醤油に含まれる塩分はどれぐらい?塩分を抑える方法もご紹介
作成日: 2021/10/22
日本の食卓には欠かせない醤油。毎日使うという人もいるのではないでしょうか。調味料を使う上で気になるのが塩分量ですよね。塩分の摂りすぎはさまざまな健康リスクを高める可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、醤油や味噌、ソースなどの塩分量や塩分を控えるための方法などをご紹介します。醤油などの調味料の塩分量を把握し、使用量を定期的に見直しましょう。
醤油に含まれる塩分
ここからは、さまざまな種類の醤油の特徴や、含まれる塩分をみていきましょう。
薄口醤油
《薄口醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g):1.0g
・大さじ1(18g):2.9g
・100gあたり:16.0g
塩分濃度:16〜17%程度
《薄口醤油(低塩)の食塩相当量》
・小さじ1(6g)0.8g
・大さじ1(18g)2.3g
・100gあたり:12.8g
塩分濃度:13〜14%程度
薄口醤油は関西でよく使われていて、日本の醬油生産量の約13%を占めています。薄い色と控えめな香りが特徴で、煮物やお吸い物、おでんなど素材の味を活かした料理に向いています。
醤油の基本的な原料の小麦と大豆のほか、米を糖化させて作る甘酒を加えているのが特徴です。色が薄いため塩分も少なそうに感じます。しかし製造の過程で食塩を多く使うため、ほかの醤油よりも塩分濃度が高くなっています。
薄口醤油については、こちらの記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
濃口醤油
《濃口醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g)0.9g
・大さじ1(18g)2.6g
・100gあたり:14.5g
塩分濃度:14〜15%程度
《濃口醤油(減塩)の食塩相当量》
・小さじ1(6g)0.5g
・大さじ1(18g)1.5g
・100gあたり:8.3g
塩分濃度:8〜9%程度
濃口醤油は日本の醤油生産量の80%以上を占め、全国で最も使われている醤油です。明るい赤褐色をしているのが特徴で、塩味やうま味・甘味・酸味などのバランスがよくさまざまな料理に使えるのが特徴です。
大豆と小麦が1:1の割合で作られています。麹量の120~130%の塩水を入れて6か月~1年ほど発酵熟成をさせていきます。製造方法は「本醸造」「混合醸造」「混合」の3つがあります。日本で作られている醤油のほとんどが本醸造方式です。
たまり醤油
《たまり醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.8g
・大さじ1(18g):2.3g
・100gあたり:13.0g
塩分濃度:13〜14%程度
薄口醤油や濃口醤油は大豆と小麦をほぼ同量使用するのに対し、たまり醤油の主な原料は大豆のみ。蒸した大豆に麹を加えて味噌玉を作り、1年以上発酵・熟成させます。
とろみが強く、濃厚な味と香りが特徴で、一般的な濃口醤油の2倍程度のうま味成分が含まれているといわれています。照り煮や煮物、焼き鳥のタレや佃煮などにおすすめです。
たまり醤油については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
白醤油
《白醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.9g
・大さじ1(18g):2.6g
・100gあたり:14.2g
塩分濃度:14〜15%程度
愛知県碧南市発祥の白醤油は、醤油の中で最も色の淡い琥珀色をしています。主原料は小麦と大豆の割合が9:1割程度の比率がほとんどですが、大豆を一切使わないものも。色がつかないように醸造期間は3か月程度と短いのが特徴です。
素材の風味や色を生かし、料理に色をつけたくないときに使われます。炊き込みごはんやお吸い物、煮物、茶碗蒸しなどに使うのがおすすめです。
再仕込み醤油
《再仕込み醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.7g
・大さじ1(18g):2.2g
・100gあたり:12.4g
塩分濃度:12〜13%程度
山口県柳井地方が発祥の再仕込み醤油は、濃厚なうま味とコクが特徴です。醤油で醤油を仕込む製法が用いられているため、「再仕込み醤油」と呼ばれています。
