梅干しの塩分はどのくらい?おすすめレシピもご紹介
作成日: 2021/09/23
梅干しといえば、日本を代表する食べ物のひとつです。
大好きでよく食べるという人も多いのではないでしょうか。そのまま食べてもアレンジしてもおいしい梅干しですが、塩に漬けて作られるため塩分も気になるところです。
そこでこの記事では、梅干しの塩分濃度をはじめ、1日の塩分摂取量の目安や梅干しの塩抜きの方法、梅干しを使ったおすすめレシピをご紹介します。
梅干しについて
はじめに、梅干しの特徴について確認しておきましょう。
梅干しとは
梅干しは、梅の実を塩漬けにしたものです。
梅はバラ科サクラ属の植物で、すべての梅が梅干しの材料になるわけではありません。
梅は全部で数千種類もあり、観賞用の「花梅(はなうめ)」と、果実を食用にする「実梅(みうめ)」に分けられます。梅干しは実梅の果実を塩漬けにして作られているのです。
なお、農林水産省が提示している「農産物漬物の日本農林規格 JAS 1752」では、梅漬けを干したもを梅干しと定めています。
梅漬けとは梅の実をそのまま、もしくは大葉で巻いたものを塩漬けにしたり、梅酢や塩水を加えた梅酢に漬けたものです。
梅酢は梅の実を塩に漬けることでできるため、梅干しは梅の実と塩というシンプルな材料のみで作られているということです。
ちなみに、梅干しの歴史は古く、諸説あるものの中国から伝わったとされています。
日本最古といわれる平安中期の医学書「医心方」には、すでに「梅干」という言葉が掲載されていたのだとか。
しかし、当時は薬用として利用されており、現代のようにごはんのお供という位置づけではありませんでした。
梅干しが一般庶民にも広く伝わったのは、江戸時代になってからといわれています。
ところで、なぜ梅干しがあれほど酸っぱいのか不思議ですよね。
梅干しが酸っぱいのは、梅の実にはクエン酸やリンゴ酸、コハク酸など複数の酸が含まれているからです。
梅干しと調味梅干しの違い
梅干しのパッケージに表示されている名称を確認すると「梅干し」と「調味梅干し」の2種類があることをご存じでしょうか。
一見どちらも同じ梅干しに見えますが、使用されている原材料が違います。
日本農林規格(JAS規格)では、砂糖やはちみつなどいくつかの調味料に漬けた梅干しや、あらかじめ塩やそのほかの調味料で漬けた梅漬けを干したものが「調味梅干し」に分類されています。
つまり、梅干しの原材料は梅の実と塩だけ、調味梅干しは梅の実や塩のほかに調味料が加えられているということです。
なお、梅の実と塩のみで作った梅干しは「白干し梅」とも呼ばれています。
また、梅干しを赤しそに漬けたものを「赤しそ漬け」、塩抜きした白干し梅をはちみつで味付けしたものは「はちみつ漬け」、塩抜きした白干し梅にしょうゆやかつお節で味付けしたものは「かつお梅」と呼ばれます。
【参考:JAS 1752 農林水産省 / 農産物漬物の日本農林規格】
(https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kikaku_itiran2-376.pdf)(2021/09/23)
梅干しに含まれる塩分
大量の塩を使って作られる梅干しは塩分が気になりますよね。ここで、梅干しに含まれる塩分を確認しておきましょう。
梅干し1粒あたりの食塩相当量は以下の通りです。
なお、一般的にスーパーで販売されている梅干しは、1粒8g程度です。
・梅(塩漬け)…1.5g
・梅(調味漬け)…0.6g
シンプルな梅干しと調味梅干しを見比べてみると、シンプルな梅干しのほうが塩分が多いことが分かります。
【出典:日本食品標準成分表 2020年版(八訂)】
梅干しの塩分濃度
梅干しは、熟成が進むにつれて味わい深くなるといわれていますが、原材料はシンプルなのになぜすぐに傷まないのか不思議ですよね。
梅干しに保存性があるのは、塩を添加することで殺菌、防腐作用が働き保存性がアップするからです。
基本的に、使用する塩の量が多いと保存性も高くなり、少なくなると保存性も低くなる傾向があります。
ちなみに、梅干しを作る際の一般的な塩分濃度は、10~20%の間です。
一方、市販の調味梅干しや減塩梅干しの塩分濃度は、5~10%程度であることが多いようです。
個人差はありますが塩分濃度が20%というと、かなりしょっぱく感じます。
5%くらいの場合はマイルドではありますが、濃い味が苦手な場合はしょっぱいと感じるでしょう。
塩の分量の計算方法
お家で梅干しを漬ける際は、梅の実の量と希望の塩分濃度から、使用する塩の量を計算します。
《塩の分量の計算方法》
・塩の分量(kg)=梅の量(kg)×塩分濃度(%)
例えば、1kgの梅の実を使い、塩分濃度が10%の梅干しを作りたい場合は、100g(0.1kg)の塩を使うということです。
また、梅干しを漬ける塩は、粗塩が向いています。
一般的に使われている精製塩は、粒子がサラサラしているため梅の実にくっつきにくく、下のほうにたまってしまいやすいからです。
粗塩は粒子が荒くしっとりしているため、梅の実にひっかかりやすくなります。
1日の塩分摂取量
梅干しの塩分について分かりましたが、1日に摂取する塩分は梅干しからだけではありません。そこで、1日分の塩分摂取量の目安も気になりますよね。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準 2020年版」に表記されている、健康な成人が目標値とする1日分の塩分摂取量は、男女別に以下の通りです。
