シェリー酒とはどんなワイン?産地・味わい・特徴を徹底解説します!
作成日: 2023/09/28
更新日: 2023/11/15
シェリー酒というお酒を知っていますか。スポンジケーキの風味づけなど、お菓子作りの材料として使ったことがあるという人がいるかもしれません。華やかな香りが特徴のシェリー酒は、実はワインの一種です。スペインのアンダルシア地方にあるへレスという地域で作られる白ワインを、シェリー酒と呼びます。
この記事では、シェリー酒の産地や製造に向いている気候などの特徴や、味わいについて解説します。おすすめの飲み方やシェリー酒に合うおつまみレシピもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
シェリー酒とは
シェリー酒とは、どのような特徴のお酒なのでしょうか。ここでは、まずシェリー酒の概要についてご紹介します。
概要
シェリー酒は、スペイン南部にあるアンダルシア地方の地域のひとつであるへレスというところで作られるお酒です。シェリー酒という名前が付いていますが、実は白ワインの一種です。なぜ「シェリー酒」と呼ばれるのかというと、スペイン語表記の「へレス(Jerez)」は、英語では「シェリー(Sherry)」と呼ばれることに由来しています。
ワインの産地として有名なのは、フランスの「ボルドー」や「ブルゴーニュ」、「シャンパーニュ」があります。へレスの英語表記で表される「シェリー」もその産地のひとつです。シェリー酒とは、スペインのへレス(シェリー)地域を産地の中心として作られる白ワインであると理解するとよいでしょう。
シェリー酒には、約20種類のさまざまな製法があり、味わいは辛口から甘口まで幅広く分けられています。白ワインの一種ですが、色は濃いものから薄いものまでさまざま。一般的に麦わら色と表現されることも多くあります。
酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)
シェリー酒は、酒精強化ワインのひとつです。酒精強化ワインとは、製造する過程でアルコールを添加してアルコール度数を高めたワインのことを言います。
通常のワインのアルコール度数は、10〜14%ですが、酒精強化ワインでは15%以上になることが特徴です。アルコール度数が高いため保存性に優れ、一般的なシェリー酒では開封後であっても3年ほど保存できます。
特徴
ここでは、シェリー酒の産地や製造に向いている気候や土壌、シェリー酒に使われるブドウの品種について解説します。
産地
シェリー酒は、シェリー・トライアングルと呼ばれる3つの街からなる地域で作られます。シェリー・トライアングルは「へレス・デ・ラ・フロンテラ」「サンルカール・デ・バラメーダ」「エル・プエルト・デ・サンタ・マリア」という街から成ります。
これらの街は、スペインのシンボルとも言えるフラメンコが盛んであるだけでなく、闘牛場も設置されています。
気候・土壌
シェリー酒の産地であるへレス地方の気候は、年間をとおして晴れが多く空気が乾燥しており、年間降水量も少ないことが特徴です。乾燥に強いとされるブドウですが、生育にはある程度の水分が必要です。
雨が少ないへレス地方ですが、土壌には保水力に優れた「アルバリサ」という白亜紀土壌が広がっています。この土壌から与えられる、ほどよい水分により、良質のブドウが育ちます。
ブドウの品種
シェリー酒は「パロミノ」と呼ばれる白ブドウの品種から作られるものがほとんどです。パロミノは穏やかな酸味と糖度を持ち、香りも特徴的ではありません。そのため、ワイン造りにはニュートラルなスタイルの品種と言えるでしょう。
パロミノ以外では、レーズンにして糖度を高めて使われる「ペドロ・ヒメネス」や、華やかな香りが特徴の「モスカテル」が使われています。
シェリーの種類・味わい
シェリー酒は、辛口から甘口まで幅広くそろっています。辛口タイプには「フィノ」「マンサニージャ」「アモンティリャード」「オロロソ」という種類があります。また、極甘口タイプの種類は「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」です。甘口タイプのシェリー酒は、辛口タイプと極甘口タイプをブレンドして作られます。
人気があるのは辛口のシェリー酒で、生ハムなど塩味がある食材と相性がよいことが特徴です。食前酒として飲むのもおすすめでしょう。甘口のシェリー酒は、濃厚な味わいとねっとりとした食感の食材や料理と相性がよく、フォアグラやパテと合わせるのがおすすめです。また、食後のデザートとも相性がよいでしょう。
辛口のシェリー
ここでは、辛口のシェリー酒である「フィノ」「マンサニージャ」「アモンティリャード」「オロロソ」の味わいや口当たり、特徴などについて解説します。
フィノ
辛口の「フィノ」は、軽やかな口当たりで前菜との相性がよいことが特徴で、その味わいには果実とハーブのさわやかな香りが感じられます。醸造期間は一般的なもので3〜4年であり、アルコール度数は15〜18%です。
ゴンザレス・ビアス社の「ティオ・ペペ」は、シェリー酒のなかでも特に有名なお酒と言えるでしょう。
マンサニージャ
シェリー酒作りにもっとも適した環境であるサンルーカル・デ・バラメダで作られるフィノ系シェリー酒には、特別にマンサニージャの名称がつけられます。
マンサニージャは、シェリー酒のなかでもっとも辛口であり、カモミールティーのようなアロマが感じられる味わいです。熟成期間は3〜10年で、アルコール度数は15%前後となっています。
アモンティリャード
