
わらび餅の原料は?わらび粉の特徴やくず餅との違いもご紹介
作成日: 2022/11/25
更新日: 2025/05/19
きな粉や黒みつでいただく人気の和菓子「わらび餅」。もちもちとした食感、歯切れのよい弾力を生み出すわらび餅の原料は「わらび粉」と呼ばれるものですが、このわらび粉とはいったいどんな食材なのでしょうか。
この記事ではわらび餅の原料であるわらび粉の特徴に加え、わらび餅とくず餅との違いやレシピなどをご紹介します。
わらび餅とは?
わらび餅の歴史や伝統
わらび餅の歴史は、平安時代にまでさかのぼります。第60代・醍醐天皇(在位897〜930年)がこの菓子を特に愛し、「太夫」という称号を与えたという逸話が伝えられ、当時、わらび餅は高貴な人々の間で珍重されていたと考えられます。
その後、室町時代には茶の湯文化の発展とともに、わらび餅は茶席の菓子として洗練され、京都を中心に広まりました 。しかし、江戸時代に入ると、わらび粉の希少性から、葛粉やさつまいも、じゃがいも由来のデンプンが代用されるようになり、現在のような透明感のあるわらび餅が一般的となりました 。
そして現代では、わらび餅は夏の風物詩として親しまれ、今もなお多くの人々に愛され続けています。
味わいや食感
わらび餅は、ぷるんとした弾力と滑らかな口当たりが特徴です。
本わらび粉を使用したものは、噛むほどに粘りが感じられ、口の中でとろけるような食感が魅力です。
一方、市販されている多くのわらび餅は、さつまいもやタピオカなどのデンプンを代用して作られており、より透明感があり、軽やかな食感が楽しめます。味わい自体は控えめで、きな粉や黒蜜をかけることで甘みや香ばしさが加わり、全体の風味が引き立ちます。
わらび餅とくず餅の違い
わらび餅と似た和菓子に、夏の涼菓「くず餅」があります。
この2つの和菓子の大きな違いは原材料です。わらび餅は本わらび粉もしくはわらび餅粉が用いられますが、くず餅は作られる地域によって原材料が異なります。
関西地方でくず餅の材料として用いられているのが、植物の葛(くず)の根から生成した「本くず粉」です。しかし本わらび粉同様国産のくず粉は希少であるため、海外産や芋、とうもろこしのでんぷんを使ったくず餅も増えています。作り方はわらび餅と同じようにくず粉を水に溶かし、火にかけながら粘りと透明感が出るまで練り上げます。
一方、関東地方のくず餅の原料は、小麦粉からグルテンを除いた「浮き粉」を乳酸発酵させたもの。この粉を湯で溶かし、型に流して蒸し固めて作られます。
関西のくず餅は透明でプルプルの食感、関東のくず餅は乳白色でもっちりとした食感が特徴です。関西のくず餅はわらび餅と似ていますが、関東のくず餅はわらび餅とはまた違った口当たりを楽しめる和菓子であるといえるでしょう。
わらび餅もくず餅も、お好みできな粉や黒みつをかけて食べられています。
わらび餅の原料はわらび粉
まずはわらび餅の原材料である「わらび粉」について詳しく見ていきましょう。
本来のわらび粉とは
わらび餅の原料といえば、本来はその名のとおり山菜のわらびの根っこからとれるでんぷん「本わらび粉」です。わらび餅は平安時代に醍醐天皇の好物だったと言い伝えられているほど古くから作られていますが、わらびの根っこから本わらび粉を作るのは非常に大変であったといわれています。
本わらび粉は、わらびの根っこを掘り起こし、洗浄・粉砕・精製を経て抽出したでんぷんを乾燥させるという工程で作られますが、手間がかかる上に少量しか取れません。そのため、本わらび粉は希少で高価なのです。
このようにして作られた本わらび粉を、水に溶かして火にかけ、粘り気が出てくるまで練ったものがわらび餅。
本わらび粉で作ったわらび餅は黒っぽく、とろりとした口当たりのなかにも弾力やコシが感じられるのが特徴です。本わらび粉の希少さからか本来のわらび餅は、現在あまり見かけなくなりました。
現在のわらび粉とは
本わらび粉で作られるわらび餅は黒っぽい色合いなのに対し、スーパーなどでよく見かけるわらび餅は透明や白っぽいものが多いです。このようなわらび餅の多くは、芋やれんこんなどのでんぷんで作られたわらび餅です。
芋やれんこんなど、わらび由来のでんぷんではないものが使われている粉は「わらび粉」もしくは「わらび餅粉」と呼ばれています。
わらび餅の作り方【デリッシュキッチンのレシピ】
一般的なわらび粉を使用して作る、わらび餅のレシピをご紹介します。
わらびもち
定番のわらび餅のレシピです。お店で買うことが多いわらび餅ですが、ご家庭でもぜひ試してみてください。作りたてのわらび餅は、口当たりもなめらかで絶品ですよ。
抹茶わらび餅
抹茶風味にアレンジしたわらび餅はいかがでしょうか。わらび餅は使う調理器具や工程が多くないので、比較的手軽に作れる和菓子です。抹茶好きの方はぜひ試してみてください。
黒糖わらび餅
黒糖を使ったわらび餅は、上品な甘さが特徴。しっかりと冷やし、きな粉をたっぷりかけて味わってみてください。バニラや抹茶風味のアイスをトッピングしても美味しいですよ。
わらび粉の代用
わらび粉が手に入らなかった場合、代用できるものはあるのでしょうか。
わらび粉の代用として片栗粉がおすすめ
現在のわらび餅の多くは本わらび粉が使用されておらず、芋などのでんぷんが使われています。そこでわらび粉の代用となるのが、私たちの身近にあるでんぷん「片栗粉」です。片栗粉を使えば、もっちりプルプルの食感のわらび餅が作れるでしょう。
片栗粉について詳しく知りたい方は、こちらで解説していますのでご覧ください。
片栗粉を使ったデリッシュキッチンのわらび餅風レシピ
片栗粉で作る手軽なレシピやアレンジレシピをご紹介します。
片栗粉で作る!わらび餅風
自宅に常備している片栗粉を使えば、より手軽にわらび餅を作れます。もちもちでプルプルの食感がたまりません。普段のおやつにもぴったりの一品です。
マグカップわらび餅風
片栗粉を材料に、電子レンジを使ったとても簡単なわらび餅風スイーツをご紹介します。マグカップだけで作るので、洗い物も少なくて済みます。わらび餅よりもとろっとした食感をお楽しみください。
麦茶わらびもち風
麦茶と片栗粉で作るわらび餅のレシピです。もちもちプルプルの食感に加え、麦茶の香ばしさがクセになります。ほうじ茶などを使っても美味しく作れますので、ぜひ試してみてください。
レンジでわらび餅風
火を使わずに電子レンジを使って、より手軽にわらび餅を作ってみましょう。ダマにならないようによくかき混ぜるのがポイント。食べたいときに作れる手軽さがいいですね。
本来のわらび餅の原料はわらびの根っこからとれるでんぷん
わらび餅の原料は、本来わらびの根っこからとれるでんぷん「本わらび粉」ですが、現在は芋などのでんぷんが原料の「わらび餅粉」が使われることが多いようです。片栗粉を代用したりアレンジしたりと、ご家庭でも手作りわらび餅を味わってみてはいかがでしょうか。