世界一にもなった料理ルンダンとは?味わいやレシピをご紹介
作成日: 2023/11/20
インドネシア料理といえば、ナシゴレンやミーゴレン、サテなどが有名ですが他にも違った魅力を持つ料理がたくさんあります。その中でも、インドネシアの郷土料理として知られているのがルンダンです。
ルンダンは世界一にも選ばれたことのある料理ですが、日本では見かける機会も少なく、知らない方も多いかもしれません。
この記事では、ルンダンの基礎知識や歴史、味や食感などの特徴、自宅で作れるルンダンのレシピをご紹介します。
ルンダンとはどんな料理?
まずはルンダンとはどのような料理なのかみていきましょう。歴史や世界一美味しいと言われている理由についても解説します。
ルンダンの基礎知識
ルンダン(rendang)はインドネシアの郷土料理として知られており、牛肉や鶏肉などを複数のスパイスやココナッツミルクで長時間煮込んだ濃厚な味わいの料理です。レンダンとも呼ばれることもあります。
ルンダンはマレー系ムスリム料理の代表的な料理であり、インドネシア以外にもマレーシアやシンガポールなどで食べられています。現地のルンダンは、複数のスパイスに加えてレモングラスやコブミカンの葉など日本人にはあまりなじみのない食材も使われており、まさにエスニック料理と呼ぶのにふさわしいものです。
インドネシアでは日常的に食べられている国民食です。家庭や地域によって使われるスパイスの種類や量が異なり、味や見た目にも違いがあります。インドネシアの食堂に行くと、それぞれの食堂ごとに異なるルンダンを食べることができますよ。
また、おもてなしの料理として作られたり結婚式やお祝い、断食明けなどの特別な日に食べたり、さまざまなシーンで親しまれている料理です。日本ではまだ馴染みがなくお店で食べられるところは少ないですが、レトルトのルンダンやルンダンの素が売っている店舗もあるのでぜひ手に取ってみてください。
ルンダンの歴史
ルンダンの発祥はインドネシアの西スマトラ州だといわれています。イスラム教徒であるミナンカバウ族が最初に作ったとされており、ミナンカバウ族の伝統料理として親しまれています。ミナンカバウ族の間で用いられてきた肉の保存方法がルンダンの原型になりました。
ルンダンは世界一美味しい料理?!
ルンダンは2017年にアメリカのCNNが発表した「The world's 50 best foods」で、1位に選ばれました。その年の2位は同じくインドネシア料理であるナシゴレンでした。2018年にはインドネシアの5つある国民食の1つとして正式に選ばれ、インドネシアを代表する料理として認知されています。
気になるルンダンの味は?特徴をご紹介
世界一美味しいといわれているルンダンとはどのような味なのか気になりますね。ここからはルンダンの見た目や味などをご紹介します。
ルンダンの見た目やにおい
ビーフシチューやカレーのような見た目で、スープはさらさらしています。その見た目から英語表記でシチューと書かれる場合もあります。塊肉がゴロゴロと入っているので、食べ応え抜群です。複数のスパイスがきいており、エスニック料理特有のスパイシーで芳醇なにおいがします。ルンダンの独特な香りは食欲をそそります。
ルンダンの味や食感
複数のスパイスを使用しているので激辛なのでは?と思われるかもしれませんが、ココナッツミルクの甘さとスパイスのスパイシーさと風味が複雑に絡み合い、程よくマイルドでコクのある味わいです。一口食べればスパイスが口の中に広がり肉の旨味とコクが鼻から抜け、一度食べたら忘れられない味です。
濃厚な味わいで白ごはんとの相性が抜群。ルンダンのスープがごはんに染み込み、たまらない美味しさです。ごはんが主食の日本人にとっても食べやすい料理といえるでしょう。
牛肉や鶏肉は長時間煮込まれているので、フォークやナイフでも簡単に切れるほど柔らかいです。味もしっかり染み込んでいます。牛肉のルンダンはコクと旨味が凝縮しており、鶏肉のルンダンは牛肉のルンダンよりもあっさりとしています。肉の種類によって味わいが異なるのも、ルンダンの魅力のひとつです。
国によってルンダンの作り方に違いがあります。一般的にインドネシアのルンダンは汁気がなくなるまで長時間煮込むのが特徴。一方マレーシアのルンダンは汁気があるものが多いのが特徴です。また、インドネシアの中でも地域によって味が異なります。
ミナンカバウ地方のルンダンは、最も一般的でコクと旨味が強いのが特徴です。
ジャワ島の料理は甘い味付けの料理が多いのが特徴。ジャワ島のルンダンは、甘みと辛味がバランスよく、マイルドな味わいです。バリ島の料理はサンバルという唐辛子の調味料やスパイスを多用した料理が多いのが特徴。
バリ島のルンダンは、スパイスの風味が強く、ピリッとした辛さが楽しめます。
ルンダンには種類がある
一般的には牛肉が使われるルンダンですが、鶏肉のルンダンや魚のルンダンなど、具材によってさまざまなバリエーションがあります。牛肉は肺や胃などさまざまな部位が使われています。インドネシアやマレーシアの人々はイスラム教徒の方が多いので豚肉は使われません。
イスラム教の教えでは豚肉を食べてはいけないという決まりがあるからです。
【ルンダンによく使われる材料】
・牛肉
牛肉はルンダンの定番食材です。肩ロース肉やすね肉が使われることが多いです。肩ロース肉は赤身と脂肪のバランスがよく、柔らかい肉質が特徴。すね肉は煮込むと柔らかくなるのでルンダンにぴったりの食材です。
・鶏肉
