猪肉とはどのような肉?カロリーや栄養・レシピもご紹介
作成日: 2022/02/22
猪肉はイノシシの肉のことですが、食べたことがあるという方は少ないかもしれません。カロリーや栄養などよく分からないこともあるでしょう。また、豚肉や牛肉のようにロースやヒレ、バラなどの部位があり、それぞれ向いている調理方法があります。
この記事では、猪肉について特徴やカロリー、栄養のほか下処理方法からレシピまでご紹介します。
猪肉について
猪肉とはどのような肉なのでしょうか。
猪肉とは
猪肉は、その名の通りイノシシの肉のことです。別名で「ぼたん」とも呼び、猪肉料理の代表であるぼたん鍋にもその名が使われています。
ぼたんといわれる由来には諸説あり、牡丹の花のように濃い赤色であることや、堂々とした獅子と牡丹の花を描いた図柄を表す言葉「獅子に牡丹」の「獅子」と「猪(しし)」をかけたことが関係しているとされています。
古くは縄文時代から食べられていたといわれている猪肉ですが、狩猟によるものなのか飼われていたものなのかは分かっていません。その後、アジアやヨーロッパなど世界各地でイノシシが家畜化されるようになりました。このことからイノシシは、現在で家畜とされている豚の祖先種であると考えられています。
家畜として飼育されるほか、ヨーロッパを中心に狩猟によって得られる「ジビエ」として食べられてきた猪肉は、日本でもスーパーや通信販売などで手に入るようになってきました。扱う店は多くありませんが、個人で購入する場合は衛生面や販売経路などを確認して、安心できるものを選ぶようにしましょう。
猪肉の味・食感
猪肉は豚肉と比べると味が濃いのが特徴で、これは赤身の部分だけではなく脂身も同様です。しっかりとした弾力と旨味、甘味が感じられます。より特徴的なのは脂身の部分で、脂の濃い味わいがあるにも関わらず、さっぱりとしていてくどさはありません。
猪肉の部位・食べ方
猪肉の部位とおすすめの食べ方をご紹介します。どの部位においても焼き方などには注意が必要です。しっかりと火を通して食べるようにしましょう。
・肩ロース…すき焼き、みそ焼き
・ロース…焼肉、カツ、ぼたん鍋
・ヒレ…カツ、ステーキ
・もも…ステーキ、すき焼き、ぼたん鍋
・バラ…焼肉、チャーシュー、ぼたん鍋
・すね…煮込み料理、煮込んでから焼く、煮込んでから揚げる
猪肉のカロリーと栄養
猪肉に含まれるカロリーやおもな栄養についてご紹介します。
カロリー・栄養
猪肉のカロリーや栄養を豚肉と比較してみましょう。それぞれ生の脂身つき、可食部100gあたりの数値は以下の通りです。
《猪肉》
・カロリー…244kcal
・たんぱく質…18.8g
・脂質…19.8g
《豚肉(肩ロース)》
・カロリー…237kcal
・たんぱく質…17.1g
・脂質…19.2g
カロリーやたんぱく質、脂質については大きな差はみられないようです。
ビタミンB群
猪肉と豚肉に含まれるビタミンB群についてご紹介します。それぞれ生の脂身つき、可食部100gあたりの数値は以下の通りです。
《猪肉》
・ビタミンB1…0.24mg
・ビタミンB2…0.29mg
・ビタミンB6…0.35mg
・ビタミンB12…1.7μg
《豚肉(肩ロース)》
・ビタミンB1…0.63mg
・ビタミンB2…0.23mg
・ビタミンB6…0.28mg
・ビタミンB12…0.5μg
豚肉にも含まれるビタミンB12は、猪肉の方が3倍ほど多いことが分かります。ビタミンB12は、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸の代謝に関わるほか、赤血球を正常に生成することに欠かせない栄養です。
ビタミンB12のほか、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンなどを総称してビタミンB群と呼んでいます。水溶性ビタミンであるビタミンB群は、体内の多くの代謝に関わる酵素の手助けをするビタミンです。
脂肪酸
猪肉と牛肉に含まれる脂肪酸についてご紹介します。それぞれ生の脂身つき、可食部100gあたりの数値は以下の通りです。
《猪肉》
・飽和脂肪酸…5.83g
・不飽和脂肪酸…11.92g
《和牛肉(肩ロース)》
・飽和脂肪酸…12.19g
・不飽和脂肪酸…21.22g
脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。猪肉は牛肩ロース肉と比べて、どちらも半分ほどの数値になっています。
