さつまいもは変色しても食べられる?変色の理由や防止策をご紹介
作成日: 2023/07/31
大学芋やスイートポテト、焼き芋など、ほくほくと甘いさつまいも。さつまいもを買って保存しておいたら色が変わってしまった経験はありませんか?さつまいもは保存状態や成分の化学変化によって、黒や緑に変色してしまうことがあります。
色が変わったさつまいもを見て「これって食べられるの?」「なんで色が変わったんだろう……」と疑問に思っている方も多いはず。そこで今回はさつまいもが変色する理由や食べてもいいのかどうか、変色を防ぐ方法などについて詳しく解説します。
さつまいもが変色する理由
さつまいもが変色していると「腐っていたらどうしよう……」と不安になって捨ててしまう方も多いようです。
さつまいもが変色してしまう理由は大きくわけて3つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.化学変化による変色
さつまいもにはさまざまな栄養素が含まれていて、それらが空気やほかの物質に触れると化学反応を起こして変色してしまいます。
さつまいもを切って少し置いておくと、黒色の斑点が表れます。この黒い斑点はさつまいもに含まれる「ヤラピン」という成分が空気に触れて酸化したものです。ヤラピンはさつまいも特有の成分で、整腸作用があるといわれています。
また、さつまいもを加熱したあとに緑色に変化することもあります。さつまいもに含まれる「クロロゲン酸」という成分が原因で、クロロゲン酸が料理に使うてんぷら粉や重曹に含まれるアルカリ性の物質に反応して変色してしまうのです。
2.低温障害による変色
冬によく食べるさつまいもは、寒い地域の食べ物だと思われがちですが、実はメキシコを中心とする熱帯アメリカ原産の植物です。寒さに弱く13~14℃が保存に適しています。10℃以下の冷蔵庫で保存すると低温障害を起こしてしまうので注意が必要です。
低温障害とは、さつまいもの細胞が寒さで死んでしまった状態です。低温障害になったさつまいもは、切ると黒い斑点が見られたり、全体的に黒く変色したりしています。後半でご紹介する正しい保存方法を実践して、低温障害を防ぎましょう。
3.その他傷みや腐敗による変色
化学変化や低温障害だけでなく、傷みや腐敗による変色もあります。傷むとどのような変化が起きるのかを理解して、食べないようにしましょう。
黒カビによる変色
さつまいもの表面に灰色や緑色の苔のようなふわふわしたものが付着している場合は、カビが発生しています。湿気の多い場所で保存しているとカビが生えやすくなってしまうので、保存場所には注意しましょう。発生してしまったら必ず処分しましょう。
腐敗による変色
さつまいもを適切に保存できていないと、傷みや腐敗によって皮が萎んだり、実がやわらかくブヨブヨになったり、皮が茶色く変色してしまいます。さつまいもは通常、切るときにかなり力がいるぐらいかたいものなので、やわらかくなっていれば腐っていると判断するといいでしょう。また、さつまいもが傷むと見た目だけでなく、腐ったようなニオイもします。
結局変色してしまったさつまいもは食べられる?
低温障害や化学反応、腐敗によって変色したさつまいもは食べられるのでしょうか。
断面が斑点状に黒く変色してしまった場合
さつまいもの切り口が黒く変色してしまったものは、ヤラピンが化学反応を起こしているだけで味や栄養価に影響はありません。食べてもまったく問題はありませんが、どうしても見た目が気になる場合は、取り除くといいでしょう。
緑に変色している場合
緑に変色している場合は、さつまいものクロロゲン酸が化学反応を起こしているだけなので、問題なく食べられます。クロロゲン酸はアクの成分で食べるとえぐみがあるので、気になる方は水につけてアク抜きをするのがおすすめです。
低温障害によって変色している場合
低温障害でさつまいもが黒く変色している場合、変色が一部であれば切り落として食べられます。だだし、低温障害を起こしているさつまいもは味や栄養価が落ちている場合があります。全体的に黒く変色している場合は諦めて処分しましょう。
その他傷みや腐敗による変色の場合
さつまいもがブヨブヨとやわらかくなっていたり、皮が萎んでいたり、ふわふわとしたカビが付着していたりする場合は食べられないので速やかに処分しましょう。
化学変化や低温障害による変色と違って酸っぱいニオイやカビのニオイが発生するので、見た目だけでなくニオイもしっかりと確認しましょう。
さつまいもの変色を防ぐ3つの方法
緑色や黒色に変色しても食べられるとはいえ、栗きんとんやスイーツ、天ぷらなどは、できるだけ変色していない状態で楽しみたいですよね。さつまいもは保存方法や調理法によって変色を防ぐことができます。ここでは変色を防ぐ3つの方法をご紹介します。
常温保存する
さつまいもは低温障害を防ぐために常温で保存するようにしましょう。
