緑茶・玉露・抹茶は一体何が違う?お茶の種類も合わせてご紹介!
作成日: 2023/12/08
普段私たちの生活に欠かせない「お茶」。毎日飲んでいるという人も少なくないでしょう。
ですが普段飲んでいるお茶でも緑茶や玉露、抹茶など正しく違いを説明できますか?実際に何が違うのかわかりづらいものですよね...?
お茶の種類は多岐にわたります。お茶が一体何種類あるのか、知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、お茶は何種類あるのか、詳しく解説していきます。合わせて、馴染み深いお茶の特徴についてもご紹介しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
お茶は何種類ある?
では、お茶は全部で一体何種類あるのでしょうか。詳しく解説していきます。
お茶はざっくり2種類に分けられる
お茶は細かく種類を分類しようとすると、栽培や加工などの製造方法や茶葉の違いによって100種類以上に分けられます。その中でも、まずはざっくり2種類に分かれるのが特徴です。
その2種類とは、茶の樹からできるお茶と、茶の樹以外からできるお茶を指します。それぞれの違いについて、次から詳しく解説していきます。
茶葉から作られるお茶
茶の樹から作られるお茶も、ざっくりと3種類に分けることができます。茶葉から作られる3種類のお茶は、以下の3つです。
・緑茶
・烏龍茶
・紅茶
意外に感じるかもしれませんが、緑茶と烏龍茶や紅茶は同じ茶の樹からできる葉から作られているのです。では、なぜ味わいや風味がそれぞれ全く違うものになるのでしょうか。
それは、冒頭でも触れたように、製造方法が異なるためです。お茶の葉は、摘み取った瞬間から酵素発酵(酸化)が始まります。お茶における酵素発酵とは、茶葉内の成分が酸化することです。
酵素発酵により、栄養成分の生成やカテキンの成分の変化などが起こり、茶葉が変色していきます。この酵素発酵の時間をコントロールすることで、緑茶や烏龍茶、紅茶などを作り分けることができるのです。
以下で緑茶、烏龍茶、紅茶の製造方法を詳しく解説していきます。
緑茶
緑茶は全国で最も多く飲まれていることから、日本人にとって1番馴染みのあるお茶といえるでしょう。そんな緑茶は、茶葉を発酵させずに製造されているお茶です。酸化発酵をさせないことから、「不発酵茶」ともよばれます。
緑茶は茶葉を蒸気で蒸した後、揉んでから乾かして作られます。茶葉を蒸気で蒸すことで、茶葉に含まれる酵素発酵の働きを止め、きれいな緑色の状態を保ってくれるのです。
また、蒸す時間の長さによって味や香り、色味が変わるのも特徴です。緑茶と一言でいっても煎茶や抹茶などさまざまな種類があります。どれも元は同じお茶ですが、蒸す時間の違いによって、種類が細分化されていくのです。
後ほど馴染み深い緑茶をピックアップし、それぞれの特徴や製造方法などをご紹介します。
烏龍茶
烏龍茶は中国茶の一つです。もとは緑茶と同じ茶葉から作られるお茶ですが、違いは半発酵している点です。
半発酵という名前の通り酵素発酵はさせますが、途中で酵素発酵を止めて作られます。茶葉を釜に入れ、炒ることで発酵を止める方法で作られるのが特徴です。酵素発酵の度合いによって、緑茶と同様にさまざまな風味や味わい、色味に変化をもたせられます。
また、茶葉は発酵すると褐色に変化していくのが特徴です。発酵を途中で止める烏龍茶の茶葉は発酵した褐色と発酵していない緑色が混ざった、青色をしています。そのため、「青茶」と呼ばれることも。
元々茶葉にはカテキンと呼ばれる苦味成分が含まれていますが、酵素発酵によりタンニンと呼ばれる渋み成分に変化します。そのため、半発酵の烏龍茶は、苦みと渋みの両方を感じることができるのです。
烏龍茶のような半発酵茶には、凍頂烏龍茶、東方美人、武夷岩茶、鉄観音などがあります。日本でも台湾茶やタピオカが流行した際に、これらのお茶を目にした方もいるのではないでしょうか。
ちなみにプーアル茶やジャスミン茶は、烏龍茶より発酵を進めたお茶です。これらのお茶は全て中国茶で、中国だけでなく台湾でも親しまれています。
紅茶
紅茶は緑茶や烏龍茶とは異なり、完全に発酵を進めたお茶のことを指します。完全発酵茶とも呼ばれ、発酵時間が最も長いことから、茶葉が赤褐色に変化し、特有の香りを放っているのが特徴です。
