「はじかみ(薑・椒)」とは生姜のこと?食べ方のマナーは?
作成日: 2021/11/05
焼き魚に紅白の生姜が添えられているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。この紅白の生姜は「はじかみ」という葉生姜の一種で、普通の生姜と違い生のままでも食べられます。
生姜は日本でも古くから栽培されてきた香辛野菜のひとつで、文献では「薑」または「椒」とも記されました。焼き魚のあしらいに使われるはじかみについてご紹介します。
はじかみとは
はじかみとは金時生姜という葉生姜の一種を茎や根が柔らかくなるよう温室で軟化栽培したものです。ひょろっと長く伸びた茎は根の近くになるにつれて赤くなり、根そのものは白。見た目が矢にそっくりなので「矢生姜」とも書きます。
温室で栽培されているはじかみは通年で出荷されていますが、6~7月ごろは露地栽培のものが出回って出荷量が増えます。生姜の生産地は全国各地にありますが、栽培に手間がかかるはじかみはほぼ愛知県でのみ生産されており、地元の特産品として知られています。
色々な書き方
はじかみ、つまり生姜は2~3世紀ごろ中国から日本にもたらされ、主に漢方薬として用いられました。当時日本では生姜や山椒など「歯で噛んで辛いもの」全般を「はじかみ」と呼んでおり、それに中国語で生姜を表す「薑」または「椒」という字が当てられました。
しかし時代が下がると次第に山椒と生姜を区別するようになり、難しい「薑」という漢字も同音で平易な「姜」に置き換わりました。江戸時代ごろには生姜(しょうが)という呼び方が定着したようです。矢生姜を「はじかみ」と呼ぶのは大昔の名残りです。
焼き魚に添えられる理由
焼き魚にはよくはじかみの甘酢漬けが添えられますが、これは焼き魚に紅白の彩りを加えるだけでなく、口直しの意味もあります。はじかみのピリッとした辛さと甘酸っぱさが魚の臭みを消してくれるうえ、脂っぽくなった舌をさっぱりさせてくれます。
食べられる?
焼き魚に添えられたはじかみはそのまま食べられます。食べるときは箸で真ん中をつまみ、白くて柔らかい根の部分だけをかじって赤くて筋っぽい茎の部分は残すのがマナーとされています。また、料理の口直しの意味があるので、まず、添えられているはじかみを脇によけて焼き魚から食べ、最後にはじかみを食べるのが上品な食べ方です。
はじかみは根の柔らかさを活かして、甘酢漬けのほか、醤油漬けや天ぷら、肉巻きなどにしても食べられます。はじかみを見かけたらぜひ試してみましょう。
はじかみ(葉生姜)を使ったDELISH KITCHENのレシピ
はじかみさえ手に入れば、高級料亭などで焼き魚に添えられているはじかみの甘酢漬けも自宅で簡単に作れます。
葉生姜の甘酢漬け
はじかみ(葉生姜)を甘酢に漬けると着色料を入れなくても淡いピンク色に染まります。焼き魚のほか、肉料理の付け合わせとして、またお酒のおつまみにするのもおすすめです。
焼き魚の名脇役・はじかみをもっと味わおう
矢生姜(はじかみ)は生産地が限られているため、生のものを見たことがないという人もいるかもしれません。
もし生のはじかみが手に入ったら、甘酢漬け、もしくは醤油漬けにしたものを細かく刻んでごはんに混ぜたり、そのまま味噌をつけて食べたりとさまざまな楽しみ方ができます。焼き魚に添えられたはじかみも残さず食べて、その鮮烈さを堪能しましょう。