小茄子(こなす)とは?品種や保存方法とおすすめレシピをご紹介
作成日: 2022/08/30
一般的な茄子よりも小ぶりな大きさの小茄子を知っていますか。小さめな形を生かして、漬物などに多く使われる茄子のことです。小茄子には、民田なすや薄皮丸なすなど、さまざまな品種があります。
この記事では、小茄子の特徴と品種、また美味しい小茄子の選び方と保存方法、おすすめレシピについてご紹介します。
小茄子(こなす)について
ここでは、小茄子の特徴と主な産地と旬、品種についてご紹介します。
小茄子の特徴
小茄子とは、茄子よりも小さく小ぶりな種類をいいます。大きさは3〜8cm程度で、重さは10〜20gほどです。小丸なすという丸い形のものや、ひと口なすという卵形のものがあり、漬物として加工されるだけでなく料亭の料理などに使われます。形は小さいながらもしっかりと茄子の甘みが感じられることが味の特徴です。
主な産地と旬
小茄子は主に山形県や高知県、栃木県で生産されています。山形県では5〜11月、栃木県では6〜11月にかけて、また高知県産のものは通年出回っていることが特徴です。
主な品種と主産地
小茄子には数多くの品種があります。ここでは、品種と主な産地について解説しましょう。
民田なす
小茄子の代表的な品種のひとつが、民田なすです。山形県の在来種であり、「みんでんなす」と読みます。江戸時代に京都の宮大工によって持ち込まれたのが始まりと言われ、鶴岡市民田地域で伝統的に作られてきました。卵形の実をつけ、皮が硬く果肉がしまっていることが特徴で、漬物などに使われます。
薄皮丸なす
同じく山形県で昔から栽培されてきたのが、薄皮丸なすです。「うすかわまるなす」と呼ばれます。昭和20年代に新潟県からの行商人から、南陽市の沖田与太郎が種をもらい受けて育てたのが始まりです。丸い形が特徴で、皮が薄いため漬物にすると食感の良さが楽しめます。
出羽小なす
出羽小なすは「でわこなす」と呼ばれ、「窪田なす」と「民田なす」を掛け合わせることにより生まれた品種です。山形県農業試験場により、収量や着色性を改良するために作られました。民田なすよりも丸型の実が特徴的です。辛子漬けや粕漬けなど、漬物によく使われます。
梵天丸なす
梵天丸なす(ぼんてんまるなす)の「梵天丸」とは、伊達政宗の幼少期の名前です。幼少期、米沢市に住んでいたとされる伊達政宗に因んで名付けられました。昭和60年代に、在来種である「窪田なす」と「仙台長なす」を、米沢市の農協が掛け合わせることにより誕生した品種です。果皮が薄く実が硬いことが特徴で、漬物に使われます。
十市なす
十市なすは「とおちなす」と読まれ、高知県で古くから作られてきた品種です。在来種である「初月なす」と「新黒なす」の自然交配により生まれたとされています。形は短めの卵形で、黒紫色の皮にツヤがあることが特徴です。果肉が硬く崩れにくいので、煮物に向いているだけでなく、漬物にするとキレイな色に仕上がります。
もぎなす
もぎなすは、主に京都市左京区で栽培される野菜のひとつで、「京の伝統野菜」に認定されています。明治時代初期に、京都市の聖護院で育てられていた在来種のなすから派生した品種です。皮は薄く、丸い卵型の果実と黒紫色の果皮をしています。実がしっかりとしまっていることから煮物や漬物など、さまざまな料理に使われています。
小茄子の選び方
新鮮な小茄子を見分けるには、ヘタと果皮に注目しましょう。
小茄子のヘタの大きさは、一般的な茄子とそれほど変わりません。ヘタのトゲが鋭いものが、新鮮な子茄子の特徴です。また、果皮にツヤとハリがあるものを選ぶとよいでしょう。
茄子の保存方法
小茄子の保存方法は、一般的な茄子と同じです。ひとつずつラップで包んで、乾燥を防ぎながら保存するとよいでしょう。以下に、茄子の保存方法をご紹介しているので参考にしてください。
小茄子のおいしい食べ方
一般的に、果皮や実が柔らかい品種が多い小茄子は、浅漬けや辛子漬けにおすすめです。ピリッとした辛みがたまらない小茄子の辛子漬けは、山形県の名産品にもなっています。
漬物だけでなく天ぷらや挟み揚げ、揚げ浸しなど、食べやすい大きさを生かした料理にもぴったりです。ふつうの茄子と同じように調理できるため、さまざまな料理に幅広く使われます。
