治部煮とはどんな料理?特徴や作り方をご紹介
作成日: 2023/05/25
みなさんは「治部煮」という料理を知っていますか?
名前を聞いただけでは、どのような料理か想像がつかないかもしれませんが、治部煮は江戸時代から、武家や庶民の間で広く親しまれている料理です。
この記事では、治部煮とはどのような料理か、特徴や入っている具材について解説します。ご自宅で味わえるおすすめ治部煮レシピもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
治部煮とはどんな料理?
治部煮(じぶに)は、石川県金沢市に伝わる郷土料理のひとつで、鶏肉や鴨肉、金沢特産の野菜などを一緒に煮込んで作られる煮物のことです。
江戸時代の加賀藩の時代から、武家や庶民の間で親しまれている料理で、現代でもスーパーのお惣菜で売られていたり、家庭料理として食べられたりしています。昔は、寒さの厳しい冬場に食べられる料理とされていましたが、現在では四季折々の旬の食材と組み合わせて作られることも多く、年間を通して食べられるようになりました。石川県では結婚式などお祝いの席では、欠かせない料理です。
「治部煮」という名前の由来は、文禄の役で豊臣秀吉の兵糧奉公として仕えた「岡部治部右衛門」が考案した料理だからという説と、鍋で煮る時の「じぶじぶ」という音からきているという説があるようです。
治部煮の特徴
治部煮には、そぎ切りにした鴨肉や鶏肉、金沢特産のすだれ麩、百合根や椎茸などの季節の野菜が入ります。
だし汁にみりんや砂糖、酒、しょうゆを加えて具を煮込んで仕上げるため、日本人にとっても馴染み深い味わいです。
鴨肉や鶏肉だけでなく、季節によってはブリやカジキなど旬の魚が入ることも特徴です。
また、鴨肉や鶏肉に小麦粉をまぶしてあるため汁にとろみがあります。小麦粉をまぶすことで、肉の旨みを内側に閉じ込め、食感が柔らかく仕上がります。とろみのある汁は、冬の寒い時期に身体を温めるのに最適です。
治部煮は仕上げにわさびを添えられます。こちらも大きな特徴といえるでしょう。
味付けが似ているため、治部煮は一見すると筑前煮と間違われることが多くあります。
しかし、筑前煮は汁がほとんど無くなるまで煮詰めて作るのに対して、治部煮は煮汁を残して仕上げ、煮汁ごと盛り付けて食べるという点が異なります。
自宅で治部煮を作るのにおすすめの具材は?
金沢の郷土料理である治部煮ですが、ご自宅で作ることもできます。中には調達しづらい具材もありますが、スーパーなどで手に入りやすい具材で代用することも可能です。ここでは、ご自宅で治部煮を作る時におすすめの具材について紹介します。ぜひ参考にしてください。
鶏肉
鴨肉はスーパーなどで購入できますが、季節によっては調達が難しい場合があります。また値段が高いため、年間を通して手に入りやすく鴨肉よりも安価で購入できる鶏肉で代用もできます。
鶏肉は、むね肉でももも肉でも美味しく作れます。むね肉であればさっぱりとした味わいに、もも肉ならジューシーな食感が楽しめるでしょう。お好みで選ぶのがおすすめです。
お麩
ご自宅で作る場合は、比較的手に入りやすい車麩を使うのがおすすめです。
車麩は、新潟県の特産品でドーナツのような形をした麩です。最近では、スーパーに並んでいることもあるため、探してみましょう。
金沢の料亭で出される本場の治部煮には、すだれ麩が入っています。すだれ麩とは、作る際にすだれで包んで茹でることから名前がついた、板状の麩です。乾物のすだれ麩が手に入ったら、水またはお湯で戻した後、水をよく絞ってから使いましょう。
青味の野菜
治部煮には、青味の野菜が添えられることがあります。野菜を添える時には、ほうれん草や小松菜など、その季節に旬を迎える葉野菜を使いましょう。
治部煮の定番の食材である鴨肉が冬の食材であるため、本場では冬が旬の「セリ」が添えられることが多くあります。青味の野菜の他には、人参や椎茸、竹の子などを入れましょう。
治部煮の作り方
ご家庭でもお手軽に作れる治部煮のレシピをご紹介します。
ぜひ一度金沢の味を味わってみてください!
材料【2人分】
- 鶏もも肉:120g
- すだれ麩:1枚(10g)
- しいたけ:2個
- にんじん:1/5本(60g)
- 小松菜:1/3袋
- 塩:少々
- 片栗粉:適量
- わさび:適量
だし汁の材料
- 水:400cc
- 和風顆粒だし:小さじ1/3
- 酒:大さじ1
- みりん:大さじ1
- 塩:少々
- しょうゆ:大さじ1
手順
1.鶏肉は一口大にそぎ切りにし、塩をふり、片栗粉をまぶす。
2.しいたけは軸を切り落とし、かさに十文字に切り込みを入れる。
3.にんじんは7mm幅に切る。耐熱容器ににんじん、水(分量外:大さじ1)を入れてふんわりとラップをし、600Wのレンジで3分加熱し水気を切る。
4.小松菜は食べやすい大きさに切る。
5.すだれ麩はたっぷりの水(分量外)で戻して、水気をかたくしぼり、食べやすい大きさに切る。
6.鍋にだし汁の材料を入れて熱し、ひと煮立ちしたら鶏肉を入れて熱し、煮立ったらアクをとってふたをして弱火で5分煮る。
7.すだれ麩、しいたけ、にんじんを入れて再度ふたをして中火で3分加熱する。
8.鶏肉に火が通ったら、小松菜を加えてさっと煮る。器に盛り、わさびを添える。
DELISH KITCHENの治部煮レシピをご紹介!
ここからは、ご自宅で作れる治部煮レシピをご紹介します。定番からおからでアレンジしたものまで、さまざまなレシピがそろっているので、ぜひチャレンジしてみてください。
治部煮
鴨肉の代わりに鶏肉を使って、手軽に治部煮を味わってみましょう。鶏もも肉に片栗粉をまぶすことで、柔らかくジューシーに仕上がります。鶏肉や椎茸など具材の旨味が溶け込んだ煮汁は、思わずほっとする味わいです。
豚ヒレブロックの治部煮風
豚ヒレ肉でアレンジした治部煮を作ってみませんか。豚肉の旨味が、焼き豆腐や椎茸に染みこみ、味わい豊かです。厚めにカットした豚ヒレ肉は柔らかく、食べ応えがあります。献立の一品として、ぜひお試しください。
鶏肉のおから入り治部煮風
だしを吸った生おからが味わい深い、鶏肉の治部煮風のご紹介です。おからを加えることで、片栗粉をまぶさなくてもとろみのある仕上がりになります。だしの旨みをすったかぶは柔らかく、思わずクセになる美味しさです。
金沢の伝統料理「治部煮」を自宅で作ってみよう
治部煮は、江戸時代から伝わる石川県金沢市の郷土料理です。現代でも家庭料理として親しまれており、結婚式やお祝いの席などでも振る舞われます。具材は、主に鴨肉や鶏肉、すだれ麩が使われ、季節の野菜を加えて作られます。食べる時に、わさびを添えて食べるのが一般的です。
鴨肉やすだれ麩は手に入りにくいですが、鶏肉や車麩などを使えば、ご家庭でも治部煮を味わえます。ここでご紹介したレシピを参考に、ぜひチャレンジしてみてください。