紅茶にも数多くの種類があり、酵素発酵の時間をコントロールすることでさまざまな風味や味わいの紅茶を作り出しています。有名な紅茶だと、ダージリンやアッサム、ウバ、キーモンなどがあげられますが、世界の三大紅茶はインドのダージリン、スリランカのウバ、中国のキーモンです。
有名な紅茶の一つにアールグレイがあります。しかし、アールグレイは中国系の紅茶の茶葉に、ベルモットの表皮から抽出したオイルを吹きかけて作られるフレーバーティーのため、純粋な紅茶ではありません。
紅茶は約20ヵ国で生産されており、さまざまな国で消費されています。世界中の全ての種類のお茶の中でも生産量の70%といわれるほど最も飲まれているのが特徴です。また、全ての飲料の中でも世界で最も飲まれており、その量はコーヒーの2倍ともいわれています。
紅茶はさまざまな国で生産されているため、産地や気候により、品質や香りに個性があるのも魅力です。香りや味わいは異なるものの、基本的に発酵することによる強い渋みを感じられます。
茶葉以外のものから作られるお茶
茶の樹の葉から作られないお茶も数多く存在します。茶葉以外のものから作られるお茶は、別の植物などを原料に作られているのが特徴です。
それぞれのお茶がどのような製造方法で作られているのか、またどの地域や季節で飲まれているのか、どんな味や風味なのかについて詳しく解説していきます。
麦茶
麦茶とは、焙煎した大麦を煎じたお茶のことです。麦の香ばしい風味を楽しめます。茶葉を使っていないので、カフェインが含まれていないのも特徴です。
以前は粒上の麦を煮だして作るのが一般的でしたが、近年では麦を粉砕してティーバッグ状にしたものが定番となっています。麦茶の主な生産地は栃木県、佐賀県、福岡県です。夏の飲料として飲まれることが多いですが、温めて寒い時期に飲むこともあります。
ほんのりと甘みがあり、苦みや渋みがないので飲みやすいのが魅力です。また、香ばしい風味も楽しめます。
そば茶
そば茶とは、そばの実を脱皮し焙煎したお茶です。苦みはほとんどなく、そば特有の香りを楽しめます。
そばの名産地である長野県や島根県、岩手県などで主に作られています。冷たくても温かくても美味しいため、季節を問わずに楽しめるのが魅力です。
どくだみ茶
どくだみ茶とは、ドクダミ科の多年草から作られたお茶のことです。どくだみはさまざまな効能があることから、昔から薬として愛用されてきました。そのどくだみを飲みやすいように健康茶として仕上げたのが、どくだみ茶です。
意外にも苦みや渋みはほとんどなく、麦茶やほうじ茶のように香ばしい風味を楽しめます。クセが少ないため、他のお茶とブレンドして販売されていることも少なくありません。
どくだみの二大産地は兵庫県と徳島県です。7月頃が最も薬効が高いとされており、6~8月頃に収穫されます。
豆茶
豆茶とは、カワラケツメイの茎や葉を陰干しして作られたお茶のことです。カワラケツメイはマメ科のため、豆茶という名前が付けられました。
クセにない風味と香ばしい香り、まろやかな味わいなので、苦みや渋みが苦手でも飲みやすいお茶といえます。
また、炒った大豆を煮出したものも、豆茶と呼ばれることがあります。香ばしい香りとまろやかな味わいが特徴です。乾燥した大豆を炒って煮出すだけなので、自宅でも簡単に作れます。
カモミールティー
カモミールティーとは、カミツレというキク科の植物から抽出したハーブティーのことです。りんごのような甘い香りと、すっきりとした味わいを楽しめます。カモミール特有の香りは、リラックスできるという人も多いようです。
また、お茶は黄金色と美しい色をしているのも特徴です。ミルクティーにしても美味しくいただけます。
カモミールティーは岐阜県大垣市で主に生産されており、3~5月に花を咲かせた後、収穫されます。咲き終えて花びらが落ちるか、反り返って中央部分が盛り上がってきたら収穫のサインです。黄色の部分を摘み取り、乾燥させて作られます。
ルイボスティー
ルイボスティーとは、マメ科の低木から作られるお茶のことです。主に南アフリカのケープタウンから北に200Km離れた場所にある、セダルバーグ山脈に囲まれた土地で栽培されています。
ルイボスティーの原料である低木は、この地域でしか栽培できない非常に貴重なものです。ルイボスティーの旬は夏頃、日本だと1~3月末ごろ。すっきりとした味わいと爽やかな後味のため、夏にぴったりのお茶といえます。もちろん、ホットで飲むのもおすすめです。
そのすっきりとした味わいから、焼肉や揚げ物などこってりとした食べ物とよく合います。
緑茶の種類や特徴についてご紹介!
