なす?なすび?呼び方の由来について解説します!
作成日: 2020/03/31
焼きなすや煮びたしなど、とろけるような食感が人気の「なす」。代表的な夏野菜として知られるなすですが、縁起物の「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」では「なすび」と呼ばれています。実は、地域によっても呼び方に違いがあるのを知っていましたか。こちらの記事では、なすとなすびの名前の由来や、地域による呼び方の違いなどについて解説します。
なすとなすびの呼び方の由来は?
「なすび」はもともと、奈良時代に中国から日本へ伝わってきたとされています。当時とても貴重な食べ物とされ、身分の高い人しか食べられなかったといいます。当時のなすびは現代のものに比べ酸味があったため「中が酸っぱい実」と表現され、それが「なかすみ」、「なすみ」と転じ、最終的には「なすび(奈須比)」と呼ばれるようになったようです。また他にも、夏に味が良い野菜という意味の「夏実(なつみ)」が転じてなすびになったとの説もあります。江戸時代、なすびは主に関西で生産されていた野菜でしたが、無類のなすび好きだった徳川家康が江戸でもなすびを育てるように命じたことがきっかけで江戸にも広まったという説があります。
しかし、量がそれほど多く作れず値段が高かったため、なすびは当初まったく売れませんでした。そこで考えられたのが、なすびを縁起の良い野菜として販売することだったのです。成功の意味を表す「成す」という言葉とかけて「なす」と命名したところ一気になすは一般の人の間に広まり、その後なすと呼ばれるようになったという由来があります(こちらも諸説あり)。
もはや方言?地域によっても呼び方が異なるなすとなすび
なすとなすびの呼び分けは地域によって異なります。大まかに分けると、東日本ではなす、西日本ではなすびと呼ぶ地域が多いのが特徴です。特に、東北や関東地方ではほとんどの県でなすと呼ばれていて、一方の西日本では、近畿地方のほとんどの県でなすびと呼ばれています。
また、京都や中国・九州地方の一部の県では、なす派となすび派が半々くらいで存在します。また、僅かではありますが、北海道ではなすび派がやや優勢となっているようです。このように地域によって呼び方に違いがあり、なす・なすびの呼び方の違いは方言の一種ともいえるでしょう。
おいしい夏野菜なすで料理を楽しもう!
日本では古くから食べられていたなす。名前の由来には諸説あるものの、徳川家康が「なす」という呼び名を広めたとは驚きでした。地域によっても呼び方は異なるので、どちらで呼んでも間違いではありません。さまざまな料理に使える夏野菜なすで、いろいろな料理を作ってみませんか。煮浸しや焼きなすだけでなく、グラタンやラタトゥイユなどにも挑戦してみましょう。