いかなごとは?くぎ煮についてや作り方もご紹介
作成日: 2021/08/24
春の風物詩ともいわれる魚の「いかなご」。
地域によってなじみのある人もいれば、名前をきいたことがない人もいるかもしれません。また、いかなごがどんな魚なのかよく知らないという場合もあるでしょう。
そこでこの記事では、いかなごについて特徴や手に入る時期、食べ方、似た呼び名の魚との違いなどを解説します。
また、代表的な食べ方のひとつである「いかなごのくぎ煮」の作り方や、くぎ煮を使ったレシピもご紹介します。
いかなごについて
まずは、いかなごがどのような魚なのかみていきましょう。
いかなごとは
いかなごは、スズキ目イカナゴ科に属する海水魚で、沖縄を除く日本各地の沿岸で水揚げされています。
いかなごは成魚よりも、シラスに似た姿の稚魚を食することが多い魚です。
ちなみに成魚になると約20cmまで成長します。
いかなごの由来
いかなごという名前の由来は諸説ありますが、いかなごの稚魚がその昔、何の魚の子か分からなかったことから「如何子」といわれたという説があります。
また、いかなごの稚魚の姿が糸のように細長いことから、いかなごは漢字で「玉筋魚」とも表記されます。
いかなごの値段
いかなごの稚魚の値段は、1kgあたり1,000~5,000円程度と、かなり幅があります。
これは、いかなごはサイズの小さいもののほうが高値になることや、解禁日以降の数日は価格が高騰することが影響しています。
また、近年は漁獲量の減少がみられることから、さらに価格が高くなっているようです。
いかなごが手に入る時期
いかなごは、12月末から1月初旬に産卵をし、稚魚が3cmほどの大きさになる2月末から3月初旬に、いかなご漁が解禁されます。
いかなごの成長の度合いによって、漁の解禁日が毎年異なりますが、生のいかなごの稚魚が手に入るのは、だいたい2月末~3月中旬までと限られています。
こうなごとの違い
実は「いかなご」と「こうなご」は同じものです。
いかなごは全国で水揚げされることから、地域によってさまざまな別名があります。
関東では、いかなごの稚魚のことを「こうなご(小女子)」と呼ぶのが一般的です。
それに対して関西では「しんこ(新子)」とも呼びます。
いかなごの成魚も同様に、地方によって「オオナゴ」「メロウド」「フルセ」などといった異なる呼び名があります。
きびなごとの違い
「いかなご」と「きびなご」は名前が似ていますが、これらは種類が全く異なります。
いかなごがスズキ目イカナゴ科の魚なのに対して、きびなごはニシン目ニシン科に分類され、いわしの仲間です。
きびなごは、大きさ10cmほどの成魚を刺身や天ぷらなどにして食べます。
傷みやすいため全国的にはほとんど出回りませんが、水揚げされる地域では人気のある魚です。
いかなごの食べ方
いかなごは、稚魚も成魚も加工して食べるのが一般的です。
いかなごの稚魚の食べ方の定番といえば「くぎ煮」という甘辛い味わいの佃煮です。
そのほかに、稚魚をしらすのように釜揚げにしたり、ちりめんに加工する場合も多くなっています。
また、成魚は塩漬けして、数ヶ月熟成させて作るいかなご醤油や煮干しといった加工品だけでなく、東北地方では刺身で食べることもあるようです。
いかなごのくぎ煮について
いかなごの定番の食べ方であるくぎ煮について、作り方も合わせてご紹介します。
いかなごのくぎ煮とは
いかなごのくぎ煮は、生の稚魚をしょうゆ、ザラメ、しょうがなどを加えた煮汁で炊き上げた、甘辛い味わいの佃煮のことです。
炊き上がったいかなごの見た目が、茶色くさびて曲がった古釘に似ているところから「くぎ煮」と呼ばれるようになったといわれています。