前述した通り、緑茶は蒸す時間によってさまざまな種類に細分化されるのが特徴です。スーパーやコンビニなどにはさまざまな飲料メーカーから販売されている緑茶があります。
しかし、その種類は多岐にわたるため、「それぞれどんな特徴があって、どう違うのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、日本で最も馴染み深いお茶である緑茶のさまざまな種類や、その特徴について詳しく解説していきます。
抹茶
抹茶とは、揉まずに乾燥させた茶葉を石臼や微粉砕機で挽いたものです。色鮮やかな緑色をしているので、茶道のお点前や飲料、お菓子などの原料として使用されています。
お茶の適度な渋みがあり、豊かな風味と苦みのある味わいが特徴です。抹茶といえば京都府の宇治と思う方も多いのですが、実は愛知県西尾市が全国生産の30%を占めています。
また、抹茶の旬は10~11月頃です。摘んでから5ヶ月ほど熟成し、10月頃から最も旨味を増した抹茶を楽しむことができます。
玉露
玉露とは、茶の新芽が2~3枚開き始めた頃に、茶園をヨシズやワラなどを使って20日間ほど覆い、日光をさえぎって育てたお茶のことです。この栽培方法は、被覆栽培と呼ばれます。
栽培時に日光を制限することでカテキンの生成を抑制し、渋みが少なく旨味の多い茶葉を作り上げます。海苔のような「覆い香」という、深い香りが特徴です。玉露の旬は5月の初旬頃で、1番茶を採摘できるわずか1ヶ月のみといわれています。
煎茶
煎茶とは、生の葉をすぐに蒸して発酵を止めた緑茶のことです。日本ではもっともよく飲まれている、代表的なお茶といえます。鮮やかな緑色をしており、苦みとすっきりとした味わいを楽しめるのが特徴です。
煎茶の旬は5月頃で、早い地域では4月中旬から茶摘みが始まります。煎茶を最も多く生産しているのが、福岡県の八女市です。八女市を中心に、星野村や黒木町で全国生産量の約半数を生産しています。
番茶
番茶とは、成長して固くなった葉を使って作られたお茶のことです。そのため、「番外茶」と呼ばれることもあるほど、一般的には商品価値が低いお茶のことを指します。
多くの番茶は自家用に少量のみ作られたり、限られた地域でのみ流通したりしていることがほとんどです。煎茶のような緑色のものから、ほうじ茶のように炒って作られたものまで、さまざまな種類があります。
製造方法によって風味はさまざまですが、渋みがあるのが特徴です。番茶で有名なのが、「京番茶」です。
ほうじ茶
ほうじ茶とは、煎茶・番茶・茎茶などをきつね色になるまでしっかりと炒ったお茶です。一般的にほうじ機と呼ばれる機械を使い、約200度で炒ってから急速に冷却して製造されます。
強火で炒る(焙じる)ことによる、香ばしい風味を楽しめるのが特徴です。また、強火で炒ることでカフェインが昇華(気体化)されるため、すっきりと軽い味わいになります。
ほうじ茶はすっきりとした味わいになる、秋ごろの茶葉を使用するのも特徴です。そのため、寒くなる季節にちょうど温かいほうじ茶を楽しめます。
玄米茶
玄米茶とは、炒った米と番茶や煎茶などをほぼ同量の割合で合わせたお茶のことです。米は水に浸し、蒸してから炒って加えて作られます。
炒った米の香ばしさと番茶や煎茶のさっぱりとした味わいを楽しめるのが特徴です。米が加えられていることで煎茶や番茶の使用量を抑えられるため、カフェインが少ない傾向にあります。
お茶は種類によって味わいや香りもさまざま
お茶は同じ茶葉から作られたものであっても、製造方法によって味わいや香りは異なります。また、私たちの周りには茶葉以外から作られるお茶も多数あり、茶葉から作られたお茶とはまた違った風味や味わいを楽しめるのも魅力です。
本記事を参考にのどが渇いた時、ほっと一息つきたい時、食事の時など、さまざまな場面でいろんな種類のお茶を楽しんでみましょう。