山椒の実や花(山椒)の特徴とは?美味しいレシピも
作成日: 2020/10/22
山椒は、葉や花、実それぞれで違った味わいを楽しめる植物です。山椒を美味しく活用したいなら、それぞれの部位の特徴や適した使い方を知りましょう。
この記事では、山椒の部位ごとの特徴やおすすめの使い方、品種の違いについて解説します。
また、実山椒や粉山椒を使った美味しいレシピも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
山椒とは
山椒は香辛料として使われるミカン科の植物で、日本、もしくは東アジアが原産とされています。「ジャパニーズペッパー」とも呼ばれ、独特の、ピリッとした辛さと清涼感のある香りが特徴です。
山椒は、葉や花、実のそれぞれに違った味わいがあります。以下では葉山椒や花山椒、実山椒の特徴について紹介します。
葉山椒
葉山椒とは山椒の若葉のことで、芽吹き始める春に収穫されます。スーパーなどでは「木の芽」として販売されていることが多いでしょう。
爽やかな香りがありますが、辛味はほとんどありません。
花山椒
山椒には雌株と雄株があります。雌株は花が咲いたあと実をつけますが、雄株は実をつけません。花山椒とは、この、実をつけない雄株の花のつぼみを摘んだものです。
山椒のピリッとした辛味は少なく、優しい香りが特徴となります。
花山椒は、中華料理で使われる「花椒(ホワジャオ)」と混同されがちな食材です。
花椒は山椒と同じミカン科の木ですが、原産地や品種が違うため、この2つは別のものとなります。
実山椒
実(山椒)とは、山椒の雌株についた実を収穫したもので、生山椒と呼ぶこともあります。山椒独特の香りや辛味が非常に強いのが特徴です。
実山椒の収穫時期は1年に2回あり、1回目は山椒の実がまだ若く柔らかい5月頃に収穫します。山椒の佃煮や醤油煮として販売されている製品は、この実山椒を使ったものです。
2回目は、赤く熟した実を夏から秋に収穫します。この熟した実を乾燥させ、
皮の部分をすりつぶして粉状にしたものは「粉山椒」として販売されています。
山椒の種類
日本の山椒の品種や産地、それぞれの特徴について解説します。
朝倉山椒
朝倉山椒は、兵庫県養父市八鹿町朝倉を発祥とする山椒です。実は柔らかく大粒で柑橘系のフルーティーな香りがあり、辛味が優しいことが特徴となっています。
山椒は通常、雌株と雄株がありますが、朝倉山椒は雌雄同種なので一株あれば実がつきます。また、枝にトゲがないことも特徴です。
ぶどう山椒
ぶどう山椒とは、和歌山県有田川町発祥の山椒で、朝倉山椒から派生したとされる種です。実のなり方がぶどうの房のようであることからこの名前がつきました。
粒が大きくて果皮が厚く、辛味が強く、爽やかな中に甘さを感じる香りが特徴です。
有馬山椒
有馬山椒とは、兵庫県神戸市北区有馬地域に自生していたとされる山椒です。
有馬地域は料理に山椒を活用する文化が盛んでした。日本料理の「有馬煮」や「有馬焼」は、山椒を使った料理を指しています。このことからも、有馬と山椒の関係が深いことがわかります。
有馬山椒は柑橘系の香りが強く、辛味も強いことが特徴です。
高原山椒
高原山椒は、岐阜県北部の高原川周辺に自生していたとされる品種で、現在では岐阜県高山市で多く栽培されています。
高原山椒の実は小ぶりで深い緑色をしており、長期保存が可能です。香りの持続性が高く、収穫後長期間経っても爽やかな香りを保ちます。
竜神山椒
かつて龍神村と呼ばれる一帯のあった、和歌山県田辺市で栽培される山椒です。一般的な山椒と比較して葉数が少なく、葉の形が少し丸みを帯びている特徴があります。
山椒は生薬として使われることもありますが、竜神山椒は薬用ではなく食用です。
山椒の使い方
山椒を美味しく食べるには、葉山椒、花山椒、実山椒それぞれに合った使い方をするのがポイントです。
