菜種油は体に悪い?サラダ油との違いやレシピをご紹介
作成日: 2021/10/11
普段の料理に欠かせない油はさまざまな種類がありますが、その中に「菜種油」があります。
日本で古来より食用として使われており、なじみ深い油のひとつです。
この記事では、菜種油の製法や含まれている栄養、サラダ油との違いや使い方、菜種油を使ったスイーツレシピなどをご紹介します。
また、菜種油は体に悪いのかということについてもみていきましょう。
菜種油について
菜種油とは、アブラナの種子を原料とした油のことです。
製法や含まれている栄養、サラダ油との違いなどをご紹介します。
菜種油の製法
菜種油の原料はアブラナの種子です。
昔ながらの製法の菜種油は、菜種を丁寧に焙煎したあとに時間をかけて圧搾し、さらにろ過して作られています。
菜種は焙煎することで十分に油を絞ることができ、残った搾りかすは肥料などに使われています。
大量生産で作られる菜種油の中には圧搾ではなく、化学溶剤を用いて油分を抽出しているものもあります。
菜種油の栄養
油の栄養で重要な脂肪酸についてみていきましょう。
ここでは、オメガ脂肪酸(不飽和脂肪酸)の含有量について、菜種油とほかの油の100gあたりで比較してみました。
《菜種油》
・オメガ9系…60.09g
・オメガ6系…18.59g
・オメガ3系…7.52g
《コーン油》
・オメガ9系…27.96g
・オメガ6系…50.82g
・オメガ3系…0.76g
《大豆油》
・オメガ9系…22.12g
・オメガ6系…49.67g
・オメガ3系…6.10g
《オリーブ油》
・オメガ9系…74.04g
・オメガ6系…6.64g
・オメガ3系…0.60g
ほかの油と比較すると、菜種油はオメガ9系の脂肪酸がオリーブオイルの次に多く含まれていることが分かります。
菜種油にはオメガ9系脂肪酸の中でも、LDLコレステロールを下げる働きがあるといわれているオレイン酸が多く含まれているものもあります。
【出典:日本食品標準成分表 2020年版(八訂)】
サラダ油との違い
サラダ油は、低温でも結晶化しないよう精製された、日本生まれの植物油のことを指します。
サラダ油と表示するためには、日本農林規格(JAS規格)が定めた基準を満たす必要があります。その中で定められた原料のひとつに、菜種も含まれています。
つまり、基準を満たした菜種油であれば、サラダ油と呼ぶことができるのです。
また、よく目にするキャノーラ油も菜種油の一種です。
キャノーラ油も菜種から作られますが、品種改良して生まれたキャノーラ種を原料としています。
このように菜種油とキャノーラ油では、使う菜種の種類が異なることから区別されています。
現在では一般的に、キャノーラ油がサラダ油と捉えられています。
菜種油の選び方
菜種油は、圧搾一番搾りのものがおすすめです。
圧搾一番搾りの菜種油は余計なものを加えず、重みや圧力で油を絞るため、菜種の香りやきれいな色合い、ビタミンなどの栄養も残りやすいという特徴があります。
さらに、原料が国産だとなおよいでしょう。
現在では国産の菜種は貴重で、外国産の菜種を使っていることが圧倒的に多くなっていますが、外国産の菜種で遺伝子組み換えのものかどうかを見分けるのは難しい実情があります。
国産の菜種は、遺伝子組み換えをせずに品種改良されているため、その点は安心です。
菜種油の使い方
菜種油は熱に強くて酸化しにくく、味や香りにくせが少ない油です。
炒め物やドレッシングに使ったり、揚げ物に使うとカラっと仕上がるなど、さまざまな用途に使用できます。
また、お菓子作りでバターの代わりの材料として使うこともできます。
菜種油の代用
菜種油と同じように、熱に強くてくせが少ない大豆油、コーン油、紅花油、米油などが菜種油の代用品として適しています。
それに対して、香りの強いオリーブ油や茶色いごま油は、風味や色合いに差が出るため代用には向いていません。
菜種油が体に悪いといわれている理由
菜種油が体に悪いといわれている要因は、2つほど考えられます。
1つ目は、かつて栽培されていた日本固有の菜種の品種には「エルカ酸」という脂肪酸が多く含まれていたためです。
このエルカ酸は、多量に摂取すると病気を引き起こす原因となるといわれていました。
しかし、そのあとの日本では、品種改良により低エルカ酸の菜種が開発されたため、現在はエルカ酸による健康被害は起きにくい状況にあります。
2つ目は、化学溶剤を用いて抽出した菜種油の場合、高温で加熱する工程があり、そこでトランス脂肪酸ができることがあるためです。
化学溶剤を用いる抽出方法を使うと、圧搾するより多くの油をとることができますが、抽出過程で添加物特有のいやな臭いがつくため、それを取り除く目的で高温で加熱する工程があります。
トランス脂肪酸は菜種油に限らず、ほかの油にも含まれている場合がありますが、とり過ぎると生活習慣病のリスクを高めるといわれています。
現在、農林水産省が推定している日本人が1日で平均的に摂取しているトランス脂肪酸の量は、国際機関が勧告している上限量には達していませんが、油の摂取量には気をつけてトランス脂肪酸をとり過ぎないよう注意しましょう。
菜種油を使ったDELISH KITCHENのレシピ
最後に、菜種油を使ったスイーツのレシピをご紹介します。
豆腐ブラウニー
バターや卵の代わりに菜種油と絹豆腐を使って、植物性の材料のみで作るブラウニーです。
絹豆腐はあえて水切りせずにそのまま使うことで、しっとりと焼き上がります。
豆腐クリームの米粉ロールケーキ
米粉や菜種油で作ったしっとりもちもちの生地に、大豆の風味が感じられる優しい味わいのクリームを巻きました。
生地はレンジで作れて、クリームには豆腐を使うことで泡立ていらずなのも嬉しいポイントです。
タピオカ粉クッキー
米粉とタピオカ粉を合わせ、菜種油などを加えて焼き上げたクッキーです。
硬めの食感が特徴なので、十分に薄く伸ばしてから型を抜きましょう。
甘酒セサミクッキー
砂糖代わりに甘酒を使い、たっぷりと入れた黒ごまの食感が楽しい素朴な味わいのクッキーです。
こちらも卵やバターは使わず、菜種油を使っています。
(このレシピはアルコールを含んでいます)
ジンジャーシロップがけパンケーキ
全粒粉を使ったパンケーキは、生地の中にも焼くときのフライパンにも菜種油を使います。
簡単に作れる手作りのジンジャーシロップをかければ、ひと味違った大人のパンケーキが楽しめますよ。
手作り兵糧丸
戦国時代に手軽に栄養がとれる保存食として開発された兵糧丸を、現代風においしくアレンジしました。
米粉、黒ごま、はちみつ、菜種油などを入れた生地を蒸して仕上げます。忍者の気分が味わえるおやつです。
菜種油は圧搾一番搾りや原料が国産のものがおすすめ!
菜種油はアブラナの種子を原料とする油で、くせが少なく、熱に強くて酸化しにくいという特徴があります。
体に悪いといわれていることの要因のひとつであるエルカ酸は、菜種が品種改良された結果、現在では国産の菜種油に含まれる量はかなり少なくなっています。
菜種油を購入する際は、圧搾一番搾りで作られたものや原料が国産のものがおすすめですよ。
料理にはもちろん、お菓子にも使いやすい油であるため、とり過ぎに注意しながら上手に菜種油を活用しましょう。