
ハヤトウリ(隼人瓜 )とは?下処理から保存方法・栄養やレシピもご紹介
作成日: 2022/02/15
更新日: 2025/05/21
ハヤトウリという野菜をご存じでしょうか。スーパーなどでも見かける機会が少ないため、初めて名前を耳にしたという方もいるかもしれません。サクサクとした食感とたんぱくな味わいで料理に使いやすいのですが、食べるには下処理をしてアクを抜く必要があります。
この記事では、ハヤトウリについて特徴や栄養のほか、下処理から保存方法、レシピまでご紹介します。

ハヤトウリについて
ハヤトウリとは?
ハヤトウリは南アメリカの熱帯地域を原産とする、ウリ科ハヤトウリ属の植物です。1株で100〜200個ほどたくさんの実をつけることから「千成瓜(せんなりうり)」とも呼ばれています。
由来
ハヤトウリは、メキシコや中南米を原産とするウリ科のつる性植物で、日本には1917年(大正6年)に鹿児島県へ導入されました。
この地は当時「薩摩」と呼ばれ、そこに住む人々は「薩摩隼人」と称されていました。そのため、この新しい瓜は「隼人の瓜」として「ハヤトウリ」と名付けられたのです。
また、高知県では英語名「Chayote(チャヨテ)」がなまり、「チャーテ」と呼ばれ、ハヤトウリは地域によってさまざまな呼び名で親しまれているのです。
味や食感
ハヤトウリは、シャキシャキとした歯ごたえと淡白な味わいが特徴の野菜です。
そのクセのない風味は、さまざまな料理に取り入れやすく、漬物やサラダ、炒め物、煮物、スープなど多彩な調理法で楽しまれています。
果肉は緻密で水分を多く含み、加熱しても形が崩れにくいため、炒め物や煮物に適しています。また、白色種は緑色種に比べて青臭さが少なく、より食べやすいとされています。
旬の時期
ハヤトウリは、秋の訪れとともに旬を迎える野菜で、特に10月から11月にかけて収穫の最盛期となります。この時期、果実はみずみずしく、シャキシャキとした食感が際立ち、漬物や炒め物など多彩な料理に活用されています。
ハヤトウリの下処理方法
ハヤトウリはそのまま食べると苦味があるため、料理に使う前に下処理をすることが大切です。
まずは表面の硬い皮をむいて縦に半分に切り、種をスプーンで取り除きます。そのあと食べやすい大きさに切って、水に10分ほどさらします。アクが苦手な場合は、塩もみや塩ゆでをするとよいでしょう。
ハヤトウリの保存方法
ハヤトウリの保存方法をご紹介します。
冷蔵保存
カット済みのハヤトウリはラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。保存期間の目安は1週間ほどです。
丸ごとの場合は、キッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ野菜室で保存しましょう。こちらは1ヶ月ほど保存することができます。
冷凍保存
冷凍する場合は縦に4等分して皮をむき、種を取り除いたあと塩ゆでします。ゆで水に対して1%の塩を加えて2分ほどゆでましょう。粗熱をとり水気を切って小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。保存期間の目安は約1ヶ月です。
調理する際は凍ったまま使うことができます。解凍時に袋から取り出したあと食べやすい大きさに切って、そのまま炒め物や煮物、スープなどに加えて加熱調理をしましょう。冷凍すると食感が変わるため火を通す調理が向いています。
ハヤトウリのカロリーと栄養
ハヤトウリには果皮の色が白っぽい白色種と薄い緑色の緑色種があります。ここではそれぞれのカロリーと栄養をご紹介します。
カロリー
生の可食部100gあたりのカロリーは以下の通りです。
・白色種…86kcal
・緑色種…86kcal
ビタミンC
生の可食部100gあたりに含まれるビタミンCは以下の通りです。
・白色種…11mg
・緑色種…11mg
ビタミンCは水溶性ビタミンのひとつです。体内でコラーゲンの生成に関与するほか、抗酸化ビタミンのひとつとしても知られています。
詳しくはこちらをご覧ください。
葉酸
生の可食部100gあたりに含まれる葉酸は以下の通りです。
・白色種…44μg
・緑色種…44μg
葉酸は細胞増殖に必要なDNAの合成に関与している重要な栄養です。
詳しくはこちらでご紹介しています。
カリウム
生の可食部100gあたりに含まれるカリウムは以下の通りです。
・白色種…170mg
・緑色種…170mg
カリウムは人体に必要なミネラルの一種で、体内で浸透圧の調整に働きます。体内のナトリウムの排出を手助けする作用があることから、塩分のとりすぎを調節してくれます。
パントテン酸
生の可食部100gあたりに含まれるパントテン酸は以下の通りです。
・白色種…0.46mg
・緑色種…0.46mg
パントテン酸はビタミンB群のひとつです。ビタミンB群はさまざまな体内の代謝に必要である酵素の働きを補っています。
デリッシュキッチンのハヤトウリを使ったレシピ
ここからは、ハヤトウリを使ったレシピをご紹介します。
ハヤトウリの浅漬け
塩もみしたハヤトウリと塩昆布で作れる手軽な浅漬けです。浅漬けはハヤトウリの定番の食べ方で、ポリポリとした食感は箸休めやおつまみにもぴったりです。
ハヤトウリの胡麻和え
甘辛い味わいとごまの風味を活かしたごま和えは、副菜にもおすすめの一品です。ハヤトウリの白色とにんじんの赤色の彩りがよく食欲をそそります。塩もみしたハヤトウリの食感を楽しみましょう。
ハヤトウリのきんぴら
細切りにしたハヤトウリをさっと炒めてできるきんぴらは、漬物とは違ったシャキシャキ食感が楽しめます。砂糖としょうゆの甘辛い味わいに、唐辛子のピリッとした辛味がアクセントになります。
ハヤトウリのそぼろ煮
レンジで加熱したハヤトウリを、そぼろあんにさっとからめます。鶏ひき肉を加えることで食べごたえのある一品に仕上がりますよ。ハヤトウリのシャキッとした食感も楽しめます。
鶏肉とハヤトウリの甘辛煮
鶏肉とハヤトウリを使った甘辛い味わいの煮物です。ハヤトウリはじっくり煮込むと冬瓜のようにほくほくとした仕上がりになります。しっかりした味付けなのでご飯がすすみますよ。
ハヤトウリと豚肉の味噌炒め
ハヤトウリは油との相性がよいので炒め物にもおすすめです。豚肉の旨味と甘辛いみそ味が染み込んだハヤトウリは、ご飯との相性も抜群ですよ。短時間でボリュームのある一品に仕上がります。
ハヤトウリと豚肉のオイスター炒め
豚肉とねぎを使いさっと仕上げた炒めものです。たんぱくな味のハヤトウリは中華風の味付けにもよく合います。大きめに切ったハヤトウリにオイスターソースがからみ、濃厚な味わいです。
ハヤトウリを見かけたら手に取ってみよう
ハヤトウリはウリ科の野菜で、下処理を済ませると冬瓜と同じような使い方ができます。浅漬けや炒め物、煮物、汁物など幅広く料理に使えるうえに食感も楽しめます。
調理の際は水にさらしたり、塩もみや塩ゆでをして下処理しましょう。ハヤトウリが手に入りましたら、ぜひご紹介したレシピも参考にしてください。
【出典】
・日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
【参考】
・厚生労働省 e-ヘルスネット カリウム
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html)
・厚生労働省 e-ヘルスネット ビタミン
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html)(2022/02/15)