鶏肉のルンダンは牛肉を使ったルンダンよりもあっさりとした味わいになります。牛肉よりも柔らかくクセも少ないので食べやすいですよ。もも肉やむね肉が使われることが多いです。
・魚
ルンダンは肉だけでなく魚でも作られます。魚はココナッツミルクやスパイスとの相性がよく、ルンダンの風味を引き立てます。魚の旨味をしっかり味わうことができますよ。煮過ぎると固くなってしまうので注意が必要です。
・卵
卵にルンダンの汁気が染み込むことで卵のコクや旨味とルンダンの風味が混ざり合い、より豊かな味わいになります。ルンダンと卵が混ざり合うと、まろやかになりますよ。肉や魚のルンダンとは違った味わいでおすすめです。
・イカ
イカは弾力のある食感の食材です。ルンダンにイカを加えることで、食感のアクセントになります。加熱時間によって、食感が変わります。イカが固くなりすぎないように、加熱時間は短めにするのがおすすめです。
・エビ
エビには、コクや旨味成分が豊富に含まれています。ルンダンにエビを加えることでコクや旨味がアップし、より美味しくなりますよ。プリプリとした食感が楽しめます。
牛肉のルンダンはさらに「ルンダン・パル」、「ルンダン・ババット」などがあり、バリエーションが豊富です。「ルンダン・パル」は牛肉の肺、「ルンダン・ババット」は牛肉の胃袋を使ったルンダンです。使われている食材がわかるように、ルンダンの後に食材の名前が付けられています。この他にもレバーなどが使われることもあります。
また、特別な日には1kgの牛肉を使って作られるルンダンもあるそうです。
【ルンダンに使われるスパイス】
・ターメリック
ターメリックは独特の香りと苦みがあり、黄金色をしています。ルンダンの黄色の色付けに欠かせないスパイスです。ルンダンに深みのある味わいとコクが出ます。
・ナツメグ
ナツメグは独特の甘さとスパイシーな風味が特徴です。ルンダンにナツメグを加えることで、コクや旨味がアップしますよ。ナツメグには肉の臭みを消す効果もあります。
・チリパウダー
チリパウダーは赤唐辛子をベースのスパイスで、赤色をしています。ルンダンにチリパウダーを加えることで辛味を付けることができます。チリパウダーを入れすぎると辛くなってしまうので好みに合わせて調整してください。
・コリアンダーパウダー
コリアンダーパウダーは独特の爽やかな香りと風味が特徴で、カレーに欠かせないスパイスです。コリアンダーパウダーの独特な香りがルンダンの味わいをより豊かにしてくれます。
・カルダモン(パウダー)
カルダモンは清涼感のある甘い香りと、ピリッとした辛みとほろ苦さが特徴です。カルダモンもカレーに欠かせません。ルンダンの風味や香りを引き立ててくれるスパイスです。
・シナモンパウダー
シナモンパウダーは独特の甘くスパイシーな香りが特徴です。お菓子作りに使われることが多いですが、肉との相性もよく肉の旨味を引き立て深みのある味わいになります。
自宅でも作れるルンダンのレシピをご紹介
ルンダンは作るのが難しいと思われるかもしれませんが、ルンダンは自宅でも作ることができます。
普段馴染みのないスパイスを使用しますが、より本格的なルンダンを味わうことができますので、
ぜひホームパーティーなどのおもてなし料理に作ってみてください。
材料 【2人分】
牛ももブロック肉 300g
玉ねぎ 1/2個(100g)
レモングラス 1本
しょうが 1かけ
にんにく 1かけ
カシューナッツ 20g
塩こしょう 少々
ココナッツミルク 100cc
水 100cc
サラダ油 大さじ2
塩小さじ 1/2
コブミカンの葉 1枚
☆スパイス
ターメリック 小さじ1/2
ナツメグ 小さじ1/2
チリパウダー 小さじ1/2
コリアンダーパウダー 小さじ1/2
カルダモン(パウダー) 小さじ1/2
シナモンパウダー 小さじ1/2
手順
①玉ねぎは縦半分に切り、切り口を下にして横に3等分に切る。レモングラスはキッチンバサミで4等分に切る。にんにくは縦半分に切り、芯を取り除く。
②フードプロセッサーに玉ねぎ、レモングラス、しょうが、にんにく、カシューナッツを入れて、細かくなるまで撹拌する。
③牛肉は大きめの一口大に切り、塩こしょうをふる。
④厚手の鍋にサラダ油入れて熱し、②を入れる。鍋底が焦げないよう、かき混ぜながら弱めの中火で2分炒める。☆、③、コブミカンの葉を加えて肉の色が変わるまで混ぜる。ココナッツミルクの半量(50cc)、水を加えて混ぜて煮立たせ、ふたをして、時々混ぜながら弱火で30分煮る。
⑤残りのココナッツミルク(50cc)、塩を加える。弱めの中火で水分をとばすように混ぜながら30分煮る。
上でご紹介したレシピは以下のページでもみることができます!
ぜひ一度世界一の味をお試しください♫
ポイント
エシャロットがあれば玉ねぎの代わりに同量でお作りください。
②レモングラスの繊維は少し残りますが、できるだけ細かく撹拌してください。
ココナッツミルクが香る♪ルンダン
ルンダンはインドネシアの郷土料理
ルンダンとは牛肉や鶏肉などを複数のスパイスやココナッツミルクで長時間煮込んだインドネシアの郷土料理です。牛肉や鶏肉など、さまざまな食材で作られます。2017年にアメリカのCNNが発表した「The world's 50 best foods」で、1位に選ばれており世界的に美味しい料理として認知されています。
ルンダンはまだ日本ではあまり馴染みのない料理ですが、レトルトなどで手軽に食べることができます。ご家庭でも作ることができるので、ぜひ世界一美味しいといわれているルンダンを味わってみてください。