小茄子にもおすすめ!DELISH KITCHENの茄子レシピ
ここからは、小茄子にもおすすめの茄子レシピをご紹介します。小茄子は、レシピで使用している茄子と大きさが異なるため、重さを参考にした分量で作るとよいでしょう。
また、小茄子を丸ごと使う場合には、熱が通りやすく味が染みやすくするために、斜めに切り込みを数本入れてから調理することをおすすめします。
なすの浅漬け
唐辛子をピリッと効かせた茄子の浅漬けを、小茄子で作ってみましょう。茄子と刻み昆布、調味料を加えて味を馴染ませるだけで、美味しい浅漬けが完成します。ごはんとの相性もぴったりなので、ぜひお試しください。
茄子の辛子漬け
今日のご飯のお供に、小茄子で作る辛子漬けはいかがですか。ほんのり甘くてツンと辛い味付けが茄子によく合い、ついつい箸が止まらなくなる美味しさです。簡単なレシピなので手間をかけずに簡単に作れます。
なすの天ぷら
サクッとした衣とジューシーな食感が魅力の、茄子の天ぷらのご紹介です。小ぶりな子茄子を使うと、ひと口サイズのかわいらしい天ぷらに仕上がります。茄子の美味しさを存分に味わえる一品です。
なすの素揚げ
小茄子を使った素揚げもおすすめです。油と相性のよい茄子は、揚げるとトロッととろける食感が楽しめます。鮮やかな色に仕上げるためには、皮から揚げることがポイントです。ぜひ一度、お試しください。
茄子の栄養
ここからは、参考までに一般的な茄子の栄養をご紹介します。どのような栄養があるのか知りたいという方は、ぜひ見てみてください。
基本的な栄養
茄子の基本的な栄養をご紹介します。可食部100gあたりの数値を載せています。
なす(可食部100gあたり)
・カロリー 18kcal
・炭水化物 5.1g
・食物繊維 2.2g
茄子は、全体の約93%を水分が占める、みずみずしさが特徴の野菜です。
ナスニン
茄子の果皮の紫色は「ナスニン」というアントシアニン系の色素です。ナスニンは鉄分と結合することで安定化し、鮮やかな色に発色します。茄子のぬか漬けを作るときに、ぬか床にクギを入れるのは、発色のためです。
茄子を切って放置しておくと断面が変色しますが、その現象にはアクが影響しています。このナスニンは、植物に含まれる化学物質のフィトケミカルの一種でもあります。最近、話題になっているポリフェノールもフィトケミカルの仲間といわれています。
色素や香り、アクに含まれるフィトケミカルは、植物が紫外線から身を守るために作るもので、抗酸化作用が認められるとされています。ナスニンは水に溶ける性質があるため、煮汁ごと召し上がると効果的です。
カリウム
茄子にはカリウムも含まれています。
なす(可食部100gあたり)
・カリウム 220mg
カリウムは人体に必要なミネラルの一種で、体内で浸透圧の調節に働きます。 体内のナトリウムの排出を手助けする作用があるため、塩分のとりすぎを調節してくれます。
βカロテン
茄子には、βカロテンも含まれています。
なす(可食部100gあたり)
・βカロテン 100μg
※βカロテンの数値は、βカロテン当量を記載しています
βカロテンは、強い抗酸化作用があることで知られています。 カロテンは脂溶性であることから、油類といっしょに摂取した方が吸収されやすいため、調理方法を工夫することをおすすめします。
かわいらしい小茄子を使った料理を作ってみよう!
さまざまな品種がある小茄子は、主に山形県や栃木県、高知県などで栽培されています。柔らかい果皮としっかりとした果肉を持つ品種が多く、漬物や煮物などにおすすめです。
丸ごと使う場合には、切り込みを入れるなど下処理をして火通りと味馴染みを良くすると、茄子と同じように料理に使うことができます。小茄子が手に入ったら、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
【参考】
厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
厚生労働省 e-ヘルスネット「カロテノイド」
厚生労働省 e-ヘルスネット「緑黄色野菜」
独立行政法人農畜産業振興機構 野菜情報 - テーマ「今月の野菜」なす 2017年08月(2022/08/30)
【出典】
日本食品標準成分表2020年版(八訂)