また、「甘露醤油」「二段仕込み醤油」と呼ばれることも。濃口醤油に比べて2倍の原料と期間を使うことで、濃厚でうま味の強い醤油に仕上がります。味と香りのバランスがよく、お刺身や冷ややっこに使うのがおすすめです。
だし醤油
《だし醤油の食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.4g
・大さじ1(18g):1.3g
・100gあたり:7.3g
塩分濃度:6〜8%程度
だし醤油とは、醤油をベースにかつお節や煮干し、こんぶ、ホタテなどのだし、みりんを加えた加工調味料のことです。どのような出汁が使われているかによって、大きく味わいが異なります。
出汁が入っているため、上記の醤油と比べると塩分濃度が低いです。おひたしや和え物、煮物など和食全般の味付けに使われます。
ポン酢醤油
《ポン酢醤油(市販品)の食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.5g
・大さじ1(18g):1.4g
・100gあたり:7.8g
塩分濃度:7〜8%程度
さっぱりとしてさまざまな料理の味付けに重宝するポン酢醤油は、ほかの醤油と比べると塩分濃度が低めです。
市販のポン酢醤油には、酢や柚子・レモン・カボスなどの柑橘類の果汁、醤油が使われています。またメーカーによっては、甘みを加えるために砂糖やみりんを使ったり、出汁を足したりしているものもあります。
お鍋に使うのはもちろん、餃子や焼肉のたれ・ステーキソースとしても代用可能です。また、刺身や焼き魚、冷奴などにかける醤油代わりとしてもよく合います。
ゆずや醤油、かつお節やこんぶを使って、自宅でも簡単にポン酢醤油を作ることができます。電子レンジを使うので、難しい工程もありません。ゆずがない場合は、カボスやすだちなどほかの柑橘類でも代用可能です。
他調味料の塩分
ここからは、味噌・ソース・めんつゆの塩分量をみていきましょう。
味噌
《味噌(味噌汁1杯(大さじ1:18g))あたりの食塩相当量》
・米みそ(淡色辛みそ):2.2g
・米みそ(赤色辛みそ):2.3g
・米みそ(甘みそ) :1.1g
・豆みそ :2.0g
・麦みそ :1.9g
・減塩みそ :1.9g
・即席みそ(ペースト):1.7g
味噌は、種類によって塩分量に差があります。同じ米みそでも辛みそと甘みそでは、倍近く異なります。塩分量が気になる方は、米みそ(甘みそ)や即席みそ(ペースト)を選ぶといいでしょう。
ソース
《ウスターソースの食塩相当量》
・小さじ1(6g):0.5g
・大さじ1(18g):1.5g
・100gあたり:8.5g
ウスターソースの塩分量は濃口醬油(減塩)と同程度の塩分量であることがわかります。
ウスターソース、濃厚ソース、中濃ソースの主な原料は、野菜や果物とスパイス、砂糖、お酢。
ウスターソースは、フードプロセッサーやブレンダーを使って自宅で手作りできます。作り方は、以下のレシピで紹介しているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
めんつゆ
めんつゆ(100gあたり)の食塩相当量:3.3g
めんつゆは出汁と醤油とみりん、砂糖をベースに作られた調味料。めんつゆは自宅で手作りできます。昆布とかつお節、基本の調味料さえあれば、思い立ったときに作れて、甘さなどお好み調節できるのも自家製のメリットです。簡単に作れるのでぜひチャレンジしてみてください。
1日の塩分摂取量は?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、1日の塩分摂取量の目標量は、健康な成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満としています。濃口醤油で換算すると、成人男性は大さじ3弱、成人女性では大さじ2.5が目安です。
また、高血圧治療ガイドライン2019 (日本高血圧学会)では、高血圧の予防のためには、男女共に6g/日未満の食塩摂取量が望ましいとされています。
調味料の塩分量を把握して、塩分を摂りすぎないように注意しましょう。
【参考】
・「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 各論 多量ミネラル ナトリウム(Na)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf
・ 高血圧治療ガイドライン2019 - 日本高血圧学会
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
塩分を抑える方法・レシピ
