発酵バターとは?非発酵バターとの違いもご紹介!
作成日: 2021/11/04
これまでバターといえば、有塩と無塩の2種類から選ぶのが一般的でしたが、スーパーなどでは「発酵バター」という種類も目にするようになりました。発酵バターは普段食べ慣れている普通のバターとは何が違うのか気になったことはありませんか?
この記事では、発酵バターの特徴や、日本で一般的な非発酵バターとの違い、おすすめの使い方などをご紹介します。
発酵バターについて
そもそも、発酵バターとはどのようなバターのことなのでしょうか。
発酵バターとは
発酵バターの原料は生乳と乳酸菌です。生乳から取り出した脂肪分の高いクリームを殺菌し、乳酸菌を加えて混ぜ合わせた後、発酵させるのが発酵バターの作り方です。
乳酸菌を加えて作ることで、深いコクとほのかな酸味、独特の風味が生まれます。非発酵バターと同じように、有塩タイプと無塩タイプの2種類があります。
発酵バターの歴史
ヨーロッパで誕生したバターは、紀元前から使われていたとの文献も残っており、古くから使われていたことが分かっています。
バターが誕生した頃は殺菌技術がない上に製造に時間がかかっていたため、製造途中のバターが発酵してしまうことも多く、自然と発酵バターが誕生して定着しました。このような歴史から、ヨーロッパでは現在も発酵バターが主流となっています。
一方、日本では6世紀頃に、現在のバターやチーズのような「蘇(そ)」という乳製品が作られていたという記録があります。しかし、当時は蘇が一般的に広がることはなく、日本に現在のようなバターが伝わり定着したのは大分時代が進んでからのことです。
その頃になると製造技術が発達していたため、日本に伝わったのは非発酵バターでした。日本で非発酵バターが主流となっているのは、最初に伝わってきたのが非発酵バターだったからです。
発酵バターと非発酵バターとの違い
発酵バターの特徴が分かったところで、気になるのが非発酵バターとの違いです。原料や作り方、味、栄養などを比較してみましょう。
原料・製法
非発酵バターの原料は生乳のみで、生乳から取り出したクリームを殺菌するところまでの作り方は、発酵バターと一緒です。非発酵バターは、殺菌したクリームを攪拌してできたバター粒を練り合わせて作ります。
味・風味
非発酵バターもコクや風味がありますが、発酵バターと比較するとおだやかです。また、非発酵バターには発酵バターに感じられるほのかな酸味はありません。
栄養
発酵バターと非発酵バターの栄養の違いも確認してみましょう。発酵バターと非発酵バターに含まれている栄養は以下の通りです。
【(バター類) 発酵バター 有塩バター】100g当たり
カロリー…713kcal
脂質…80.0g
ビタミンA(レチノール活性当量)…780μg
ビタミンD…0.7μg
ビタミンE(α|トコフェロール)…1.3mg
【(バター類) 無発酵バター 有塩バター】100g当たり
カロリー…700kcal
脂質…81.0g
ビタミンA(レチノール活性当量)…520μg
ビタミンD…0.6μg
ビタミンE(α|トコフェロール)…1.5mg
発酵バターと非発酵バターはカロリーや栄養面で大きな違いはありません。強いて言えば、ビタミンAは発酵バターの方が多いようです。
【出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
代用できるのか
発酵バターと非発酵バターは、同量で代用できます。ただし、発酵バターには独特の風味や香りがあるため、食べたときの印象は若干異なることを意識しましょう。
例えば、普段は発酵バターで作っているお菓子を非発酵バターで代用すると、少しあっさりした印象になります。逆に、非発酵バターで作っていたお菓子を発酵バターで代用すると、香りと風味がアップしてリッチな味わいになります。
お菓子でも料理でも、発酵バターを使うとバターの風味がアップし、非発酵バターを使うと素材の味を活かしつつやさしい風味が加わるのが特徴です。それぞれに魅力があるので、使い分けをするのもおすすめです。
発酵バターの使い方
最後に、発酵バターの使い方をご紹介します。
<お菓子に使う>
発酵バターは、バターの風味を活かせるシンプルな材料を使用したお菓子作りにぴったりです。
バタークッキー
覚えておくと便利なバタークッキーです。発酵バターで作ることにより、風味豊かなクッキーに仕上がります。バニラオイルの香りも加わった本格的なクッキーです。
基本のマドレーヌ
発酵バターの風味が味わい深い、リッチなマドレーヌです。はちみつのやさしい甘みと、発酵バターの芳醇な香りをお楽しみください。おもてなしや手土産にしても喜ばれそうです。
フィナンシェ
香ばしい焦がしバターの風味がたまらないフィナンシェです。シンプルな材料で丁寧に作ったフィナンシェは、お店の味にも負けません。生地を寝かせることがポイントで、外はサックリ、内側はしっとりの食感を作れます。
<料理に使う>
発酵バターはムニエルやオムレツなど、バターの風味をアップさせたい料理に向いています。料理に使う際は、食材を加熱するときの油として使ったり、アツアツの料理に乗せたり、さまざまな使い方ができます。
<そのまま食べる>
パンやホットケーキ、ふかしたじゃがいもなどに塗ってそのまま食べることもできます。特に、こんがり焼いたパンに塗って食べると、パンの香ばしさと発酵バターの風味が口いっぱいに広がり、高級なパンを食べている気分になりますよ。
発酵バターでお菓子や料理の風味をアップ!
発酵バターはクリームに乳酸菌を加えて発酵させたバターということが分かりました。日本ではまだ定番にはなっていないバターですが、ヨーロッパでは発酵バターのほうが一般的です。
発酵バターは発酵させることで、香りと風味がアップしています。お菓子や料理に使うのはもちろん、パンなどに塗ってそのまま食べてもおいしいので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。