北海道の高級魚「きんき」とは?金目鯛との違い・レシピもご紹介♪
作成日: 2023/10/25
更新日: 2023/11/09
ウニやカニ、ほたてなど、さまざまな海の幸が獲れる北海道。その中でも高級魚として有名な「きんき」という魚をご存知でしょうか。「名前は聞いたことがあるけどよく知らない」「どうやって食べるのが美味しいの?」と思っている方も多いはず。
この記事では、きんきの特徴や旬、産地、おすすめの食べ方などもご紹介します。また、見た目がそっくりな金目鯛との見分け方についても解説します。
きんき(めんめ)ってどんな魚?
まずはきんきの特徴や旬、呼び名などについてご紹介します。
きんきの基本
きんきは北海道道南沖の太平洋やオホーツク海の水深150〜1200mあたりに生息する深海魚です。北海道以外にも、青森や岩手、宮城、福島で漁獲されます。カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科に属しています。
赤い体と大きな目が特徴で、体長は30cmほどのものが一般的。1匹3,500円ほどで売られています。北海道や東北で特に人気が高く、ノドグロと二分されている高級魚です。
きんきの旬
深海魚であるため温度変化の影響が少なく、1年を通して水揚げされます。
しかし、きんきは2〜5月にメスが産卵期を迎えるため、その前の秋や冬に栄養を蓄えていると言われています。
さまざまな呼び名
きんきにはさまざまな呼び名があり、北海道では「きんき」、北海道の東部では「めんめ」、岩手では「めいせん」、茨城県では「あかじ」と呼ばれています。正式名称は「キチジ」で、漢字では「吉次」「喜知次」「黄血魚」と書きます。
キチジという名前の由来は、黄色みをおびた血の色や体の色から来ている説や、赤い色がおめでたいから「吉」という漢字がついたという説があるようです。
北海道の高級魚
きんきは冷たい海域の深海に生息するため北海道での漁獲量が多く、高級魚として知られています。特に斜里町や根室市、釧路市などで水揚げされており、広尾町ではきんきの一夜干しが名産品として親しまれています。また、北海道・網走では「釣きんき」としてブランド化しており、市場でも高い値段で取引されています。
肉質は柔らかく脂がしっかり乗っていて、とろけるような食感と濃厚な旨みを楽しめます。北海道では「煮付け」にして食べるのが定番です。そのほか、一夜干しや鍋、唐揚げ、刺身など、さまざまな調理法で親しまれています。
金目鯛とのちがいは?
続いてはきんきと混同されやすい金目鯛との違いについて解説します。
金目鯛とは
金目鯛とはキンメダイ目キンメダイ科の魚です。水深200m〜800mに多く生息しており、きんきと同じく深海魚に分類されます。主な産地は静岡県と神奈川県、千葉県、東京都、高知県で、水揚げ量が最も多いのは静岡県の下田港です。
大きくて金色に光る目が特徴で、ふっくらとした食感とクセのない上品な味わいです。金目鯛も高級魚として扱われていますが、きんきの半分ほどの価格で購入できます。
きんきと金目鯛の違い
きんきと金目鯛はどちらも赤い体で大きな目をしているので、パッと見では見分けるのが難しい魚です。間違うことなく購入できるように、違いを理解しておきましょう。
きんきと金目鯛の違いは以下の通りです。
・きんきの黒目がくっきりとした黒に対し、金目鯛の黒目は濁っている
・きんきは背びれが鋭く尖っているのに対し、金目鯛は尖っていない
・きんきは尾びれの先が緩やかなカーブを描くのに対し、金目鯛の尾びれは深くV字になっている
また、きんきは金目鯛よりも脂がのっているといわれています。実際に金目鯛100gあたりのカロリーは147kcal、脂質9.0gですが、きんき100gあたりのカロリーは238kcal、脂質21.7gと、脂質は約3倍にもなります。
きんきの栄養素
続いては、きんきに含まれる栄養素について見ていきましょう。
EPA
EPAは必須脂肪酸の一種で、体内で合成できず、食物から摂る必要がある栄養素です。EPAは、体内の血液のめぐりをスムーズにし、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を予防するという働きがあることで知られています。IPA(イコサペンタエン酸)と呼ばれることもあります。
DHA
DHAもEPAと同じく必須脂肪酸の一種で、体内で合成できないため食物からとる必要があります。脳や網膜などの神経系に含まれており、神経細胞を活性化させ記憶力や学習能力を向上に役立つことで知られています。
きんきが高級な理由
きんきは北海道の海産物の中でも特に市場価格が高い魚で、1kg1万円以上で取引されることもあります。一昔前までは一般家庭でもよく食べられる魚のひとつでしたが、そのおいしさが広まり全国的に人気になったことや、年間の水揚げ量が減少したことから価格が高騰したと言われています。
きんきの生体数が以前の乱獲により激減してしまっていることも、価格が上がってしまった要因のひとつです。漁獲量は40年前と比べると10分の1に減っています。
おいしいきんきの見分け方
せっかく高級魚を購入するなら、少しでも新鮮でおいしいものを選びたいですよね。
きんきのおいしい見分け方は以下の通りです。
・身やひれが鮮やかな赤色をしている
・身に締まりがある
・お腹がブヨブヨとしていない
この3つのポイントを意識して、おいしいきんきを購入しましょう。
きんきを使ったDELISH KITCHENのレシピ
きんきは身がふわふわと柔らかく小骨が少ないので、食べやすいのも嬉しいところ。高級なきんきが手に入ったら、いろいろな調理法で味わってみましょう。ここからは、きんきを使ったおすすめレシピをご紹介します。
ほっこりする味!きんきの煮付け
脂ののったきんきを砂糖やしょうゆ、みりんで煮た、心温まる味わいの一品です。甘辛い味付けのきんきの煮付けは、ご飯のおかずにもお酒のお供にもぴったり。ふっくらふわふわの身は煮崩れしやすいので、やさしく扱いましょう。
おつまみにぴったり!きんきの唐揚げ
きんきを丸ごと唐揚げにした豪快な一品です。赤色が映えて見た目が華やかなので、おもてなしにぴったり。ふっくらした身と衣のサクサク感の食感の違いが楽しめます。二度揚げすることでカラッとした食感に仕上がりますよ。
きんきは脂がのった絶品の高級魚だった
きんき(めんめ)は北海道の道南沖に生息する深海魚で、大きな目と赤い体が特徴です。漁獲量が減少したことから高級魚として扱われており、1匹3,500円ほどで売られています。肉質は柔らかくて脂のりがよく、旨みがギュッと詰まっています。
今回ご紹介したレシピを参考に、きんきを味わってみてくださいね。
【出典】
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【参照】
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 オメガ3系脂肪酸(2023/10/25)