いがあります。
胚芽米の美味しい炊き方
最後に胚芽米を美味しく炊く方法をご紹介します。胚芽米は玄米と違い、炊飯器の白米モードで炊飯することができるため、どのご家庭でも取り入れやすいですよね。
ただし、胚芽米を白米のようにゴシゴシ研いでしまうと、せっかく残した胚芽が取れてしまい、水に溶けやすいビタミンB1などの栄養素がお米を研ぐ過程で流出してしまう場合があります。
そのため、胚芽米は軽くかき混ぜるようにさっと研ぎます。もし、心配なようでしたら胚芽米の無洗米もあるので、そちらを使ってみるのもよいでしょう。
また、胚芽米は胚芽がある分白米よりも水分量が少ない為、水加減は白米より少し多めにするとふっくら炊き上がります。お米の水加減は炊飯器の内釜の目盛りで見る人も多いと思うので、お米を予めカップで正確に計量しておくことも大切ですね。
さらに、胚芽米をふっくら炊く為には、しっかり浸水させることも重要なポイントです。胚芽米は浸水時間が短いと、炊き上がりの食感がぼそぼそし、仕上がりが悪くなってしまいます。胚芽米の浸水時間は最低でも1時間が目安で、室温の低い冬なら2時間くらいがベストです。
白米より栄養価の高い胚芽米を取り入れてみよう
こちらの記事では胚芽米について詳しくご紹介しました。胚芽米は特殊な方法でビタミンB1が豊富な胚芽を残して精米したお米で、味や食感はほとんど白米に近いものです。
胚芽米を美味しく炊くためには洗米や浸水の工程に少し注意が必要ですが、ご家庭の炊飯器を使うことができるので、どなたでも取り入れやすいでしょう。
いつも食べている白米を胚芽米に代えるだけで食事で摂取できる栄養素の量が増えるのは手軽でうれしいですね。ぜひ参考にしてみてください。