アモンティリャードは、フィノとオロロソのちょうど間のようなシェリー酒です。フィノをさらに熟成させた琥珀色の色合いと、フィノとオロロソの特徴を合わせ持つ独特の風味とまろやかな味わいが特徴です。
熟成期間が長くなるほどアルコール度数が高くなります。アルコール度数は、16〜22%と幅広くなっており、やや上級者向けのシェリー酒です。
オロロソ
「香り高い」という意味のあるオロロソは、ナッツのような香ばしい風味とまろやかな味わいが特徴の辛口シェリー酒です。濃い色合いが特徴で、なかにはコーヒーのような色のものもあります。
コクと深みのあるしっかりとした味わいで、肉料理に合わせるのがおすすめです。アルコール度数はフィノに比べてやや高めの、17〜22%ほどです。
甘口のシェリー
ここからは甘口のシェリー酒である「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」の味わいや口当たり、特徴について解説します。
ペドロ・ヒメネス
世界で一番甘いと言われるシェリー酒が、ペドロ・ヒメネスです。甘みが特徴の、同じ名称を持つ品種のブドウから作られ、まるでコーヒーのような濃い色合いをしています。
イチジクやレーズンなどのドライフルーツの香りと濃厚な味わいが特徴です。食後のデザートに合わせるだけでなく、食後に飲むお酒としてもおすすめです。アルコール度数は15〜22%と、甘めの味わいでもしっかりとした度数があります。
モスカテル
モスカテルは、ボトルワインとして作られることが珍しいため、稀少性の高いシェリー酒です。まるでマスカットのようなさわやかでフルーティな香りと甘みだけでなく、柑橘系のような苦みを感じられる複雑な味わいが特徴です。
甘さはありますがすっきりとした味わいで、甘口だけれどドライな味わいを楽しみたい人にぴったりです。アルコール度数は、15〜22%となっています。
シェリー酒の飲み方
シェリー酒のおすすめの飲み方について知りたいという人もいるでしょう。ここからは、シェリー酒をおいしくいただく飲み方をご紹介します。
ストレート
白ワインの一種であるシェリー酒は、ワインと同じようにストレートで味わうのがおすすめです。シェリー酒を美味しく味わうには、適した温度に冷やすこととグラスの選び方が重要です。冷やすときは、辛口であれば7〜12度、甘口なら5〜8度の温度にするとよいでしょう。
シェリー酒は味わうときの温度によって、感じる酸味が変わります。冷やせば冷やすほど、酸味が強く感じられるようになりますが、冷やしすぎるとかえって味がぼやけてしまうことがあるため、温度調節が大事です。シェリー酒を注ぐグラスも、同じくらいの温度に冷やしておいたものを使うとよいでしょう。
シェリー酒のグラスは、小ぶりの大きさで薄いものがおすすめです。外気温により温度が変わりやすいワインは、温度が変わると味も変化してしまうため、少しずつ注いで味わえるように小ぶりのグラスを選びましょう。
またグラスが薄いと、シェリー酒の繊細な味わいの違いも感じやすくなります。
カクテル
シェリー酒は、他のお酒や飲み物と混ぜてカクテルとして味わってもよいでしょう。カクテルには、辛口のフィノが多く使われます。たとえば、シェリー酒を炭酸飲料で割った「レブヒート」や、グレープフルーツジュースとトニックウォーターで割った「シュレス」は、初心者でもチャレンジしやすく飲みやすいカクテルです。
シェリー酒によく合うDELISH KITCHENのレシピ
ここからは、シェリー酒と一緒に味わうのにおすすめのおつまみレシピをご紹介します。シェリー酒と相性のよい生ハムを使ったものや、飲みたいときにササっと作れる簡単レシピもそろっているので、ぜひお試しください。
クリームチーズとアボカドの生ハム巻き
手間をかけずにササっと作れる、クリームチーズとアボカドを生ハムで巻いたおつまみレシピです。生ハムの塩気が、シェリー酒の味わいをいっそう引き立てます。彩りもきれいなので、おもてなしにもおすすめです。
マッシュルームマリネ
新鮮なマッシュルームとグリーンオリーブで作るマリネをご紹介します。粉チーズのコクとオリーブオイルの風味を効かせたマリネは、シェリー酒のおつまみにぴったりです。手間をかけずに簡単に作れるのも魅力です。
あさりのバター焼き
あさりの旨みをシンプルに味わえるバター焼きも、おつまみにおすすめです。ニンニクとバターの香りが食欲をそそり、つい手が止まらなくなるおいしさです。パスタを入れてアレンジしても美味しくいただけます。
ブロッコリーとタコのアンチョビ炒め
ブロッコリーとタコが彩り鮮やかで、見た目も映える炒めものです。旨みのあるタコとアンチョビの塩気が相性抜群で、つい後引くおいしさです。タコのコリコリっとした食感も楽しめるので、この機会にぜひ作ってみてください。
カマンベールまるごとアヒージョ
トロッととろけるカマンベールを絡めながら楽しむアヒージョはいかがですか。オリーブオイルを入れた小鍋でミニトマトやソーセージを温めながらいただきます。見た目もオシャレなのでホームパーティにもおすすめです。
お好きなおつまみと一緒にシェリー酒を味わおう!
シェリー酒は、スペインのアンダルシア地方で作られる酒精強化ワインのひとつです。フィノやマンサニージャなど辛口の味わいのものや、ペドロ・ヒメネスやモスカテルなど甘口のものなどさまざまな種類があります。
シェリー酒は、ワインと同じようにそのままストレートで味わったり、炭酸飲料で割ってカクテルとして味わったりという楽しみ方があります。
シェリー酒は、辛口であれば生ハムなど塩気のあるものと合わせたり、甘口ならフォアグラやパテ、食後のデザートと合わせたりするのがおすすめです。ここでご紹介したおつまみレシピを参考に、シェリー酒を味わってみてはいかがでしょうか。