野菜を買ってきたら、とりあえず冷蔵庫に入れるという人もいるかもしれません。さつまいもは保存の温度が低すぎると黒く変色してしまうので冷蔵庫に入れるのはNG。袋から取り出して一本ずつ新聞紙やキッチンペーパーで包み、風通しのいい冷暗所で保存します。気温が20℃を超える暑い時期は、野菜室に入れるか次の章で紹介する冷凍保存がおすすめです。
切った後はすぐに水につける
化学反応による変色を防ぎたい場合は、切った後はすぐに水につけるのがおすすめです。さつまいもを切ってそのまま置いておくと、ヤラピンやクロロゲン酸の化学変化によって切り口が黒くなったり、加熱後に緑色に変色したりしてしまいます。
さつまいものアクは身体に害はありませんが、料理を彩りよく仕上げたいときはさつまいもを10~15分ほど水につけましょう。水が白く濁ってくるのは、アクが抜けている証拠です。
皮を厚めに剥く
変色の原因であるヤラピンやクロロゲン酸は皮の近くに多く含まれているため、皮を2〜3mmほど厚めに剥くことで変色を防げます。また、スイートポテトや栗きんとんを作るときは、皮を厚く剥くことで裏ごしなどをする場合もなめらかに仕上がります。
ただしヤラピンやクロロゲン酸は身体にいい成分でもあるため、栄養を無駄なく摂りたい場合は皮をきんぴらにして食べるといいでしょう。変色を防ぎたいときは皮を厚めに剥く、気にならないときはそのまま食べるといったように、料理によって使い分けるのもおすすめです。
その他さつまいもに関するQ&A
続いてはさつまいもの保存方法や選び方について、Q&A方式でご紹介します。
Q1.さつまいもは冷凍保存してもいいですか?
暑い時期にさつまいもを保存したいときは、冷凍保存がおすすめです。生で冷凍すると味や食感が落ちてしまうので、一度加熱してから冷凍庫に入れましょう。
茹でたり電子レンジで加熱したりして粗熱をとり、保存袋に入れて冷凍庫で保存します。使うときは凍ったまま調理します。角切りや輪切り、乱切り、ペースト状など調理方法によってわけると使うときに便利ですよ。
冷凍保存についてはこちらで詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
Q2.さつまいもから芽が生えてきましたが食べられますか?
さつまいもの芽は毒性がないため、食べても問題ありません。「じゃがいもの芽は食べられないのになんでさつまいもは大丈夫なの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。じゃがいもの芽には、ソラニンやチャコニンという天然毒素が多く含まれていますが、ヒルガオ科のさつまいもの芽にはこれらの毒素は含まれていません。
そのため、芽が出てしまっても食べることができるのです。ただし芽が伸びると味が落ちてしまうため、なるべく新鮮なうちに使い切るのがおすすめです。
Q3.さつまいもはどれくらい日持ちしますか?
さつまいもの常温での保存期間は約1か月です。さつまいもを新聞紙やキッチンペーパーで包み、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。冷凍なら2~3週間保存できます。生のさつまいもが使い切れずに余ってしまった場合はラップに包んで野菜室で保存し、できるだけ早めに食べましょう。
Q4.良いさつまいもの選び方はありますか?
美味しいさつまいもは、皮の色が濃くツヤがあるのが特徴です。また、品種によって違いはありますが、できるだけ丸くてふっくらとしたものを選びましょう。
さつまいもを色合いや形を見た後は、ひげ根の量をチェックします。生育環境がいいさつまいもはひげ根が少ない傾向にあります。反対にひげ根が多いものは中がすじっぽいので避けましょう。
これらの質問への詳しい回答は以下の記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。
鮮度が良いうちに美味しく食べましょう!DELISH KITCHENのレシピ特集
さつまいもが変色しないように適切に保存しつつ、新鮮なうちに美味しく食べましょう。
さつまいもを使ったレシピは以下の記事で紹介していますので、何を作ろうか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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さつまいもを適切に保存して変色を防ごう
さつまいもは化学変化や低温障害、傷みや腐敗によって変色してしまいます。ヤラピンやクロロゲン酸の化学変化による変色の場合は食べても問題ありませんが、低温障害で全体的に黒く変色しているときや、カビや腐敗によって傷んでいるときは食べずに処分しましょう。料理を彩りよく仕上げたい場合は、アク抜きをしたり、皮を厚く剥いたりすることで変色を防止できます。
保存方法や調理法を工夫して変色を防ぎ、さつまいもを美味しく使い切りましょう。