・成人男性…7.5g未満
・成人女性…6.5g未満
また、「高血圧治療ガイドライン 2019(日本高血圧学会)」では、高血圧の予防のためには男女共に、6g/日未満の食塩摂取量が望ましいとされています。食事の際は意識してみてください。
【参考】
・日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書 / 各論 多量ミネラル ナトリウム(Na)
(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf)
・高血圧治療ガイドライン 2019 / 日本高血圧学会
(https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf)(2021/09/23)
梅干しの塩抜き方法
塩のみで漬けたしょっぱい梅干しも、塩抜きをすれば食べやすくなり、減塩にもなります。
方法はとても簡単で、ボウルに水と塩を入れて1%未満の塩水を作ったら、梅干しを入れてしばらく置いておくだけです。
ただし、塩抜きをした梅干しは日持ちしません。塩抜きをしたら早めに食べ切りましょう。
詳しい塩抜き方法は、こちらの動画をご覧ください。
梅干しを使ったDELISH KITCHENのレシピ
最後に、梅干しを使ったおすすめレシピをご紹介します。
【サラダ】
まずは、梅とフレッシュな野菜を使ったサラダのレシピです。
レタスのやみつき梅だれサラダ
レタスと大葉のシンプルな緑色に、赤い梅が映えるサラダです。
梅干しのほかにしょうゆや酢、ごま油があれば香り豊かな梅だれが作れます。大葉のさわやかな香りも加わり、さっぱりいただけますよ。和食の献立の日に取り入れたいサラダです。
ミニトマトとコーンのカラフルサラダ
ミニトマトやオクラ、コーンで作るカラフルなサラダは、見ているだけで楽しくなれる色使いが魅力。
ミニトマトを半分に切りさらにコンパクトにすることで、スプーンでも食べやすくなります。ごま油香る梅干しのドレッシングが後引くおいしさです。
【副菜】
レパートリーが多いほど役立つ、副菜のレシピをご紹介します。
丸ごとかぶの梅ドレッシングあえ
かぶと大葉で作る梅ドレッシングあえです。
葉付きのかぶを使い、葉まで無駄なく使いましょう。梅干しは種をとり除いたらペースト状にして、風味をアップさせました。かぶの食感に刻んだ葉のシャキシャキ食感がプラスされ、歯ごたえもアップします。
あさりときゅうりの梅あえ
旨味がつまったあさりの水煮缶ときゅうりを梅干しで和えました。
かつお節とごま油をプラスして風味豊かな梅あえにしましょう。叩いたきゅうりに梅干しの香りがしっかり染み込みます。上品な味で箸休めにもぴったりです。
ゴーヤとしらすの酢の物
ゴーヤは好きだけれど、いつもワンパターンになってしまうということはありませんか。
こちらはゴーヤを酢の物に変身させた、お手軽レシピです。はちみつを入れることで、ゴーヤの苦味と梅干しの酸味をまろやかにしてくれます。
かぶとささみの梅にんにく炒め
調味料は塩こしょうのみで作る、梅にんにく炒めです。
調味料は最小限ですが、梅の風味とにんにくの香りがあるので味わい深く仕上がります。梅の酸味がクセになり、ごはんが止まらなくなってしまいます。お酒のお供にもおすすめです。
梅じゃが焼き
ペースト状にした梅干しをマヨネーズやコーンと混ぜ合わせ、じゃがいもに乗せてこんがり焼き上げます。
梅干しの酸味とコーンの甘さがベストマッチでついつい手が伸びてしまうかも。副菜にはもちろん、お弁当のおかずにもよいでしょう。
【主菜】
梅干しは主菜レシピでも活躍してくれます。
鶏ささみの梅しそごま揚げ
こちらのレシピは、鶏ささみからのぞく鮮やかな梅干しがとっても華やかです。
油で揚げてあるのに重たくならないのは、酸味がきいた梅干しのおかげです。食べごたえのあるボリューミーな揚げ物もあっさりといただけますよ。たっぷりついたごまの食感もお楽しみください。
ささみの梅しそ春巻き
春巻きの中身は自由自在、好きな食材を入れてバリエーションを広げましょう。
こちらのレシピでは、春巻きの皮で鶏ささみや大葉、梅干しを巻き、カラっと揚げてみました。見た目は中華、食べると和風のギャップもよいですね。梅干しの酸味がアクセントになります。
キャベツと豚しゃぶの梅マヨあえ
もともと相性のよいキャベツと豚しゃぶ肉を、梅干しとマヨネーズ、酢で和えます。
梅干しにマヨネーズが合うのか心配になってしまうかもしれませんが、まろやかなマヨネーズを合わせることで、梅干しの風味もまろやかになります。梅干しが苦手な人や子供も食べやすいでしょう。
【主食】
ホカホカごはんと相性抜群の梅干しは、もちろん主食レシピにも使えます。
鶏肉とキャベツの梅ナムル丼
鶏もも肉とキャベツを使ったボリューム満点の丼は、食べ盛りの子供も満足できる一品です。
鶏もも肉とキャベツをゆでたら調味料を混ぜ合わせ、ごはんに乗せれば完成です。炒める手間がないため、ササっと作りたいランチなどにもおすすめです。
日本の食卓に欠かせない梅干しをおいしくアレンジしてみよう!
梅の実と塩で作るのが基本の梅干しですが、なかにはほかの調味料をプラスして作る調味梅干しがあることが分かりました。
それぞれ味わいが異なるので、2種類を食べ比べするのも楽しいかもしれません。
また、梅干しは塩水にしばらく浸しておくだけで塩抜きができます。
1日の塩分摂取量の目安を参考に、気になるときは塩抜きしてからいただきましょう。今回ご紹介したレシピにも、ぜひ挑戦してみてください。