肉類や乳製品などに含まれ、バターやラードのように常温で固まる脂が飽和脂肪酸です。人間や動物のエネルギー源として重要な役割を果たしていますが、とり過ぎると動脈硬化を引き起こし、生活習慣病の原因となることがあります。
一方、不飽和脂肪酸とは、植物や魚の脂に含まれる脂肪酸で、常温では液体の状態で存在しています。悪玉(LDL)コレステロールの抑制や過酸化脂質の発生を予防する効果により、動脈硬化や血栓、高血圧の予防に役立つとされています。
鉄
猪肉と豚肉に含まれる鉄についてご紹介します。それぞれ生の脂身つき、可食部100gあたりの数値は以下の通りです。
《猪肉》
・鉄…2.5mg
《豚肉(肩ロース)》
・鉄…0.6mg
猪肉の鉄の含有量は、豚肉の約4倍となっています。鉄は人体に不可欠なミネラルの一種です。赤血球のヘモグロビンの成分であり、不足すると貧血を引き起こします。
成人の場合、体内にある約3~5gの鉄のうち、70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、残りは肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵鉄として蓄えられています。
詳しくはこちらをご覧ください。
猪肉の下処理方法
猪肉の臭みを取るには、血抜きという工程がポイントです。血抜きしてあれば生臭さはあまり感じません。市販のスライスされている猪肉は、基本的に血抜きが済んでいるためそのまま使えますが、気になる場合はご家庭でも行うのがおすすめです。
水をはったボウルに塩を加え、猪肉を入れます。よくもみ洗いしたら水を捨てましょう。これを水が透明になるまで繰り返します。最後にペーパータオルで水分をふき取ったら血抜きの完了です。
ほかにも、同量の酒と水を混ぜ合わせたものに猪肉をつけ、一晩おいてから水洗いするというのも効果的です。
DELISH KITCHENの猪肉を使ったレシピ
旨味たっぷりの猪肉を使った、おすすめのレシピをご紹介します。
ぼたん鍋
猪肉の代表料理がこのぼたん鍋です。諸説ある「ぼたん」の呼び名の由来には、このメニューを提供する際に猪肉を牡丹の花のように盛りつけたことにもあるようです。猪肉の旨味でしめまでおいしく食べられます。
イノシシ肉のしょうが焼き
猪肉のしょうが焼きは、しょうがの風味に負けない肉の旨味とあっさりとした脂身が絶妙な味わいです。猪肉は豚肉に風味が似ているため、しょうが焼きのほかに焼肉にしてもおいしいですよ。
イノシシ肉のカツ
あっさりとした味わいの猪肉はカツにぴったりの食材です。カラッと揚げて特有の弾力や旨味を楽しみましょう。いつものカツと同じ工程で調理することができます。
猪肉は味が濃く旨味や甘味がある
別名「ぼたん」とも呼ばれる猪肉は、古くから食べられており豚の祖先種にあたるとされています。味が濃く旨味や甘味がありながらも、脂身はさっぱりとした味わいです。
ほかの肉と同様にさまざまな部位があり、それぞれ向いている料理がありますが必ずよく加熱するようにしましょう。新鮮な猪肉が手に入ったら、ぜひご紹介したレシピを参考にしてください。
【出典】
・日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
【参照】
・厚生労働省 e-ヘルスネット 中性脂肪 トリグリセリド
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-045.html)
・厚生労働省 e-ヘルスネット 不飽和脂肪酸
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html)
・厚生労働省 e-ヘルスネット ビタミン
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html)
・厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』ビタミン B12
(https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/07.html)
・兵庫県におけるイノシシとブタの白身肉(脂質)の成分分析の一例
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1951/34/1/34_1_58/_pdf/-char/ja)(2022/02/22)