食事パンからスイーツまで!イタリアのパンの種類を一挙にご紹介
作成日: 2022/06/17
更新日: 2022/06/18
世界のあらゆる国で食べられているパン。イタリアの食卓でもパンは欠かせません。日本ではフォカッチャやグリッシーニなどが有名ですが、他にはどのようなパンがあるのでしょうか。
この記事では、イタリアで人気のあるパンをまとめました。ご家庭で作れるイタリアのパンのレシピもご紹介します。
イタリアのパンとは
イタリアといえば日本ではピザやパスタが有名ですが、主食はパンです。パンはパスタにも添えられており、パスタソースをつけて食べることもあります。地域によってパンに特徴があり、種類も豊富です。
ここからは、料理に添えられるパンからスイーツとして食べられているお菓子パンまでまとめてご紹介します。
フォカッチャ
フォカッチャは、ジェノヴァ地方発祥の平たい形のパンです。フォカッチャはイタリア語で「火で焼いたもの」という意味です。トスカーナではスキアッチャータといわれています。生地にオリーブオイルが練り込まれており、成形したあとに指で何か所かにくぼみをつけてオーブンで焼いたらできあがりです。
オリーブオイルをつけて食べたり、料理に添えられたり、パンの間に具材を挟んでフォカッチャサンドにして食べたりします。フォカッチャは古代ローマ時代から作られていて、ピザの原型となったといわれています。
チャパタ
チャパタは、ポレシーネ地方アドリア発祥のパンです。チャパタはイタリア語で「スリッパ」という意味で、スリッパのような平たい形をしていることが名前の由来だといわれています。チャパタは生地に加える水分量が多くしっとりとした食感が特徴で、バターや牛乳を使わないで作ります。
チャパタは1980年代にパン職人がパンを作るときに、水分を入れすぎてしまったことから誕生したパンです。イタリアでは塩を混ぜたオリーブオイルをつけて食べるのが一般的です。パンの間に具材を挟んでサンドイッチとしても食べられています。イタリア発祥の温かいサンドイッチであるパニーニにはチャパタが使われています。
ロゼッタ
ロゼッタは、ローマ発祥のバラのような形が印象的なパンです。イタリア語でバラという意味である「ローザ」が名前の由来だといわれています。専用の押し型を使って作られており、真ん中が盛り上がっていて半分に切ると中には空洞ができています。材料は小麦粉、パン酵母、食塩、水とシンプルです。
そのままオリーブオイルにつけて食べたり、料理に添えられたり、空洞の部分にトマトやチーズ、生ハムなどを挟んでサンドイッチにしたりして食べられています。イタリアでは、フィレンツェの伝統料理であるモツ煮込みのランプレドットを挟んだサンドイッチが有名です。
ロゼッタは18世紀から19世紀半ばまでオーストリアに占領されていた頃に作られるようになったといわれています。
グリッシーニ
グリッシーニは、トリノ発祥の細長いスティック状のパンです。クラッカーのような食感で、そのまま食べたり、ディップをつけて食べたり、生ハムを巻いて食べたりします。グリッシーニは長いまま食べるのではなく、折って食べるのがマナーです。
グリッシーニの名前の由来は、「gherssa」だといわれています。イタリアのピエモンテ州に伝わる細長いパンを意味する「gherssa」という言葉が起源で、その後「gherssin」に変化してグリッシーニと呼ばれるようになりました。
17世紀に病弱だった幼い公爵のために、宮廷医がパン職人に消化のいいパンを作らせたのがグリッシーニの始まりだといわれています。
トラメッツィーノ
トラメッツィーノは、トリノ発祥のサンドイッチです。白いパンの真ん中にドーム型になるように具材をのせて白いパンで挟み、三角形になるように切ります。肉や野菜などいろいろな具材が使われます。
トラメッツィーノという言葉は、英語のサンドイッチという言葉の代わりに作られたようです。1925年にトリノのカステッロ広場にあるカフェで考案され、現在もこのカフェではさまざまな種類のトラメッツィーノが販売されています。
パネトーネ
パネトーネは、ミラノ発祥の発酵菓子です。クリスマスの贈り物として作られていましたが、現在は年間を通して販売されています。パネトーネ種と呼ばれる天然酵母を使うのが特徴で、生地にドライフルーツや柑橘系の果皮を練り込んで大きなドーム型に焼き上げます。柔らかい食感で甘いパンです。パネトーネ種を用いると、長期保存が可能になります。
パネトーネの名前の由来には諸説あります。塊という意味の「パネット」と大きいという意味の「トーネ」が組み合わさってできたという説、イタリア語で小さなパンという意味の「パネット」が変化したという説、ミラノのパン屋を経営していたトニーという男のことが好きだった娘が「トニーのパン」として考案したという説などです。
パネトーネの原型は、古代ローマ時代に生まれたといわれています。
パンドーロ