「木の芽」ともいわれる葉山椒は、炊き込みご飯やちらし寿司、お吸い物などのトッピングにすると彩りがよくなり、ほのかな山椒の風味が加わります。
また、葉山椒をすりつぶして味噌などと混ぜる木の芽味噌や、葉山椒を甘辛く炊いた佃煮もおすすめです。
花山椒も、甘辛く炊くと美味しい佃煮になります。後述する実山椒の佃煮より優しい辛味が特徴です。
また、シンプルなだしがベースの鍋料理に花山椒をたっぷり加える花山椒鍋も、春の訪れを感じる爽やかな味を楽しめます。
花山椒は柔らかく、他の食材の食感となじみやすいので、炒め物などの具材にしてもよいでしょう。
実山椒の代表的な使い方は佃煮や醤油煮です。実山椒を佃煮・醤油煮にした製品も多く販売されています。
また、実山椒をちりめんじゃこと一緒に佃煮にした、ちりめん山椒も代表的なメニューです。実山椒の佃煮は、青魚と一緒に煮ると魚の臭みがおさえられ、爽やかな風味の煮魚になります。
お茶漬けに乗せるのもおすすめです。
粉山椒の代表的な使い方は、うなぎのかば焼きやタレつきの焼き鳥など、甘辛くこってりしたメニューにかけることです。
爽やかなアクセントが加わり食がすすみます。塩と混ぜて山椒塩にし揚げ物に添えたり、花椒(ホワジャオ)の代わりに麻婆豆腐にかけたりするのもおすすめです。
山椒を使ったDELISH KITCHENのレシピ
実山椒や粉山椒を使ったおすすめのレシピを紹介します。
実山椒を使ったレシピ
ちりめん山椒
実山椒が手に入ったら、ぜひちりめん山椒を作ってみましょう。ご飯に乗せたり混ぜ込んだりはもちろん、和風パスタの具にする、卵焼きに入れるなど使い勝手のよさは抜群です。
実山椒とちりめんじゃこがあれば、あとは醤油や砂糖、みりんなど家庭に常備している調味料で簡単に作れます。
実山椒の佃煮
佃煮は、実山椒を使った代表的なメニューです。美味しく作るポイントは、実山椒のあく抜きをしっかり行うこと。下茹でしたら水に放し、水を何度か取り換えつつ2~3時間はあく抜きしましょう。
実山椒の佃煮を作っておけば、煮物を山椒風味にするなど他のおかずを作るときにも役立ちますよ。
実山椒の炊き込みご飯
茹でてあく抜きした実山椒と、ちりめんじゃこや油揚げを使ったシンプルな炊き込みご飯です。実山椒のピリッとした風味が大人の味ですね。
油揚げは短冊切りではなく、小さく角切りにすると他の食材との食感のバランスがよくなります。お弁当用におにぎりにしても美味しいですよ。
粉山椒を使ったレシピ
ブリと大根の山椒煮
醤油ベースのブリ大根に粉山椒を加え、爽やかな風味に仕上げたひと品です。市販の粉山椒は余ってしまいがちなので、このように使うと有効活用できますね!
大根はレンジ加熱しておくと煮る時間を短縮でき、ブリが煮過ぎで固くなることも防げます。
サワラの山椒焼き
粉山椒をたっぷり加えたタレにサワラを漬け、山椒の香り豊かに焼き上げるレシピです。サワラが焦げつかないよう、片面は中火で焼き色がつく程度に焼き、裏返したら弱火で火を通しましょう。
グリルではなく、フライパンで焼くので後片付けも楽ちんですね♪
あゆの山椒味噌焼き
白味噌とみりん、粉山椒を合わせた山椒味噌を鮎に塗って焼いたひと品です。コクのある味噌と爽やかな山椒の相性は抜群で、淡白なあゆの味も引き立ちます。
見た目も味わいも上品なので、大人の会食のおもてなし料理にも使えそうですね。
魅力いっぱいの山椒をいろいろな料理に使いこなそう
山椒の葉や花、実の違いや山椒の品種、おすすめレシピを紹介しました。葉山椒、花山椒、実山椒など、部位によって特徴やおすすめの使い方が変わることがわかりましたね。朝倉山椒や高原山椒など、品種の違う山椒が手に入ったら食べ比べてみるのも楽しそうです。
紹介したレシピなどを参考に、ぜひ、山椒をいろいろな料理に活用してください。