今更だけど生クリームって?ホイップクリームとの違いや種類をご紹介
作成日: 2020/02/26
更新日: 2023/09/25
お菓子作りに大活躍の生クリーム!いざ生クリームを買おうと思ってスーパーに行ってもいくつか種類があって迷ったことありませんか?お菓子のデコレーションに使うときにはホイップされたすぐ絞り出せるタイプのものでもいいですが、料理に使うときはどれが向いているのでしょう。そして生クリームと一緒に並べられているホイップクリームとの違いはあるのでしょうか?今回はそんな生クリームの種類や代用、ホイップクリームとの違い等をまとめています。
1.生クリームとは?
生クリームにもしっかりと基準が定められています。牛乳や乳製品の成分規格等を定めた「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」において、「クリーム」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいうとされており、乳脂肪分は18%以上のものとされています。しかし原材料が牛乳以外の生クリームもスーパー等には置かれていますね。これは植物性のもので乳脂肪由来の生クリームとは異なります。そのため、牛乳でできた生クリームを「純生クリーム」と表示していることもあります。
2.動物性は生クリーム!%て何のこと?
上記で説明の通り生クリームとは、生乳や牛乳等から作られたものなのです。乳本来の風味やコクが楽しめ、くちどけの良さも特徴です。そんな生クリームの容器に「◯%」と記載されているのをご存知でしょうか?この%は生クリームの乳脂肪分を表しています。どんな風味の料理やお菓子に仕上げたいかで使い分けるのもおすすめです。
生クリームを泡立てるときは乳脂肪分の多いものが泡立ちやすいのですが、分離もしやすく、泡立てすぎるとぼそぼそとした生クリームになってしまいます。また、生クリームを泡立てると黄色っぽくなってくるのは、脂肪球膜が壊れて乳脂肪本来の黄色みがかった色が出てくるためです。
また使う前に振る等、激しく動かすと乳化状態が壊れて油が浮く原因になるので気をつけましょう。
3.ホイップクリームとは?
英語で泡立てることをホイップというので、泡立てたクリームのことをホイップクリームと思っている方もいるかもしれませんが、ホイップクリームとは植物性のクリームのことでもあります。
生乳や牛乳等乳製品から作られたものを【生クリーム】、植物性のものや動物性と植物性が混合されたものは【ホイップクリーム】といいます。
乳製品の代わりに豆乳等大豆成分からできたホイップクリームは、さっぱりとして滑らかな舌触りです。植物性脂肪のみで作られているホイップクリームの場合は、乳アレルギーの方も安心して使うことができます。動物性の生クリームと違い、植物性のホイップクリームは賞味期限が長く、安価なものが多いのも特徴です。
植物性ホイップクリームは乳脂肪の代わりに植物性油脂を用いて作られており、パーム油、ヤシ油、なたね油、大豆油等が使用されます。しかし乳脂肪とは口当たりが変わってくるため、水素添加、エステル交換等の加工によって乳脂肪のクリームに近づけ、そこから乳化剤や風味付けに香料等を添加しています。
日本で生クリームはお菓子作りに使われることが多いので、植物性のホイップホイップクリームは名前の通りお菓子作りに使うことを想定して作られています。そのため、生クリームは泡立て過ぎるとぼそぼそになってきますが、植物性のホイップクリームは泡立て過ぎてもなかなか分離しないようになっています。お菓子作り初心者の方でもぼそぼその生クリームになりにくいので、泡立てやすいですね。これは乳化剤を数種類組み合わせて分離しにくいクリームを作っているためです。泡立てたホイップクリームとして使うお菓子作りにはむいていますが、熱が加わると分離しやすいという側面もあるので、クリームパスタなどに使用するのはおすすめできません。
4.生クリームのおすすめの使い分け!
生クリームは乳脂肪分の量によって使い分けるのがおすすめです。
■18%~30%はコーヒーなど飲み物に
脂肪分が少なく熱に強いのでコーヒーや紅茶など温かい飲み物の合わせるのがおすすめです。
■35%~50%はお菓子や料理に
【泡立てて使うとき】
お菓子作りで絞ったり塗るために使いたいときは、乳脂肪分35%以上50%以下の生クリームがおすすめです。
【泡立てずに使うとき】
さっぱりとしたお菓子に仕上げたいときは、40%未満の乳脂肪分の低いもの。
濃厚な味わいのお菓子を作りたいときは、40%以上の乳脂肪分が多いものがおすすめです。
チョコレートムースのような生クリームとチョコレートのそれぞれの味わいや風味を活かしたいときは、乳脂肪分の多い%のものを使うと生クリームの風味も楽しみやすくなります。合わせる素材によって生クリームを使い分けるのもいいですね。
お菓子以外にもクリーム煮やクリームソース等の料理に使うと、まろやかさやコクが増すのでおすすめです。その場合は加熱しても分離せず使いやすい動物性の生クリームを使うといいですよ。
動物性の生クリームの使い分けを見てきましたが、生クリームの泡立て方に失敗したくないときは植物性のホイップクリームを使うといいですね。それ以外にも風味やコクは変わりますが、植物性のホイップクリームを使ってお菓子や料理を作ることもできます。"
5.生クリームとホイップクリームの見分け方は?