いかなごのくぎ煮は、特に兵庫県の播磨灘や大阪府の大阪湾といった瀬戸内海沿岸東部でよく親しまれています。
毎年3月初め頃に、いかなご漁が解禁されて鮮度のよい稚魚が出回ると、すぐにくぎ煮に加工されるので、できたてのくぎ煮がお店でも購入できるようになり、お土産としても人気になっています。
いかなごのくぎ煮の作り方
くぎ煮発祥の地といわれる兵庫県では特に、新鮮ないかなごの稚魚がスーパーなどに出回ると、1kg単位で購入して自宅でくぎ煮を調理する人も多く、いかなごのくぎ煮は春の訪れを感じさせてくれる一品となっています。
くぎ煮はいかなごの鮮度で味が左右されるので、購入後はなるべく早く調理するのがポイントです。
ここからは、詳しい作り方をみていきましょう。
なお、作りやすい分量で、おおよそ10食分のレシピをご紹介します。
《材料》
・いかなご(生)…1,000g
・しょうが…100g
・山椒の佃煮…30g
☆調味料
・酒…100cc
・みりん…100cc
・しょうゆ…250cc
・ザラメ…250g
《作り方》
1. いかなごは水で洗い、水気をきる。
(ポイント:30分程度おき、しっかりと水気をきりましょう)
2. しょうがは皮ごとよく洗い、千切りにする。
3. 大きめの鍋に☆を入れて強めの中火で熱し、煮立たせる。
いかなごを数回に分けて加える。
再び煮立ったらいかなごを加えるようにして、なくなるまで繰り返す。
(ポイント:吹きこぼれやすいので、大きめの鍋を使用してください。いかなごを加える際は塊にならないように、ばらすように加えます。吹きこぼれないように注意しながら、おどるような火力を維持して煮ます)
4. アクを取り除き、しょうが、山椒の佃煮を加える。
穴をあけたアルミホイルの落としぶたをして、煮汁が少なくなるまで15〜20分ほど煮る。
(ポイント:落としぶたは菜箸などで穴をあけましょう。火加減は吹きこぼれない程度の強めの火加減で、常に煮立っている状態を維持します)
5. 落としぶたを外し、煮汁がほとんどなくなるまで焦がさないように鍋を返しながら煮る。
(ポイント:鍋返しとは焦げつかないように、鍋底から材料をひっくり返すように鍋を動かすことです。菜箸などで混ぜてしまうと崩れてしまうので避けましょう)
6. ボウルに大きめのザルをのせて、汁気を切りながら冷ます。
いかなごのくぎ煮を使ったDELISH KITCHENのレシピ
ここからは、いかなごのくぎ煮を使ったレシピをご紹介します。
いかなごの釘煮と小松菜の和え物
いかなごのくぎ煮が味付けのベースとなっている和え物です。
小松菜はレンジを使って加熱するので、火を使わずに簡単に作ることができます。
いかなごの釘煮の卵焼き
塩と酒でシンプルに味付けた卵焼きの真ん中に、いかなごのくぎ煮を包んだ一品。
いかなごのくぎ煮は卵との相性もよく、ごはんが進むおかずに仕上がります。
いかなごの釘煮ときゅうりのいなり寿司
さっぱりした酢飯に甘辛いいかなごのくぎ煮がよく合います。
酢飯には輪切りのきゅうりを混ぜ込んで、食感にアクセントを加えたアレンジいなり寿司です。
いかなごは関西の春の風物詩!定番のくぎ煮を味わってみよう
いかなごは主に稚魚でよく食される、スズキ目イカナゴ科の魚です。
3月ごろに水揚げされることから、春の風物詩ともいわれています。地域によって呼び名が異なるため、いかなごやこうなごなどさまざまな別名がありますが、きびなごはいかなごとは異なる種類の魚です。
いかなごは、そのまま食べるよりも加工されることが多く、くぎ煮という佃煮が広く知られています。甘辛い味わいでごはんのお供として親しまれており、地域によっては自家製のくぎ煮を作っているところもあります。
新鮮ないかなごの稚魚が手に入ったら、ご家庭で挑戦してみるのもよいでしょう。