2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録され、海外では低カロリーでヘルシーな食事として注目されている和食。しかし、気をつけたいのがその塩分です。健康的な食生活を送るためには、塩分の摂りすぎに注意が必要です。
しかし塩分を抑えるといっても、ただ調味料の量を減らすだけでは、物足りなく感じてしまうこともあるでしょう。使う調味料や食べ方を工夫して、おいしく塩分を抑えましょう。ここからは、塩分を抑える方法をいくつかご紹介します。
減塩商品を選ぶ
近年、減塩醤油や減塩味噌などさまざまな減塩商品が販売されています。商品によっては塩分量を50%カットしたものなどもあります。いつも通り使うだけでおいしく簡単に減塩できるので、料理に取り入れてみるのもいいでしょう。
一般的なものより価格が高めに設定されているものが多いので、可能な範囲で選びましょう。減塩調味料も使いすぎると塩分量が多くなってしまうため、きちんと計量するのがおすすめです。さまざまなメーカーが減塩商品を開発しているため、自分の好みに合ったものを探してみてくださいね。
出汁をとる
塩分量を抑えるためには、出汁をとってうま味を活かすのもおすすめです。ただ塩分を減らすだけではおいしく感じられなくなってしまうので、塩分を減らした分だけ、出汁の風味を補ってあげましょう。うま味を増強することで、味にコクや広がりが生じるので、塩分量を減らしてもおいしく食べられます。
こんぶやかつお節、煮干し、野菜、鶏ガラなどは、さまざまなうま味成分とにおい成分が含まれているため、味覚と嗅覚の2つを補うことができます。
以下のページで、煮干しやこんぶ、かつお節などを使った、さまざまな出汁のとり方をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
https://delishkitchen.tv/categories/17709
だし醬油や白だしを利用するのもひとつの方法です。自宅でも簡単に作れるので、以下のレシピを参考にチャレンジしてみてください。
酒、醤油、みりん、かつお節を電子レンジで加熱するだけで、簡単にだし醤油が作れます。わざわざ調味料を買い足す必要がなく、その都度欲しい分だけ作れるので、とても便利です。さまざまな料理に使えるので試してみてください。
こんぶとかつお節を使った白だしは、自宅で簡単に作れます。自家製は、味の濃さや甘さなどお好みで調整できるのがうれしいところ。難しい工程がないので、ぜひ一度作ってみてくださいね。
酸味を利用する
「酸味」には塩味を引き立てる働きがあるため、塩分を抑えられます。レモンやゆず、すだちの果汁、酢などを利用することで、味にメリハリが生じ薄味でも物足りなさを感じません。
焼き魚の醤油や味噌汁に隠し味程度の酸味を入れると、塩分を控えていても満足感が得られます。とくにレモンやゆず、すだちは、柑橘の風味もプラスされるため、よりおいしくなる食べられます。
香辛料を利用する
香辛料は、料理のアクセントになったり、風味を引き立てたりするので、減塩による薄味の物足りなさを補います。胡椒や唐辛子、しょうが、カレー粉、わさび、山椒などのスパイスを使い、塩分を抑えましょう。
スパイスは種類のバリエーションが豊富なため、さまざまな料理に応用できます。和食ならしょうがやわさび、山椒、七味、中華料理では、胡椒や唐辛子、五香粉。洋食ではバジル、オレガノ、ローズマリーなどのハーブを使いましょう。
薬味を利用する
ねぎ、大葉、にんにく、みょうがなどを利用し香りを楽しむことで、塩分を控えても物足りなさを感じません。香りが強い薬味は料理の味を引き締め、薄味の物足りなさを補ってくれます。食材の組み合わせで味にアクセントをつけて、薄味でもおいしく食べられる工夫をしましょう。
食べ方を工夫する
お刺身やお寿司に醤油をかけると、ついドボドボとかけすぎてしまった経験がある人も多いはず。醤油をそのままかけて食べるのではなく、小皿に入れてからつけて食べるようにするのがおすすめです。醤油やソースは「かける」よりも「つける」ようにすると、少量でも塩分を感じられます。
食べ方を工夫して塩分の摂りすぎに注意しましょう
醤油は種類によって塩分濃度が異なることがわかりました。1日の塩分摂取量の目標量は、健康な成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満です。この目標量を超えないように、醤油などの調味料の使いすぎには注意しましょう。
塩分を抑えるためには減塩商品を使う、出汁をとる、酸味や香辛料、薬味を使うなどの方法があります。塩分を控えた分、ほかのうま味や風味をプラスすることがポイントです。ご紹介した方法を参考に、おいしく塩分を抑えましょう。