動物性の生クリームと、植物性のホイップクリームについて見てきましたが、これらの見分けをするためにはパッケージの裏にある食品表示を見ると確認することができます。
表示の「クリーム(乳成分を含む)」と書かれていれば、生乳や牛乳以外の原材料は使用していない【生クリーム】ということになります。「乳等を主要原料とする食品」と表示されているときは、食品添加物や植物性脂肪等牛乳以外の原料が使用されている植物性の【ホイップクリーム】ということです。
6.生クリームとホイップクリームで代用できる?
【生クリームをホイップクリームで代用できないもの】
生チョコやトリュフのような生クリームの比率が高いチョコレート系の冷やし固めるお菓子やガナッシュクリームは、ホイップクリームでの代用には向きません。これらのお菓子は乳脂肪分の固める作用が大事になるため、ホイップクリームで代用すると失敗する可能性が高くなります。また、ホイップクリームは熱が加わると分離しやすいため、クリームパスタ等生クリームを使う料理に使用するのはおすすめできません。
代用できないお菓子には以下のようなものがあります。
また、キャラメルクリームを使うお菓子や生キャラメルのようなお菓子は、作る際に高温になり煮詰める必要があるため、分離する可能性が高く代用には向きません。代用できないお菓子には以下のようなものがあります。
【生クリームをホイップクリームで代用できるもの】
上記で生クリームをホイップクリームで代用できないものを紹介しましたが、例外として生クリームを多く使うお菓子でも、チョコレートが生クリームの2倍量以上ある場合や生クリームを泡立ててデコレーション等に使う場合はホイップクリームで代用することができます。その際、ホイップクリームは生クリームより熱に弱く分離しやすいので、ホイップクリーム自体や合わせる材料の温度が大事になります。加熱時間を減らしたり、しっかり温度を下げて混ぜ合わせる、しっかり冷やしながら泡立てる等の注意が必要にはなりますが、代用することもできます。
以下のようなお菓子は代用することができます。
また、焼き菓子やゼラチンで固めるチーズケーキやムース等、チョコレートと生クリームの乳脂肪分以外に凝固作用がある食材(卵,ゼラチン,バター,チーズ等)を合わせて使っている場合はホイップクリームで代用することができます。以下のようなお菓子は代用することができます。
【ホイップクリームを生クリームで代用できるもの】
生クリームは泡立て過ぎたり材料を混ぜ過ぎたりすると分離する可能性がありますが、その点に気をつけて代用することができます。
7.生クリームとホイップクリームの栄養
生クリームとホイップクリームの栄養価を比較してみると、少しずつ違いがあります。日本食品標準成分表においてのホイップクリームは、クリームにグラニュー糖を加えて泡だてたものとされているので、今回は【クリーム類】の「乳脂肪」を生クリームとして、【クリーム類】の「乳脂肪 ・ 植物性脂肪」と「植物性脂肪」をホイップクリームとして見ていきます。
【生クリーム】
■クリーム類:乳脂肪
-エネルギー 412kcal
-脂質 43.0g
-たんぱく質 1.9g
【ホイップクリーム】
■クリーム類:乳脂肪 ・ 植物性脂肪
-エネルギー 409kcal
-脂質 42.1g
-たんぱく質 4.4g
■クリーム類:植物性脂肪
-エネルギー 370kcal
-脂質 39.5g
-たんぱく質 1.3g
生クリームのカロリーは412kcalに対し、ホイップクリームの「乳脂肪 ・ 植物性脂肪」では409kcal、「植物性脂肪」では370kcalとなっています。生クリームよりホイップクリームの方がカロリーが低いことがわかります。脂質も同じように生クリームは43.0gに対し、ホイップクリームの「乳脂肪 ・ 植物性脂肪」では42.1g、「植物性脂肪」では39.5gとなっており、ホイップクリームの方が脂質が少ないです。ですが、たんぱく質はホイップクリームの「乳脂肪 ・ 植物性脂肪」が4.4gと一番多く、生クリームが1.9g、ホイップクリームの「植物性脂肪」が1.3gと一番低くなっています。
【出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)】
8.他にもこんなクリームがあります
動物性の生クリームと植物性のホイップクリームについて詳しく説明しましたが、他にも動物性の乳脂肪と植物性脂肪の両方が入った「コンパウンドクリーム」もあります。これもホイップやフレッシュとされています。他にも料理やお菓子を作るときに使える、クリームを乳酸菌によって乳酸発酵させた「発酵クリーム」もあります。酸味と風味のあるサワークリームがこの発酵クリームにあたります。
料理やお菓子で生クリームを使い分け!
全て同じ生クリームだと思っていたのに、実はホイップクリームだったと思った方もいるのではないでしょうか?今度生クリームを使う際には、いつも使っていたものは生クリームなのかホイップクリームなのか確認してみるといいですね。
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