パンドーロは、ヴェローナ発祥の菓子パンでパネトーネと同様にクリスマスの発酵菓子として親しまれています。酵母はパネトーネと同じパネトーネ種が使われていますが、パンドーロはパネトーネとは違ってドライフルーツなどが入っていません。
星のような形が特徴的で、専用の型を使って作ります。食べるときはパンドーロを袋に入れ粉砂糖を全体にまぶし、切り分けます。
13世紀にヴェローナで作られていた「ナダリン」という星形の菓子が起源といわれています。18世紀に入り、ベネチアで食べられていた「パンデオーロ」や、フランスの「ブリオッシュ」の要素が混ざり合って、現在のパンドーロの形になりました。
パンドーロの名前は、イタリア語で黄金のパンという意味の「pan d’oro」が由来だといわれています。
コロンバ
コロンバは、パヴィア発祥でイースターに食べられている伝統菓子です。コロンバはイタリア語で「鳩」という意味です。オレンジピールを混ぜた生地を鳩の形の型に入れて、アラレ糖やグラス生地をトッピングして焼き上げます。パネトーネやパンドーロと同じく酵母にパネトーネ種が使われているのが特徴です。
コロンバの起源は572年といわれており、ロンバルディア州のパヴィアに住んでいた菓子職人が侵略にやってきたランゴバルト族の王にコロンバを送ったのが始まりだとされています。
スフォリアテッラ
スフォリアテッラは、ナポリ発祥の貝殻のような形が特徴的な焼き菓子です。スフォリアテッラはイタリア語で「ひだを何枚も重ねた」という意味があります。何層にも重なった生地の中にリコッタチーズやカスタードクリームなどを入れてオーブンで焼き上げたらできあがりです。パリパリとした食感が魅力的で、仕上げに粉砂糖が振りかけてあるものもあります。
スフォリアテッラは、17世紀のアマルフィ地方の修道院で作られたのが発祥だといわれています。その後、ナポリの菓子職人がレシピを手に入れてスフォリアテッラを作るようになり、ナポリ中に広まっていきました。イタリアではバールやカフェでエスプレッソと一緒に食べるほかにも、レストランなどでも提供しているようです。
マリトッツォ
マリトッツォは、ローマ発祥でブリオッシュのような軽い食感のパンに生クリームをたっぷり挟んだ伝統菓子です。コロンとしたかわいらしい見た目が特徴的なマリトッツォは、ローマでは朝食としてバールでカプチーノと一緒に食べるのが一般的です。
マリトッツォの名前の由来は、イタリア語の「マリート」だといわれています。男性が女性にプロポーズをするときにマリトッツォをプレゼントしていたことから、イタリア語で夫という意味のマリートの俗称であるマリトッツォと呼ばれるようになりました。
マリトッツォの起源は古代ローマまでさかのぼります。昔のマリトッツォはドライフルーツ入りの甘いパンでした。軍隊の携帯食として食べられていたようです。生クリーム入りのマリトッツォが食べられるようになったのは、1900年代後半になってからといわれています。
DELISH KITCHENのイタリアパンレシピ
ご家庭で作れるイタリアパンのレシピをご紹介します。手作りのパンの美味しさは格別ですよ。
フォカッチャ
オリーブオイルを生地にたっぷり練り込んだフォカッチャのレシピです。そのまま食べても美味しいですが、お好みの具材を挟んでフォカッチャサンドにして食べるのもおすすめです。
グリッシーニ
グリッシーニは発酵が一回で済むので、簡単に作ることができます。カリカリの食感がクセになり、いくらでも食べられる美味しさです。食べ方もアレンジ自在なので楽しみながら食べてくださいね。
パネトーネ
生地にドライフルーツミックス、オレンジピール、アーモンドスライスをたっぷり練り込んで焼き上げます。甘くてふわふわ食感のパネトーネは、クリスマスだけでなく普段も食べたくなるスイーツパンです。
お手軽パンドーロ
本場のレシピは酵母にパネトーネ種が使われていますが、手軽に作れるようにドライイーストを使ったパンドーロです。星形がかわいらしいパンドーロは見た目でも楽しめます。
スフォリアテッラ
パリパリの食感が魅力的なスフォリアテッラをご家庭でも作ってみませんか。カスタードクリームはレンジで加熱して作ります。作るのに時間はかかりますが、一度食べたらクセになる美味しさです。
マリトッツォ
本場ではブリオッシュのようなパンを使いますが、バターロールを使って簡単にできるマリトッツォ風にアレンジしました。マーマレードジャムとホイップクリームの相性が抜群です。ティータイムのお供にどうぞ。
イタリアのパンを味わってみよう
イタリアのパンはオリーブオイルをつけて食べるものから、料理に添えられるもの、お菓子として食べられるものまでさまざまな種類のパンがあります。地域によっても特徴が異なり、歴史のあるパンも多いです。
イタリアのパンは日本のパンとは違った魅力があります。パン屋などでフランスのパンを見つけたら、ぜひ手に取って味わってみてくださいね。