おせちの意味とは?食材に込められた意味とレシピもご紹介
作成日: 2022/08/29
正月に食べられるおせち。さまざまな料理が重箱に詰められていますが、それぞれの食材に意味があるのをご存じですか?
そこで本記事では、おせちやおせちに使われている食材に込められた意味についてご紹介します。あわせておせち料理のレシピについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
おせちについて
まずはおせちについて、詳しく解説していきます。
おせちの意味
おせちは正月や節句などに食べられる特別な料理のことです。お節料理の「御節(おせち)」の語源は、「お節供(おせっく)」からきています。もともとおせちは節日に神様に供える料理「節供(せっく)」と呼ばれていました。おせちは、節供が略されたものであると言われています。
もともと神様へのお供えとして作られていたおせちの中身、各料理にはそれぞれ意味があります。主に、五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄などに関する願いです。
おせちの歴史
おせちは中国の唐の時代にあった、もともと季節の変わり目などに祝い事をする「節日」の文化から誕生した文化です。日本では平安時代の朝廷で、正月など5つの季節の変わり目に「五節絵(ごせちえ)」と呼ばれる祝い事を行い、豪華な料理を食べていたといわれています。
この文化が江戸時代に庶民へと広まり、現在の正月に「おせち」を食べる文化になりました。
おせちの重箱について
おせち料理をわざわざ重箱に詰めるのは、重箱には幸せを重ねるという意味が込められているためです。現在では3段や5段が主流ですが、おせちの正式な重箱の数は4段といわれています。
重箱は1段目、2段目と呼ばず、上から「一の重」「二の重」「三の重」「与の重」と呼ぶのが特徴です。4段目が「与」の字なのは、四は死を連想させ、縁起が良くないと考えられているためです。
【一の重】おせちの種類
おせち料理は何段目の重箱に何を入れるかが大体決まっています。一の重には祝い肴を入れるのが特徴です。祝い肴は子孫繁栄・不老長寿・豊作の意味を持つおせち料理を用意して、願いを込めて詰めていきます。
数の子
数の子はニシンの魚卵です。ニシンを「二親」としたうえで、魚卵は卵の数が多いことから、子孫繁栄を願う縁起物とされています。
味付き数の子
昆布
昆布も祝い肴のひとつです。昆布の「こぶ」は「よろこぶ」という意味として考えられます。また、「養老昆布」と書いて「よろこぶ」と読めることからも祝いの場や不老長寿の願いが込められているのです。さらに「子生」と書いて子孫繁栄の願いにもつなげています。
昆布巻き
田作り
田作りは五穀豊穣を願って詰められるおせち料理です。「五万米」の字が当てられることから、豊作を願う縁起物として扱われています。
また、田作りの材料でもある片口鰯を農作物の肥料として使った田畑が大豊作となり、米が五万俵も採れたというエピソードから「田作り」と呼ばれるようになったとも言われています。
基本の田作り
黒豆
黒豆は健康を願う縁起物です。また、「まめに働く」「まめに暮らす」という意味も込められています。
黒豆の煮方
きんとん
きんとんは、もともとは中国から伝わった料理です。金飩と書いて「こんとん」と呼び、後にそれが「金団」になったともいわれています。
金を連想させることから金運を呼ぶ縁起物として扱われており、また、豊かな一年を願うといった意味も込められています。
おせち用栗きんとん
かまぼこ
おせち料理の紅白かまぼこは、正月のおめでたさを表現しています。紅白でかたどったかまぼこは、初日の出を表しているのが特徴です。赤は魔除けや慶び、白は神聖や清浄を示すとされています。
かまぼこ飾り切り3選
伊達巻
伊達巻は巻いた形状が書物や掛け軸を連想させることから、知性や文化の発展・学業成就などの願いが込められています。
フライパン伊達巻
【二の重】おせちの種類
二の重には、鯛や鰤などの焼き魚、海老などの海の幸を詰めます。
鯛
鯛は七福神の恵比寿様が手にしている魚です。名前も「めでたい」につながるとされており、縁起がいい食材と考えられています。
鯛の塩焼き
えび
えびは腰が曲がっていることから、長寿の象徴とされています。また、海老は脱皮をしながら成長していくため、生命が新たに続いていくことや出世を願うものとも考えられる食材です。
車えびのつや煮
ぶり
ぶりは成長するにつれ、名前が変わることから出世魚と呼ばれています。おせちにぶりを入れるのは、将来出世できるようにと願いが込められているためです。
基本のぶりの照り焼き
【三の重】おせちの種類
三の重には、酢の物を詰めます。ただし、それは与の重まである場合のみで、お重が3段の場合は酢の物を2段目に詰めるのが一般的です。
紅白なます
紅白なますは、水引をかたどっているとされている料理です。平安や平和を願う縁起物とされています。
紅白なます
かぶ漬け
かぶは、不老長寿を祈願する定番の縁起物のひとつです。おせちでは酢の物にして食べられています。
菊花かぶ
【与の重】おせちの種類
与の重は山の幸を多く用いた煮物を詰めます。ただし、お重が3段の場合は、与の重の煮物を3段目に入れます。
れんこん
れんこんは穴が開いていることから、先々の見通しが効くことを願う食材とされています。
酢れんこん(酢蓮)
里芋(八つ頭)
里芋は栽培時、親芋から子芋がたくさんできるように増えていくのが特徴です。その特徴から、里芋は子孫繁栄を願う縁起物だと考えられています。
お煮しめ<亀甲里芋の白煮>
くわい
くわいは大きい芽が出るため、めでたいと語呂合わせで縁起物とされている食材です。「芽がでる」ことから、出世できるという意味にもつなげられます。
くわいの含め煮
ごぼう
ごぼうは土の中に長く細く根を張ることから、子孫が途切れず、代々続くようにと願われて食べられる食材です。
たたきごぼう
【その他】おせちの種類
今回ご紹介した以外にも、おせちにはさまざまな種類の料理があります。以下の記事では、さまざまなおせち料理についてご紹介しているため、気になる方はぜひご覧ください。
さまざまな願いが込められたおせち料理をしっかり食べよう
本記事では、おせち料理に関する意味をそれぞれご紹介しました。おせちは食材の名前や特徴から、縁起がいいと考えられ古くより祝い事で食べられてきました。
正月や祝いの席でしか食べないことも多いおせち料理ですが、それぞれの意味を知ったうえで食べると、より一層楽しめますね。